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不確実性時代のサプライチェーンはどうあるべきか VUCA時代に勝ち残る戦略的サプライチェーン構築に向けて Review

基調講演 東京工業大学

データに基づいてギャップを認識し
経営成果に直結するSCMの実践を

圓川 隆夫 氏
東京工業大学
名誉教授
圓川 隆夫

 SCMの登場前夜の1990年、日本は工業化社会の頂点にあった。世界中が日本企業をベンチマークしていた。しかし、1990年代後半からITを用いた製販の実需・情報共有のSCMモデルが登場し、中国が台頭して国際水平分業が進むと日本の衰退が始まる。

 この失われた30年に何が起きたのか。東京工業大学 名誉教授の圓川隆夫氏は「ガラパゴス化がSCMを阻害しています」と指摘する。ガラパゴス化による消費者余剰はやがて“安いニッポン”を出現させ、これにIT活用の遅れが加わることで労働生産性は低下した。

 この現状を見える化するために開発されたのが「SCMロジスティックススコアカード(LSC)」だ。「22のSCM性能を自己評価することで、客観的な強みと弱みがわかり、改革への共通認識が醸成できます」と圓川氏は語る。

 全体のLSC診断データからは日本企業のSCM組織力とIT活用力のねじれが見える。IT投資を経営成果に結びつけるにはSCM組織力を伴う必要があり、組織力が低いままのIT投資はマイナスの効果しか生み出さない。

 また日本企業の組織内におけるSCM力の認識ギャップには驚くほど共通性がある。階層が高いほど評価は高い(甘い)が、現場は厳しい。戦略や計画はあっても実行できる形になっていないケースが多く、目の前の在庫には敏感でも、サプライチェーン全体の在庫やリスクには無頓着になりがちだ。

 「根底にあるのが、加藤周一氏のいう“今=ここ”文化です」と圓川氏は指摘する。時間軸、空間軸上の「今=ここ」の部分を重視し、内部を洗練して全体はその積み重ねと考える文化だ。その結果、リスクマネジメントが脆弱になり、意識が内に向かい外との交流を促す標準化が苦手で、物事は擦り合わせで進んでいく。

これからのサプライチェーンマネジメント

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 圓川氏は「経営成果に直結するSCMを実践するには、今=ここ文化の弱点を意識して克服し、顧客志向SCM力を高めていく必要があります」と語る。SCM競争力は、顧客価値創造と連携・共創力、そしてESG対応力から生まれるが、日本企業のその意識はまだまだ薄い。LSCを拡張したグローバルSCMスコアカード(GSC)の診断からも階層間の認識ギャップがうかがえる。

 「何が顧客価値かについても、データを基に世界を正しく見るファクトフルネスの習慣が大事です。意識的にやらないと思い込みや誤解に陥ります」と圓川氏は指摘する。

 顧客価値を今一度確認し、その実現に向け認識ギャップを見える化することが、SCM競争力を高めていくことにつながるのである。

特別講演 名古屋市立大学

強いサプライチェーンをつくるための
攻めのリスクマネジメントとは

下野 由貴 氏
名古屋市立大学
大学院経済学研究科
経営学専攻 教授
下野 由貴

 サプライチェーンのリスクにはいくつかの種類があるが、注目されるのが需要と供給をめぐるリスクだ。それらが同時に顕在化する場合もある。名古屋市立大学の下野由貴氏は次のように説明する。「需要リスクがもたらす危機の例はリーマンショックです。東日本大震災では、供給リスクによる危機が起きました。コロナ禍は2つのリスクの組み合わせです。一部の需要は激増しましたが、激減した分野も多い。部品などの供給が滞った企業もありました」

 下野氏は3つのタイプの危機を克服した事例を挙げている。リーマンショックで売上が激減した後、V字回復を実現したのが名古屋の自動車2次部品メーカー、エイベックスだ。「エイベックスは雇用を維持しつつ、人材育成に注力しました。以前からの営業活動が実を結び、自動車メーカーからの直接受注にも成功しました」と下野氏は言う。

 東日本大震災のとき製造業で問題視されたのは、複数メーカーとの取引が特定の2次・3次メーカーに集中していたこと。キーデバイスを1つのサプライヤーに依存すれば、大災害時、多くの完成品メーカーの生産が停止しかねない。「大震災の経験を踏まえて、サプライチェーンの見える化に取り組んだ製造企業もあります。見える化は、代替先確保や生産拠点の分散化などの対策につながります。製造業においては、サプライヤーの自立を支援することで、自社とサプライヤーのリスクをともに低減しようという取り組みも注目されています」(下野氏)。

