STNet×NTTコミュニケーションズ

株式会社 STNet
取締役社長
小林 功
NTTコミュニケーションズ株式会社
代表取締役副社長 副社長執行役員
プラットフォームサービス本部長
金井 俊夫

GXDXえる
先進データセンター挑戦
~脱炭素化と生成AI対応の最前線に迫る~

日本政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言するなど、脱炭素化に向けた変革であるGX(グリーントランスフォーメーション)は、もはや社会全体の重要テーマになったといえるだろう。その一方、DXの実現もまた、これからの企業経営に不可欠な取り組みとなっている。こうした中、ビジネスの根幹を担う先進データセンターではどのような取り組みを行っているのか。STNet 取締役社長の小林 功氏とNTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長の金井 俊夫氏に聞いた(本文内敬称略)。

ITインフラの脱炭素化に向け
省エネ化/再エネ利用を推進

――脱炭素化の実現に向け、データセンター事業者として、どのような取り組みを進めていますか。

小林 四国電力グループの情報通信会社である当社では、自然災害リスクの少ない香川県・高松市にデータセンター「Powerico(パワリコ)」を設置しています。この施設は日本データセンター協会(JDCC)の最高評価水準である「ティア4」に準拠しているほか、外気空冷設備や高効率な個別空調システムなどの省エネ技術も積極的に採用。さらに施設内の空調や照明だけでなく、サーバールームについても再エネの提供を開始しました。そのため、お客様がご希望される場合は100%再エネ化を行うことも可能です。

金井 当社が全国に展開するデータセンターサービス「Nexcenter®」でも、機械学習による空調のリアルタイム制御を行う「AI空調制御システム」や外気条件に応じて最適な冷却モードに切り替える超高効率空調システム「間接蒸発冷却式空調」の導入、液冷方式による省エネ型データセンターサービス「Green Nexcenter®」の展開など、様々な省エネ技術を導入しています。また、NTTドコモグループでは、「2030年度カーボンニュートラル(Scope1,2)」、「2040年度ネットゼロ(Scope1,2,3)」の達成を表明しており、お客様要望に応じた再エネメニューの提供拡充も進めています。

――NTTコミュニケーションズでは、Powericoを「Nexcenter 高松第2データセンター」としてNexcenterブランドで運用されていますね。なぜこうした協業が始まったのですか。

金井 東日本大震災をきっかけとして、BCPのニーズが急速に高まったことがきっかけです。小林社長も述べられた通り、香川県・高松エリアは自然災害リスクが少なく、大陸プレートも首都圏・北海道とは異なります。こうした立地の良さに加えて、Powericoはティア4準拠やFISC安全対策基準にも適合、最大定格21kVA/ラックの電源供給が可能など、数多くの特長を有しています。設備面だけでなく運用マネジメントも大変しっかりしていますので、Nexcenterサービスを構成するデータセンターの1つとして使わせていただきたいと考えました。なお、お客様向けサービスだけでなく、BCPなどの観点から当社の社内システムでの利用も今後検討していきたいと考えているところです。

生成AIのニーズに応えるべく
GPUサーバー向け環境整備を急ぐ

――近年ではDXの文脈でもデータセンターへの期待が高まっています。こうした動きに対してはどのような取り組みを進めていますか。

金井 DX関連では、生成AIに代表されるAI技術の導入・活用が急速に広がっています。当社でも、NTT版のLLM(大規模言語モデル)「tsuzumi(つづみ)」をはじめとした生成AIを用いたソリューションを提供しています。一方で、生成AIに欠かせないGPUは高性能・高密度化が進んでおり、高性能GPUサーバーの消費電力増加や高発熱化への対応が大きな課題となっています。前述のGreen Nexcenterサービスの提供を開始したのも、こうしたニーズに応えるためです。

小林 GPUサーバーについては一定の受け入れはしていますが、さらなる期待に応えていくことが喫緊の課題となっています。そこでPowerico内にGPUサーバー実験設備を設置し、大学や研究機関などと共同で設置環境面、構築面、運用面での検証を行っているところです。これである程度手応えが掴めれば、スピード感を持って商用サービス化を進めていきたい。GPUサーバーの冷却についても、現在の高効率な空冷に加えて液冷の導入も視野に入れています。

金井 すべてを液冷にする必要はありませんから、今後は空冷&液冷のベストミックスがポイントとなるでしょうね。また、当社では、IOWN構想※1に基づき通信ネットワークを構成する機器類の多くの部分を電気信号ベースから光信号ベースへと置き換えることで大容量・低遅延・低消費電力の通信を実現する「IOWN APN※2」も、DXのカギになると考えています。生成AIやGPUの利用が当たり前になってくると、一カ所のデータセンターだけではすべての電力やワークロードをカバーしきれません。Nexcenterサービス拠点をIOWN APNでつないでいけば、複数のデータセンターをあたかも1つのデータセンターであるかのように利用できます(図)。Nexcenter 高松第2データセンターを担うPowericoも、もちろんその拠点の1つとなります。

持ち前の総合運用力を生かし
新たな価値創造を全力で支援

――GX、DXを両輪として、今後どのような未来を目指していますか。

金井 持続可能な社会を目指すためには、技術革新などによって、環境や社会に優しいことに加えお客様が利用しやすくなるような新たな価値を創造することが大事だと思っています。例えば、地方に分散するデータセンターに接続するネットワークサービスの帯域や機能などについてもお客様が使いたい時に、使いたい分だけクラウドサービスのように自由自在に活用できる環境をご提供し、お客様の事業基盤強化に貢献したいと考えています。

小林 当社では、情報システム開発やプラットフォームサービス、通信サービスなど、情報通信事業のすべての分野をワンストップでカバーしています。お客様のお困りごとや要望を様々な情報通信サービスで解決する。そうした持ち前の総合運用力をフルに発揮し、お客様のDXを下支えしていきます。

――両社の協業の可能性も大きく広がっていきそうです。

金井 両社ではこれまでも様々な形で協業を行ってきましたが、今後はぜひお客様やパートナーの方々を含めた形での協業・共創も進めていきたい。例えば、具体的なユースケースを想定し、その実現に向けたPoC(概念実証)に共同で取り組むといった形ですね。電力問題も含め、こうした活動を東京・大阪の二極集中で行うにも限界がありますし、地域活性化や地方創生という面でも、大きな意義があると考えます。

小林 当社は2024年7月に創業40周年を迎えましたが、ここまで来られたのも地域のお客様のご支持があればこそ。今後は、社会貢献や地域への還元にも、今まで以上に注力していきたい。お互いにインフラ分野を手掛けてきたこともあり、両社のマインドには共通する部分も多いと感じています。共に力を合わせて、新たな価値創造に寄与していければと思います。
STNetのデータセンター「Powerico」。自然災害リスクの低い香川県・高松市に立地し、JDCC「ティア4」準拠、FISCが定める安全基準対応の高信頼設計を誇る。1ラックあたり最大定格21kVAと高い電源供給力を実現。「脱炭素型データセンター」を目指し、2024年4月から希望する顧客へ100%再生可能エネルギーを提供
※1
IOWN構想とは、最先端の光技術などを使って豊かな社会を創るためのネットワーク基盤構想のことです。「IOWN®」は、日本電信電話株式会社の商標または登録商標です。
※2
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)APN(All Photonics Network )
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