生成AIとServiceNowのプラットフォームの融合が日本企業の力になる
日本人本来の強みを最大限引き出す
──日本を代表する企業のCIOとして小玉さんは、日本企業が直面している課題は何だと思いますか?
NEC 小玉氏(以下、小玉氏):ポールさんが指摘したように、少子・高齢化に伴う労働力不足は深刻な課題だと思います。しかも、日本の労働生産性は諸外国に比べてかなり低いことが、様々な調査で明らかになっています。
これまでは、労働生産性の低さを日本の強みである勤勉さで何とかカバーしてきましたが、それにも限界があります。生成AIをはじめとするテクノロジーを駆使して、いかに生産性を上げていくべきかを考える時期に差しかかっていると言えるでしょう。
一方、世界に目を向けると、我々はより深刻で、複雑な数多くの問題に直面しています。企業は、短期的な収益の追求にとどまらず、社会を取り巻く様々な課題に向き合い、あるべき未来の社会像を提示しなければなりません。
NECは、2021年5月に発表した「NEC 2030VISION」で、環境、社会、暮らしの3つの階層において、「地球と共生し、未来を守る。」「個人と社会の調和、共感の創出、止まらない社会の形成。」「人に寄り添い、心躍る暮らしを支える。」という未来の社会像を規定しました。我々の力だけでは実現困難な社会像なので、様々なステークホルダーと手を取り合いながら実現していきたいと考えています。ServiceNowは、その重要なパートナーです。
執行役 Corporate EVP 兼 CIO
兼 コーポレートIT・デジタル部門長
小玉 浩 氏
──小玉さんが指摘されたように、日本企業は世界と戦う上で、勤勉さを強みとしてきた側面があると思います。鈴木さんはどのようにご覧になられますか?
ServiceNow Japan 鈴木氏(以下、鈴木氏):小玉さんがおっしゃるように、日本人特有の勤勉さ、真面目さ、協調性の高さといった特性が、これまで日本企業の成長を支えてきたことは間違いありません。
日本の経営者の方々がよく課題として挙げるのは、社員には「仕事」に専念してほしいのに、付加価値を生まない「作業」ばかりに時間を取られてしまっているという実情です。作業に時間を取られすぎることで、日本人本来の強さが発揮できないというジレンマを抱えておられるわけです。
NECは、「人が持つ力を解き放つ」ことを目指しておられますが、私たちServiceNowも、生成AIをはじめとするテクノロジーによって非効率な業務をなくし、日本人が本来の強さを発揮できる環境の実現に貢献したいと考えています。
執行役員社長
鈴木 正敏 氏
NECはなぜ
ServiceNowを選んだのか?
──「人が持つ力を解き放つ」ため、NECはかなり早い時期からDXに取り組んでこられたとうかがっています。具体的に、どのように推進してこられたのでしょうか?
小玉氏:NECは創業して125年になりますが、過去にも様々な課題に直面し、変革を繰り返してきました。とくに大きな転換点となったのは2010年代です。この時期、NECを取り巻く環境は厳しく、2018年中期経営計画を未達で取り下げ、痛みを伴う構造改革に取り組みました。その中で、実行力強化とカルチャー変革に着手するとともに、我々自身の存在意義を問い直し、Purposeを再定義しました。
現在進行中の「2025中期経営計画」では、そのPurposeと、文化、戦略を一体化し、社内、お客様、社会のDXを加速させるというアジェンダを掲げています。おかげさまで現在7期連続で利益計画を達成することができるまでになっています。
社内DXにおいては、単にデジタル・IT化ではなく、変革の文化を社内に根付かせ、DNAとして組み込んでいきたいと考えています。
また、我々は、「クライアントゼロ」戦略として、NEC自身が新しいテクノロジーを取り入れ実践し、その“活きた”知見を基にお客様や社会のDXに貢献していくことを進めています。
──NECは、社内DXの一環として2020年からServiceNowを活用しているとうかがっています。どのような成果が上がっているのでしょうか?
小玉氏:ServiceNowを導入した背景には、テクノロジーでワークスタイルやエクスペリエンスを変革するというServiceNowの哲学に共鳴した、ということがあります。
「人が持つ力を解き放つ」というNECの考え方に非常に近く、そのプラットフォームやアプリケーションを活用すれば、社内の生産性向上だけでなく、「クライアントゼロ」戦略の一環として、お客様や社会のDXに貢献することにもつながるのではないかと考えました。
2020年の導入当初は、社内のITサービスマネジメントやITオペレーションから活用を始めましたが、今では非IT領域であるHR(人事)や法務、ブランド領域に活用の幅を広げています。
──NECをはじめとするエンタープライズでも活用が進んでいるようですが、日本におけるServiceNowのビジネス状況はいかがでしょうか?
鈴木氏:おかげさまで、日本におけるビジネスは非常に順調に推移しています。
先ほどポールも申し上げたように、ServiceNowは日本市場を世界で4番目の本社直轄マーケットとし、日本のお客様のための投資を強化してきました。従業員数も2022年から倍増しています。
成長の原動力となっているのは、主に非IT関連の製品群です。先ほど小玉さんがおっしゃったように、ServiceNowはITサービスマネジメントやITオペレーションマネジメントだけでなく、HR、カスタマーサービス、サプライチェーンマネジメントなど、より広範な業務に対応する製品群をリリースしてきました。
今後、生成AIを活用したサービスを充実させることで、ますます多くの課題解決に貢献できるようになるでしょう。