 コロナ禍では名古屋の合羽メーカー、船橋の事例が興味深い。医療用防護ガウンを開発した同社に20万着の注文が入ったが、生産能力が大幅に不足していた。そんな船橋に対して、多くの異業種企業から連携の申し出があった。「大手自動車メーカーは、ジャストインタイム(JIT)生産方式の導入を支援しました。また、船橋を含め7社が有志連合を結成。当初1日500枚だった生産能力が、7社合わせて5万枚に拡大しました」(下野氏)。

具体的な危機に対応したサプライチェーンのリスクマネジメント

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 従来、サプライチェーンのリスクをめぐっては、「QCD(品質・コスト・納期)を徹底的に追求する一方で、脆弱性を許容する」考え方、逆に「供給先の分散化などで頑健性を高める」考え方が対立的な構図をなしていた。両極の間にはグラデーションがある。下野氏は、「反脆弱」という第3の視点を指摘する。

 「衝撃に弱い脆弱、衝撃に対して不変な頑強に対し、衝撃に強いのが反脆弱です。頑健が守りだとすれば、反脆弱は攻め。マイナスをプラスに転じようとする攻めのリスクマネジメントです」(下野氏)。

 これら3社はその実践例だ。いずれも危機をチャンスに転換し、力強く成長している。企業は頑健性だけでなく、反脆弱性を高める必要がありそうだ。

特別講演 レゾナック

バケツリレー方式のプロセスをシステム化し
見込情報精度向上や時間短縮など多くの効果を上げる

井深 栄治 氏
株式会社レゾナック
エレクトロニクス事業本部 渉外部長 及び
SEMI SCM Industry Advisory Council 委員
井深 栄治

 昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)は2023年に経営統合し、レゾナックとしてスタートを切った。世界の半導体材料市場において大きな存在感を持つ企業である。同社は2020年代、大規模なサプライチェーン改革を実行した。その背景について、レゾナックの井深栄治氏はこう説明する。「原材料の供給リスクを最小化するには、サプライヤーとの間で戦略や販売計画などを確認しながら進める必要があります。既存オペレーションはマニュアル主体のプロセスで、属人化している部分も多い。こうした課題を解決し、強靭なサプライチェーン構築を目指しました」

 レゾナックの新たなSCMは、いくつかのシステムで構成される。まず、計画基盤システムについて見てみたい。「従来のExcelのバケツリレー方式で計画業務を進めていたため、作業工数が多く、時間がかかっていました。調達計画作成が遅くなると、サプライヤーとの交渉時期も後ろにずれてしまい、その間に競合に材料を確保される可能性もあります」と井深氏は言う。

 新たな計画基盤システムのプロセスは、販売計画に基づいて「生産計画作成→調達計画作成」という流れで進む。生産計画づくりには在庫の把握が欠かせない。在庫実績は従来、拠点ごとに管理しており、複数拠点を束ねた形では見えにくかったという。その理由は多種類の原材料があり、その単位も箱や重量、寸法など様々である。新システムでは単位を揃え、金額と数量を把握できるようにした。次に、販売見込入力システム。従来は、フリーフォーマットに記載した販売見込が各工場に送られていたのだが、これをシステム化・標準化することで効率化を図った。

レゾナックにおけるSCM強化プロジェクトのメリット

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 ほぼ1年半を要したプロジェクトだが、動き始めたグローバルSCMシステムは様々な効果を生み出している。「販売見込の精度を上げるうえで、手法を標準化したことが大きなポイント。標準化により、計画策定の時間も短縮されました。サプライチェーンリスクの見える化、サプライヤーとの情報共有により、安定供給の実現にも寄与できたのではないか考えています」(井深氏)。

 レゾナックのサプライチェーン改革は完了したわけではない。システムに投入するデータの質向上に取り組みつつ、同社はデータドリブンな業務への進化の道を歩んでいる。

講演 SecurityScorecard(提供:ネットワークバリューコンポネンツ)

