

TCSホールディングスがグループ13社統合を発表したのは2023年10月。
それから9カ月、いよいよ新社名がお披露目され、目指す未来像が明らかになってきた。
創業以来社是に掲げる「情報社会の明日」に向けて、変革の一歩を力強く踏み出す。
「今後待ち受けている未来に対応するために、あるべき姿に変わっていく。そんなシンプルな考え方なんです」
13社統合の意味を問うと、TCSホールディングス株式会社代表取締役社長の髙山芳之氏からは気負いのない答えが返ってきた。
1971年の東京コンピュータサービス株式会社創業を皮切りに、創業者である髙山允伯氏の強力なリーダーシップのもと拡大路線を推し進めてきた同グループは、あらゆる分野のソフトウエア開発を行う巨大な企業体だ。その中核であるITソリューション企業13社、およそ8000人が1つになるというニュースは業界に大きな衝撃を与えたが、社長自身は以前から統合の必要性を感じていたのだという。
「かつての成長戦略としては多角的な企業グループ化が不可欠でした。しかし現在、ソフトウエア開発を取り巻く環境は猛烈なスピードで変化しています。それらに迅速に対応するために今回の統合が必要でした」
だが、異例ともいえる8000人規模の統合となれば、不安を抱く社員もいるだろう。その点について、同社取締役の田村浩一氏が答えてくれた。
「今後はスケールメリットを活かして、“ソリューション軸”でのサービスを前面に打ち出していく予定ですが、今までやってきたことがガラッと変わってしまうわけではありません。むしろ、社員には今まで以上に成長の機会を提供できるはずです。選択肢が大きく増えるので、専門性を磨くのか、幅を広げるのかなど、主体的にキャリアマップを構築していくことが可能になるのです。統合は時代に合わせた“進化”なんだということは、受け入れてくれていると感じています」
先日、世間へのお披露目に先駆けて、社内に新社名が発表された。その名は『マーブル』。社員からは好意的な反応が寄せられている。軽やかなイメージのロゴと名称が、会社の”進化”を連想させたからだろう。

新社名として決定したのは「株式会社マーブル」。
プロジェクトチームは、社員に「新会社のイメージカラー」や
「キーワードとなる漢字」などアンケートを募り、アイデアを練ったという。
社長には田村氏が就任予定だ。
しかし、50年以上も業界のトップランナーだった東京コンピュータサービスの略称であり、グループ名としても使用されていた「TCS」の文字はどこにもない。まったく新しい社名にすることに抵抗はなかったのだろうか。
「新社名は、全社員を代表するメンバーのプロジェクトチームによって決めることとしました。TCSという名を使うか否かも含めて、彼らに判断を預けたのです」と髙山氏。
プロジェクトメンバーに選ばれたのは、次世代を担う11人だ。人材育成の一環として、経営学修士コースに派遣されている社員を中心に、グループを横断して集められた様々な年代、性別の社員たちが、新社名決定という1つの大きなゴールに向かう姿は、新会社のあるべき姿とも重なる。
「メンバーが大事にしたのは“つながり”というキーワードでした。IT企業は人と社会をつなげるのが役割。様々なものが混ざり合う様子から、『大理石』『美しい曲線模様』など、多様な意味を持つマーブルという言葉がぴったりだ、ということになったのです」と田村氏。髙山氏は「新しい会社をつくり上げるという意識から、メンバーはTCSという名称を残しませんでした。私もその選択に賛同したのです」と語った。
また、マーブルにはビー玉という意味もある。同じTCSホールディングス傘下ながら独自の企業文化を持つ異なった色合いの13個のビー玉が、それぞれの個性を発揮し、きらめきながら進んでいけば素晴らしいシナジーが生まれるだろう。
「社員も一人ひとり色が異なります。重要なのはその色、つまり個性を伸ばしていくことです」とも髙山氏は言う。
「当社には創業間もない時期から掲げている『自分で学び自分で努力し自分で自分を鍛えて、気骨稜々たる人間に成長し、確固たる信念の礎に、健康で価値ある人生を築く』という信条があります。ITソリューション事業において、何より重要なアセットは人です。マーブルは、社員が自分で自分をデザインできる、オーナーシップを持ち成長できる企業を目指します。そうすれば、おのずと組織も伸びていくと信じているからです」