絶えまないInnovationで医療の未来を創造する 医療機器業界のリーディングカンパニー 日本ストライカーの挑戦

世界75カ国以上で事業を展開する米国・ストライカーの日本法人である日本ストライカー。救急から手術用機器・インプラント、術後のICU周辺機器まで、幅広い医療の現場でソリューションを提供し、昨今、医療機器業界で躍進を見せる同社のパワーの源は何なのか。人事出身のリーダーとして注目される代表取締役社長の水澤聡氏に話を聞いた。

組織・カルチャーの変革を実現
ミッションが原動力に

 AIやロボティクスなどの登場により急速に変化する医療機器業界。その中で、ペイシェント・ジャーニーに沿った幅広い事業を展開し顧客である医療従事者に革新的なソリューションを提供しているのが日本ストライカーだ。同社を率いる代表取締役社長の水澤聡氏は、人事責任者として入社後ビジネスリーダーに転じた異例の経歴を持つ。

 「私は複数の企業でキャリアを積み、2014年に人事本部長として入社しました。当社の社員はもともと実直で優秀な人ばかりですが、当時は一部で組織の硬直化も見られました。入社後は、ワンチームとしてその潜在力をより発揮できるよう、変革を推進できるリーダーの育成に注力する傍ら、私自身もまた、組織・人財・カルチャーの変革を推進してきました。『変わらなければいけない』というメッセージが組織全体に浸透したことで改革が進み、現在は力強いビジネス成長を見せています」

日本ストライカー株式会社
代表取締役社長
水澤 聡
日系大手電機メーカーや外資系企業で経営管理・人事部門を歴任し、2014年、日本ストライカーに人事本部長として入社し、同年取締役就任。メドサージ(手術室備品)部門、整形インプラント部門などの責任者を経て、21年1月に副社長、同年4月に代表取締役社長に就任。

 社員のモチベーションに大きく寄与しているのが、ミッション「Together with our customers, we are driven to make healthcare better.(顧客と一体となって、医療の向上を目指します。)」だという。

 「“we are driven”というフレーズには、『そうせずにはいられない』という強い気持ちが込められており、これがストライカーらしさだと考えています。直接的な取引先は病院や医師ですが、その先の患者さんの生命や健康に貢献するため活動していることを忘れず、私たちの存在意義を確認できるよう、ミッションについて常に語りかける場を持っています」

大きな飛躍を目指し
中期計画を策定

 同社の成長を後押ししたのは、水澤氏が社長就任直後に策定した22年からの5カ年計画“Defy the odds”である。

 「“Defy the odds”とは『予想を覆す』『不可能を可能にする』などの意味を持ちます。従来、日本市場は『大きな成長は見込めない』と海外から評価を受け、自分たちもまた、変化を推進できていませんでした。そのような海外からの評価を覆したいと定めたのが“Defy the odds”です。明確な目標を掲げ、それを達成するための戦略をつくり、リーダーが絶えずコミュニケーションをしていくことで、難しく思われた目標も実現可能性が大きく高まります。

 “Defy the odds”のもとでは、5つの戦略の柱を掲げ、それぞれ新製品の上市戦略、製品ポートフォリオを活用した販売戦略、サプライチェーンの強化・改革、資本効率化、企業ブランディングなど30を超えるプロジェクトが立ち上がり、常時100人以上の社員が組織横断的にかかわりながら推進しています」

 事業本部の垣根を越え他部門と協業してプロジェクトを推進することで、「One Stryker」の意識が高まったことも組織に良い影響をおよぼした。

 「事業本部同士の相互理解が深まったことで、社員間での感謝・敬意・信頼が高まり、チームとしての一体感を大きく強化することになりました。加えて、全社会議や私が毎月発行するニュースレターを通じて、社員に期待していることや会社が挑戦していることを常時発信し続けています。目の前の業務だけでなく、会社としての発展にも目を向ける視野の広い社員が増えたと感じます」

 水澤氏が考える“Think globally, act locally”を体現する次世代リーダーも育ちつつある。23年以降は米国本社に数カ月滞在し新製品開発プロジェクトなどにかかわるグローバル人財交流プログラムも開始。米国本社との人的交流も盛んになっている。

 「22・23年度は過去最高の成長率を達成し、24年もさらに成長率を更新する勢いで順調にビジネスが推移しています。グローバルの支援を獲得し、国内に相次ぎ3つの物流センターを開設、さらに25年4月には東京本社を拡張移転します。新本社では幅広い製品を体験いただくためのショールームや、医療従事者・社員のためのワークショップルームを設け、セミナールームなども大幅拡張することで、お客様との接点を拡充・強化する予定です。果敢に挑戦を続けてきたことで、“Defy the odds”最終年度の26年に向け最良の形で進捗していると思います」

“Stryker Pride”を胸に
変革期に立ち向かう

 ストライカーの創業者は整形外科医として自ら患者さんのために医療機器を発明したホーマー・ストライカー博士。同社の製品にはイノベーションのDNAが今なお息づいている。中でも、人工股関節・人工膝関節置換手術に対応し、患者・医療従事者双方に高いベネフィットを提供するロボティックアーム手術支援システム「Mako(メイコー)システム」がフラッグシップ製品として注目されている。

 「『Makoシステム』は、整形外科分野において、日本で初めて薬事承認を受けた手術支援システムです。24年6月には、保険点数が加算された新たな診療報酬区分として『手術支援装置を用いる人工股関節手術』が新設され、これに唯一該当する整形外科ロボットとしてさらなる需要拡大が期待されています」
※ 24年11月時点

ロボティックアーム手術支援システム「Makoシステム」
特定保守管理医療機器
一般的名称「手術用ロボット手術ユニット」
販売名「Makoシステム」
医療機器承認番号(22900BZX00325000)

 他にもイノベーションあふれる製品を相次ぎ発売している同社では、日本の医療現場のニーズへの対応にも力を入れている。

 「日本の医師や企業と連携し、日本で独自に開発・販売している製品もあります。これは日本の患者さんに貢献するための取り組みであり、まさに私たちのミッションを体現するものと考えています」

 医療機器業界のリーディングカンパニーとして、社員には、ミッションを追い求めるとともに、“Stryker Pride”も感じてほしいと語る水澤氏。今後も強いリーダーシップで人財と組織を育み、躍動感のあるビジネスを展開していくという。

 「医療機器業界では、これから数年の間に、革新的な製品が数多く誕生すると言われています。私たちは、先頭に立ってその時代を迎え入れる準備ができています。自分たちが予想もしなかった未来を実現するため、挑戦し続けていきたいと思います」