日本のサイバー攻撃の半分を占める
取引先経由の攻撃にどう備えるのか

山田 望 氏
SecurityScorecard株式会社
パートナー営業本部長
山田 望

 SecurityScorecardは、2013年に米国で設立され、サイバーセキュリティリスクを評価/軽減するための包括的なプラットフォームを提供する。

 同社は先ごろ、2023年に発生したサイバー侵害に関する公開情報を取りまとめたレポート「世界のサードパーティ サイバーセキュリティ侵害に関するレポート」を発表した。

 このレポートからは企業や組織の98%がサイバー侵害を受けたサードパーティ(取引先)と関係があり、全世界で発生したサイバー侵害のうち29%がサードパーティが起点となったセキュリティ侵害だったことが分かる。サードパーティー経由のセキュリティ侵害を地域別に見ると、64%が北米だったが、アジア太平洋地域も30%を占める。テクノロジー製品やサービスが関わるサードパーティが起点になりやすいという結果も出ている。

 発生率で見ると日本はサイバー攻撃の48%が、サードパーティ経由になっている。これは他の地域と比べて抜きん出て高い。 SecurityScorecard日本法人の山田望氏は、日本の状況について次のように指摘する。「現在は、従来の垂直統合型のサプライチェーンから市場主導的なサプライチェーンに移行している過渡期にあり、サードパーティも含めた包括的なセキュリティの確立が遅れているのが原因のひとつと考えられます」

 自社だけのセキュリティ対策だけでは不十分になりつつある中で、同社ではTPRM(Third Party Risk Management)の導入を推奨している。「まずTPRMを実践して現状を把握します。優先順位を設定し、上位のリスクにセキュリティパッチの適用など対策を講じることが必要です」(山田氏)

 TPRMツールを導入してサードパーティを含めたセキュリティの現状が可視化できれば、打つ手はいろいろ考えられる。自社のセキュリティポリシーに基づいて対策の優先順位を決めたり、サードパーティとコミュニケーションを図って共同で解決策を講じたりできる。TPRMツールから最新の脆弱性情報も日本語で入手が可能だ。

 「どう取り組めば良いか分からない場合には、当社ソリューションのユーザーであり、ライセンス販売と関連サービスも手がけるネットワークバリューコンポネンツなどの、知見を持ったインテグレーターにご相談ください」と山田氏は話す。

 日本の組織や企業は、サードパーティ経由のセキュリティ侵害を可視化するTPRMの実践について真剣に考えるべき時期に来ている。

各地域におけるサードパーティを起点とした侵害の発生率

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SecurityScorecard株式会社

株式会社ネットワークバリューコンポネンツ

講演 キナクシス・ジャパン

不測の事態への迅速な対応を実現する
コンカレントプランニングとは

杉山 勲 氏
キナクシス・ジャパン株式会社
ビジネスコンサルティング
シニアディレクター, APAC
杉山 勲

 地政学的リスクや頻発する自然災害など予測困難な出来事が多発する中で、企業にはそれを前提とした対応能力が求められる。サプライチェーンプランニング基盤を提供するキナクシス・ジャパンの杉山勲氏は「もはや企業はテクノロジーだけでなく、サプライチェーンで競争する時代になっています」と語る。

 しかし、従来型のサプライチェーンプランニングでは、個別最適化された各システムの間を人がつなぐバケツリレー的な仕組みに依存しているため、不測の事態に迅速には対応できない。そこで予測困難な事態に備えた新しい計画手法として同社が提唱しているのが「コンカレントプランニング(同時並列計画)」である。

 コンカレントプランニングは、データの透明化、修正スピード、部門を超えた協調、即座の適用性、そして人の判断をAIで支援するインテリジェンスの5つのケーパビリティを持つ。それを実現しているのが、同社のサプライチェーンプランニング基盤「Maestro(旧称:RapidResponse)」である。

Kinaxisが提案する「コンカレントプランニング」という計画手法

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 「当社はガートナーから10回連続してサプライチェーンプランニングのリーダーの1社という評価を受けています。お客様が実際のプロジェクトの中で実行できていることが大きな要因です」と杉山氏。日本の企業でも平均して8カ月から9カ月という短期間で導入できているという。

 同社のMaestroの最大の特徴はヒューリスティックエンジンであることだ。「正確でも時間がかかる最適化エンジンと違って、おおよそ正確な結果を即座に提示し、シナリオシミュレーションを通じて迅速な意思決定を促します。スピードとわかりやすさでお客様から高い評価を受けています」(杉山氏)。

