“人生がここから変わる”スーパーホテルが仕掛ける一大プロジェクト “人生がここから変わる”スーパーホテルが仕掛ける一大プロジェクト
ホテル1棟を預かることは、経営の「知識」と「スキル」が身につくかけがえのない経験 ホテル1棟を預かることは、経営の「知識」と「スキル」が身につくかけがえのない経験

学びながら夢への資金と経験をためる、SUPER DREAM PROJECT 学びながら夢への資金と経験をためる、SUPER DREAM PROJECT

スーパーホテルがなぜ注目をされているのか。従業員との向き合い方、経営者として向き合おうという企業精神が色濃く反映されているからではないか。飲食業やサービス業で、「一国一城の主」を夢見る人は少なくないだろう。しかし、働きながら開業資金を貯めるのは容易ではないしビジネスの知識以外にも経理や接客、人材マネジメントなどのスキルも必要になる。国内外に172店舗のホテルを展開するスーパーホテルの「Super Dream Project(スーパードリームプロジェクト)」はこれらの習得に適している。そこで研鑽を行う人がホテルを運営し、最適なサービスを提供しようと努めるから宿泊客は魅力的な体験を得ることができる。お客さま本意であるべきホテルにとって重要な強みとなっている。なぜそのようなシステムが生まれたのか代表取締役の山本健策氏に聞いた。

住み込みでホテル1棟の
経営を預かる

一国一城の主を目指す人にとって、Super Dream Projectは格好のチャンスになるだろう。業務委託契約で、ホテル1棟の経営を丸ごと任せてくれる。年棒が保証され、一定以上の業績を上げれば、追加の報酬ももらえる。ホテルに住み込みで働けるため、家賃や水道光熱費がかからない。経営の知識とスキルを身に付けながら、開業資金を効率的に貯めることができる。

「支配人や副支配人として、ホテルの経営を経験しながら資金を貯め、4~5年後に独立してもらうことを目指しています。1年契約が基本なので、成績があまりにも悪い場合は更新されません。そういった意味では、責任とリスクは一般的なサラリーマンより高いかもしれません。しかしながら、いきなり自力で開業するよりはるかに有利で貴重な経験が積める場だと思います」と、代表取締役社長の山本健策氏は語る。

株式会社 スーパーホテル
代表取締役社長

山本 健策

Super Dream Projectへの応募条件は「支配人と副支配人のペアで応募すること」である。したがって、夫婦やパートナーで参加する人が多い。50日間の研修で基礎的なスキルを学んだ後、国内のスーパーホテルに配属される。清掃やリネンの仕組みはすべて揃っているし、接客業務の効率化もかなり進んでいる。例えば、チェックイン業務の多くが自動化されており、宿泊客はセルフチェックインして部屋へ向かい、暗証番号で入室する。カギがないので、チェックアウト業務はない。日々の主な仕事は、朝食の提供、夕方から始まるチェックインのサポート、スタッフの採用と育成などだ。集客のための営業活動やマーケティング、財務管理、設備の不具合への対応なども、重要な任務となる。つまり、経営者としてホテル1棟を切り盛りするわけだ。

夢とやる気のある人に任せた方が、
ホテル経営はうまく行く

Super Dream Projectは、1998年から続いてきた。背景には、「独立心のある人にホテルを任せたい」というスーパーホテルの創業時からの想いがある。「元々は、社員に各ホテルの支配人と副支配人を任せていました。しかし、ホテル経営では、マニュアルどおりにいかないことがよく起きます。サラリーマン的な発想の人より、一国一城の主を目指すオーナーシップを持つ方に任せた方が、うまくいくのです」(山本氏)。決められた業務をマニュアル通りにこなそうとする人材より、経営者的な発想でホテルを引き受け、将来の夢に向かって学びたいという人材を外部から集める方が有利なのだ。スーパーホテルと応募者の双方にとって、メリットの高い仕組みを目指している。

「ご本人の自律性とやる気によって、ホテル経営の成績は左右されるように思います」(山本氏)。例えば、人材不足が深刻になりつつある中、有望なスタッフを自分の裁量で集め、教育できるような支配人は営業成績が良い。また本人の創意工夫により、インターネットを活用した営業で、空室を埋めていく支配人もいる。1つのホテルを任された経営者として、自由な発想と裁量で業務を進めることができるのだ。半年に一度、本社から客観的な評価を得る機会があるが、成功も失敗ももちろんあるなか、自分の責任で考え意思決定していくことが経営者としての成長につながるという。

Super Dream Projectを見て、似た制度を導入しようとする競合他社もあった。しかし、成功しているところは限られていると感じている。スーパーホテルはなぜ、この制度を長く運用して来られたのか。