 さらに最近、「Supply.AI」という最適化ソリューションが加わった。サプライチェーン全体ではなく的を絞って最適化計算するもので、ユースケースを必要に応じてコンフィグレーションするもの。約2カ月で導入が可能だ。杉山氏は「調達できた部材から何を作れば利益が最大化できるかといったユースケースなどが用意されています」と話す。

 パッケージならではのFit to Standardな考え方をとるMaestroは短期間で導入できるだけでなく、確実に成果を挙げている。「導入企業644社を調査したところ、3年間のROA(総資産利益率)が未導入企業より7.7%高く、その差は年々広がります」と杉山氏。早期に導入して不測の事態への迅速な対応を実現することが競争力の差に繋がっている。

キナクシス・ジャパン株式会社

講演 富士通

不確実性への対応力を強化するための
テクノロジーとプロセスによる変革を

瀧澤 健 氏
富士通株式会社
グローバルソリューションビジネスグループ
クロスインダストリーソリューション事業本部
エグゼディレクター
瀧澤 健

 自然災害や地政学のリスクなど社会課題がより複雑に絡み合い、変化対応力の強化が重要なテーマとなる中で、日本の製造業の多くは組織のサイロ化やサプライヤーとの関係性の変化などに悩まされ、抜本的なサプライチェーン改革に踏み切れずにいる。背景にあるのは社内外の情報やプロセスの分断だ。

 「Uvance」で企業や社会の変革を支援する富士通では「Dynamic-SCM」によってサプライチェーンにおける不確実性への対応力の強化を支援している。「鍵となるのはサプライチェーンにおける意思決定機能です。部門を超えてトータルに意思決定する体制を確立することです」と富士通の瀧澤健氏は話す。

 サプライチェーン改革で求められているのは、全体を俯瞰できるフレキシブルなSCMの構築、需要予測と計画精度の向上、自動化とデジタル化による生産性の向上、そしてサステナビリティ対応だ。これらが確立できれば、販売機会は拡大し、オペレーションコストが削減され、リスク対応コストも削減できる。これこそがDynamic-SCMが目指す姿だという。

 そのためには4つの要素が必要になる。AIによる需要予測など特化型エンジンの活用、散在しているデータの統合、早期かつ段階的な業務の構築、そしてリスクやESGへのデータの活用である。これらの要素を組み合わせながら、業務プロセスや組織を変えていくことでサプライチェーン改革が実現する。

 「製造業A社は、富士通と二人三脚でサプライチェーン改革に取り組んできました。富士通が提供する「SCRKeeper」をベースとしたシステムの機能をフルに活用し、サプライヤーリスクの可視化と部材ごとのリスクに応じた在庫水準の適正化の仕組みを構築されました」と瀧澤氏は話す。

 A社では、数万点以上ある品番からリスク対策対象を絞り込み、各拠点でリスク対策を登録するなど、国内外で迅速な対策の実行体制を確立した。

 課題解決のための伴走できるパートナーとしての富士通の今後の展開が注目される。

Dynamic-SCMはデータ活用×プロセス変革を支援する

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講演 日本オラクル

環境変化に素早く対応するクラウドで
ビジネスモデルを継続的に進化させる

塚越 秀吉 氏
日本オラクル株式会社
執行役員
クラウド・アプリケーション統括
ソリューション戦略統括
塚越 秀吉
谷口 耕三 氏
日本オラクル株式会社
クラウド・アプリケーション統括
ソリューション戦略統括
ソリューション・エンジニアリング本部
SCM/PLMソリューション部 部長
谷口 耕三

 オラクルは今年4月、今後10年で日本国内のデータセンターに80億ドル(約1兆2000億円)の投資を行うと発表した。巨額投資の中身を見ると、クラウドとAIへの投資が大きな比重を占めている。

 日本オラクルの塚越秀吉氏は次のように話す。「Oracle Cloudの特長はインフラからアプリケーション、データベースやAIなど、あらゆる機能をクラウドで提供できること。提供手法にもマルチクラウドやソブリンクラウド(データ主権クラウド)を含め、多様な選択肢があります」

 オラクルのSaaSであるOracle Fusion Applicationsが重視するのは、変化対応である。キーワードは“Designed for Change”。環境変化や需要変動への迅速な対応、イノベーションの加速を目指す多くの日本企業をサポートしている。SCM領域でも同様だ。日本オラクルの谷口耕三氏はこう説明する。「いつ起きるか分からない不測の事態にいかに備えるか。サプライチェーンの可視性を高め、環境変化に柔軟対応できる仕組みが欠かせません。同時に、AIやML(機械学習)、IoTなど先端技術を活用しつつ、ビジネスモデルを継続的に進化させる必要があります」

 Oracle Fusion Applicationsでは、四半期ごとに数百の機能アップデートが行われる。アップグレードの間隔が5年、10年ということもあるオンプレミスとの大きな違いだ。この違いがビジネスに与える影響は大きい。

 Oracle Cloudは幅広い製造業において、DX推進の要として活用されている。その大きな理由の1つは、製造業の業務プロセスの包括的な管理ができることだ。「引き合い/見積もり→受注→設計→計画→調達→生産→物流→サービス→引き合い/見積もり」というSCMのサイクルを、統合データベースのもとで一元管理する。同時に、SCMを「アイデア・要件・企画管理 / 設計・開発管理 / 部品・BOM管理 / 品質管理 / 設計プロジェクト管理」というECM(Engineering Chain Management)と統合できる。「市場の変化を受けて即座に製品を企画・開発するとともに、新製品をいち早く生産して市場に投入できます」と谷口氏は説明する。

 Oracle Cloudには多種類のAI/MLが標準で組み込まれており、IoTとの連携も容易だ。例えば、工場設備に搭載したセンサー類から音や振動などのデータを収集、モニタリングして故障の兆候をとらえる機能などがある。

 また、最近は生成AIの機能も拡充。対話型でレポートを自動生成するなど、様々な用途が考えられる。Oracle Cloudの進化は加速している。

Oracle Cloudは企業情報の一元化と業務効率化を支援する

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日本オラクル株式会社

講演 Blue Yonderジャパン

AI、データクラウドなど先進技術が可能にする
新たな時代のサプライチェーン変革

白鳥 直樹 氏
Blue Yonderジャパン株式会社
執行役員
ソリューションコンサルティング
シニア・ディレクター
白鳥 直樹

 世界経済の変動は激しく、将来の不確実性は高い。また、多くの業界、製品分野においてサプライチェーンは複雑化している。サプライチェーン運営の難度はかつてないほど高まっている。

 「日本企業は合理化が得意な半面、サプライチェーンに弱みがあるといわれます。その強靭化を進めるうえでデジタルを活用したサプライチェーンの再構築は不可欠です。ただ、IT投資に対する認識の遅れや縦割り組織などの要因もあり、デジタル化のスピードはまだまだ十分とは言えません」と語るのは、Blue Yonderジャパンの白鳥直樹氏である。

 これまでのサプライチェーンは各機能がサイロ化した直線的なエコシステム。多くの場合、各システムは統合されておらず、人手による調整が行われている。これでは市場の変化や突発事象に迅速に対応できない。

 「今後の方向性はネットワーク型エコシステムです。関係企業が1つのプラットフォーム上でつながり、一元化された情報を共有し、連携しながらサプライチェーンを回します。さらに、コグニティブコンピューティングの要素も入ってきます。これがBlue Yonderのコンセプトです」(白鳥氏)。

Blue Yonderの次世代サプライチェーンプラットフォーム

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 Blue Yonderはコグニティブアプリケーション、組み込み型AI/MLを活用した、次世代のサプライチェーンプラットフォームを提供している。その特長はいくつかあるが、以下では、予測AIや生成AIによる洞察と意思決定の支援、サプライチェーン関連のデータを一か所に集約する統合データクラウドに注目したい。

 「予測AIにおいては、高頻度のシミュレーションやシナリオ分析などを通じて、生産性の向上や意思決定の迅速化をサポートします。ブラックボックスではなく、高い透明性とともにAI/MLの結果が示されます」と白鳥氏は説明する。

 また、Blue Yonderオーケストレーターという、Blue Yonderのサプライチェーンの専門知識、経験値と大規模言語モデル (LLM) を活用した生成AIソリューションでは、簡単なクエリ形式のやり取りで、瞬時にレコメンデーションや予測的洞察を提示し、自動化やデータに基づく意思決定を支援できる。

 次に、End-to-Endでサプライチェーンを最適化する上でも、また予測の精度を高める上でも、サプライチェーンに関連する各種データを一元管理することは非常に重要であり、その基盤ともいえるのが統合データクラウドである。