その大きな理由の1つが、1996年の創業以来、大切にしてきた経営理念だ。その中に「自律型感動人間」というコンセプトがある。「自分で考えて行動し、周囲の人たちに感謝して、感動を提供できる人間になりましょうという精神です。これが私たちの人材育成ポリシーです」(山本氏)。この理念を共有してきたからこそ、Super Dream Projectは今日まで続いてきた。

「Super Dream Projectは、お金儲けやコストダウンが先行したらうまくいきません。一人ひとりの自律性を伸ばすことがカギになりますが、グループとしての理想を共有できていなければ、バラバラになって統制が効かなくなります。どこかの時点で、社員に任せた方がベターだという結論になっていたかもしれません」(山本氏)。

スーパーホテルでは、経営理念やポリシーを全メンバーが「Faith(フェイス)」と呼ぶコンパクトな折り畳み式のカードにして、携帯している。全国の店舗や組織ごとに毎朝行われる朝礼で経営理念を唱和し、メンバーで意見を交わしながら、自律型感動人間という理想を追求している。

独自のコンセプト
「ぐっすり眠れるホテル」とは?

スーパーホテルが追求している独自のコンセプトに「ぐっすり眠れるホテル」がある。ぐっすり眠れなければ宿泊料を全額返金するという、独自の「宿泊品質保証制度」を2005 年から続けているのだ。

「ぐっすり眠れる」を実現するためのこだわりは、多数ある。最も重視しているのは、空気と水。客室天井には珪藻土、館内には光触媒のフィルターを通した空気を導入し、水は「健康イオン水」を用いる。この水は世界8ヶ国で特許を取得したMICA活性化鉱水技術を基本としたデバイス(大阪府立大学 名誉教授 清水教永医学博士の監修)により分子活動が活発になったエネルギーの高い水である。それ以外にも、8種類の「選べる枕」、窓ガラスやドアの防音設計、天然温泉によるリラクゼーションなどを導入し、宿泊客の快適な眠りを支援している。

「現代人の3人に1人が、睡眠障害に悩んでいると言われています。睡眠に関する学会も多く、睡眠が日常生活の改善につながることもわかってきました。清水教授との共同研究により、スーパーホテルでは最も深い眠りである『ステージ4』の睡眠を体験できることが実証されています」(山本氏)。

その先に実現しようとしているのが、「地域の活性化」だ。仕事や観光で訪れる宿泊客に「ぐっすり眠れる」を提供し、元気になってもらうことで、地域の社会や経済の活性化につなげる。地元を盛り上げるための具体的な取り組みも始めている。例えば、石川県能美市では、地元の名産である九谷焼の自販機を置いたり、ホテル壁面にプロジェクションマッピングで九谷焼をPRしている。ホテルの朝食スペースを、地元の集会に開放することもよくある。地方自治体に働きかけ、地元に埋もれているコンテンツの発掘やそのPRにも貢献している。

Super Dream Projectでは、体験を通してホテル経営を学べるだけでなく、スタッフを1つにまとめるための企業理念とその浸透施策、独自のこだわりで商品やサービスに競争力を持たせる手法、社会貢献の進め方などを学ぶことが可能だ。パーパス経営や人的資本経営などが求められている今日、Super Dream Projectの価値はますます高まっていると言えよう。

「当社はホテル経営の会社ですが、経営者を育てる良質な塾でもありたいと願っています。夢や独立の意志があっても、最初の一歩を踏み出せない方が大勢います。そんな方に、ぜひSuper Dream Projectへの参加を検討していただきたいです。地域の活性化やイノベーションに、一緒に取り組みましょう」と山本氏は述べた。

理念を浸透させ、
組織を1つにまとめる
「Faith」の重要性

株式会社スーパーホテルクリーン
代表取締役社長

今泉 千晴

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実のところ、昔はホテル業務をやることを全く想定していませんでした。移動式クレーン運転士として全国を飛び回り、それなりの収入を得ていたからです。直感で妻とSuper Dream Projectに応募しましたが、正直深く考えていませんでした。というのも私は「いつでも前の仕事に戻れる」という気持ちと、将来何かしたいという想いを漠然とですが抱いていたからです。

はじめに苦戦したのは「笑顔」です。ホテルのフロントマンは笑顔でお客様と接することが必要ですが、それが苦手でした。研修期間の途中で挫折しかけましたが、気持ちを切り換えて、苦労しながらも研修を終えることができました。

最初に、91室の「スーパーホテル富士インター」の支配人となり、妻は接客に長けていたので、私は主に運営面で頑張ることにしました。自分にはホテルの経営はできないと思っていましたが、本社のサポートもあり、次第に集客やスタッフの育成に自信が持てるようになっていき、客室数の大きな店舗を運営したいと思うようになりました。