 「Blue Yonderは、Snowflakeのデータクラウド上でネイティブに稼働するアプリケーションを構築しています。外部ビジネスアプリケーションとの統合・管理の必要性を最小限に抑えることができ、データ管理の複雑さを軽減したり、社内外のコラボレーションを改善し、業務効率化や精度の高い意思決定・アクションにつなげることができます」と白鳥氏は言う。

 このように、AIや統合データクラウドなどのデジタル技術を活用することで、意思決定や計画パフォーマンスの飛躍的な改善が期待でき、また、変化に柔軟、迅速に対応できるレジリエントなサプライチェーンの構築が可能になる。そして、このような取り組みを進めることで、他社が簡単には追いつくことができない、長期的な競争優位性を確保することができるのだ。日本企業にとって、デジタル化や先進技術を活用したサプライチェーンの変革が急務といえる。

講演 オープンテキスト

サプライチェーン全体のデータを連携
高精度の予測や解決を導く

菅原 勇人 氏
オープンテキスト株式会社
執行役員
ソリューション・コンサルティング統括本部
統括本部長
菅原 勇人

 OpenTextは、インフォメーションマネジメントにおける世界的なリーディングカンパニーである。コンテンツ管理分野で長い経験を積み重ねる一方、2014年には世界最大級のB2B取引向けプラットフォームを提供するGXSとの経営統合を実現。SCM領域におけるソリューションの拡充に成功し、企業における社内外のデータを有効活用するサービスを一貫して提供できるようになった。オープンテキストの菅原勇人氏はこう説明する。「生成AIの急速な普及を受けて、改めて問われているのがソースとなる情報のマネジメントです。この仕組みはいまや、必須といえるでしょう」

 SCMについては、以前からシステムやデータの分断という課題が指摘されてきた。部門ごと、あるいはサプライヤーとの情報連携が十分ではなく、多くの非効率を生んでいる。こうした課題への解決策をオープンテキストは提示している。

 「『OpenText Trading Grid』というビジネスネットワークには、世界の約130万社が加わっています。加えて、ERPやCRMなどの社内システムや取引先など社外のシステムとも連携して、高度なデータ活用を可能にします」(菅原氏)

 SCMでは「コントロールタワー」という言葉が使われることがある。各組織で生成されるデータなどを基に、サプライチェーンの見える化や分析、予測、解決、実行、学習などにつなげる。そのための“管制塔”としての機能だ。最近は、これを「コマンドセンター」と呼ぶ動きもある。データを可視化して示唆を得ようという考え方は同じだが、コマンドセンターは地政学リスクやESG観点の指標など外部情報も統合して取り込むのがポイントだ。「さらに、AIも活用して、高精度の予測や解決を導くのがコマンドセンター。いわば、“司令塔”です」と菅原氏は説明する。

 例えば、サプライヤーのESG指標をモニターし、特定のサプライヤーの指標が悪化した場合、即座に代替策づくりを促す。こうしたリスク監視を含め、OpenText Trading Gridは多様な機能を備えている。

 SCMの中でも、調達は課題の多い分野の1つだ。調達部門とサプライヤーとの間では、メールや専用アプリケーションなどを介して情報共有が行われている。図面や仕様書はもちろん、紛争鉱物やCO2排出量に関するアンケート調査などもあるだろう。

 「やり取りされる情報の多くは非構造化データです。こうしたコンテンツ管理もオープンテキストの強みの1つです。クラウド型のエンタープライズコンテンツ管理ソリューション(ECM)は共有文書だけでなく、社内文書も一元管理する調達向けのデータハブです」と菅原氏は話す。

 例えば、調達先で問題が発生し緊急で代替サプライヤーを探す必要が生じたとき、生成AI搭載のECMを活用すれば、ECMで保管されたデータをベクターデータとして扱い、生成AIが適切な仕入先リストを短時間で示唆してくれる。OpenText Trading Grid上で発生する鮮度の高いトランザクションデータを活用したコマンドセンターでサプライチェーンのリスクを管理し、ECMを活用したサプライヤーポータルで次のアクションを効率的かつスピーディに移すことで、ビジネススピードの向上はもちろん、競争力強化にもつながるはずだ。

「コマンドセンター」でサプライチェーンはより高度化する

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オープンテキスト株式会社

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