11ヶ月ほどで、141室の中規模店舗である「スーパーホテル名古屋駅前」へ異動となりました。名古屋駅前立地のため、新幹線が遅れると多数のお客様が一気に押し寄せ、猛烈な忙しさになります。それでも、私が赴任する前は約80%だった稼働率を100%に近づけようと奮闘。当時のスタッフも全員が一つになり頑張ってくれたことで大きな成果を挙げることが出来ました。

スーパーホテルの理念は優れており、システムのレベルも高いです。自分が支配人としてホテルを1棟預かり、一人の経営者としてスーパーホテルのノウハウを吸収できるという感覚を、常に持ち続けることができました。

最後に249室の「スーパーホテルLohas熊本天然温泉」の支配人を務め大規模ホテルのマネジメントを経験し、4年間のプロジェクトを卒業しました。私はその後、当時の山村社長(現相談役)からお誘いいただきスーパーホテルに入社。妻は学んだことを活かしてネイルサロンやまつ毛エクステサロン併せて3店舗を経営しています。

Super Dream Projectの魅力は、開業資金を貯めながら経営を体験し、自分の経営に定期評価を受けられることです。問題を見つける力、改善する力を磨くことができ、今は株式会社スーパーホテルクリーンというグローバル人材を主力とした、清掃事業やビルメンテナンス事業のほか、人材事業、民泊事業を手掛けるグループ会社の社長として経営を任されています。プロジェクトで学んだことはすべて活きていますが、特に勉強になったのは、スタッフのマネジメントです。人材育成の勘どころを、Super Dream Projectで学ぶことができました。

創業者の経営理念であるFaithは、毎朝、全国のスーパーホテルでスタッフが唱和し、意見を交わしています。経営者の思いを組織全体に浸透させ、スタッフ全員を1つのチームにまとめ上げることは、容易ではありません。経営ノウハウの1つとして、理念が重要であることを、身を持って学びました。成功している大企業の多くが、なぜ創業者の理念やパーパスを大切にしているのか。その理由がよくわかります。

株式会社スーパーホテルクリーン
代表取締役社長

今泉 千晴

ベンチャー支配人から、
ホテルの所有者に
なるということ

スーパーホテル水俣 オーナー
株式会社メルキュリー 代表取締役

遠田 真吾

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Super Dream Projectへは、独立の夢を持ち開業資金を貯める目的で参加する方が多いです。私はある企業のオーナーから「資本参加して経営に加わらないか」と誘われ、その資金を貯めようと思って参加しました。

期待に応える仕事をすれば、それなりの報酬が得られるのがSuper Dream Projectの大きな魅力です。私は税理士事務所に勤めていた関係で、経理の知識はありました。営業や販売など、ビジネスの「攻め」の部分に関するスキルを得たいという気持ちが強かったと思います。

2008年に「スーパーホテルJR富士駅前禁煙館」の支配人からスタートし、「スーパーホテル函館」を経て2013年4月に「スーパーホテル薩摩川内」に異動しました。近隣にある原子力発電所のお客様が中心のホテルだったため、東日本大震災で原発が停止して以来、客足が遠のいていました。100室以下の小型店舗でしたが、厳しい経営環境の中で支配人を引き継ぐことになったのです。

近隣ホテルの状況把握のために自ら宿泊しリサーチを行ったり、インターネットを使った集客に工夫を施しリピート客を増やしたりしながら、売上とお客様満足度の両面で成果を出すことに夢中で励みました。薩摩川内市内に出張に来る可能性のある企業や個人に、スーパーホテルを利用してほしいと地道な営業を行ったこともあります。

スタッフの育成や発注・仕入れ先のビジネスパートナーとの付き合い方など、チームとして協力し進めました。そうしたチーム作りをしているうちに、繰り返し利用してくださるお客様が徐々に増えていったのです。私が責任者としてホテル1棟を丸ごとマネジメントし、お客様に喜んでいただけたことは大きな喜びです。一国一城の主とはこういうものかと、初めて思いました。

2015年に個人事業主から法人化し、「スーパーホテルLohas熊本天然温泉」の経営を引き受けました。その後、貯めた自己資金をベースに「スーパーホテル水俣」を買い取り、2024年8月からフランチャイズオーナーとして経営しています。本当の意味で、一国一城の主になることができました。

Super Dream Projectは大学や専門学校と違い、本物のホテルを1棟任されます。机の上ではなく実際のビジネスに身を置き、リアルの店舗を舞台にしているからこそ、一つひとつの意思決定の真剣味や責任感も異なり重みもあると思います。だからこそ、短期間にさまざまなことを吸収できるのでしょう。

Super Dream Projectの大きな魅力は、お客様、スタッフ、ビジネスパートナー、地域の方々とのつながりができることです。この人間関係は、飲食店や他のビジネスを始める際にも役立ちます。自己投資なしでこれだけの挑戦と学びができる機会は、ほかにないと思います。

スーパーホテル水俣 オーナー
株式会社メルキュリー 代表取締役

遠田 真吾