貿易管理を取り巻く環境が激変 これまでにないコンプライアンスリスクにどう対応すべきか

4月17日、国会で重要経済安保情報保護・活用法案が審議入りした。経済安全保障分野における法制化はここ近年加速度的に進んでおり、先端技術から日用品まで貿易規制が拡大している。日本企業にとってコンプライアンス確保に不安を抱く企業も少なくないだろう。貿易管理を取り巻く変化や対応策として、トムソン・ロイターの「ONESOURCE Global Trade」を導入することを決定したセイコーエプソン株式会社 生産企画部長 花田 朋之氏とトムソン・ロイター株式会社 ソリューション営業本部長 橋爪 整氏に話を伺った。

橋爪 整 氏

トムソン・ロイター株式会社
ソリューション営業本部 本部長

橋爪 整

 コロナ禍で生じた供給網の多様化でサプライチェーン全体が極めて複雑化し、貿易コンプライアンスに大きなリスクを与えている。
また米中の貿易摩擦やロシア・ウクライナ情勢など、国際情勢による地政学リスクが上昇しており、企業にとってグローバルをカバーした安全保障貿易管理は絶対欠かせないトピックだ。日本政府が制定した法令さえ守ればいいというやり方は通用しなくなってきている。きちんと対応していくには、日本国内の法律だけでなく、米国、中国、ヨーロッパなど各国・地域の独自のルールをおさえ、その上で企業が自ら責任をもってサプライチェーンを守りながらビジネスを成長させる必要がある。

 自社が輸出するものや技術が誰にどのように使われていくのか把握が困難な上、守るべきルールが複雑化している。知らなかったでは済まされない状況になりつつあるが、一方、複雑な管理は人の手だと限界がきている。さらに、人口減少による人手不足も相まって、テクノロジーに頼るべき時がきているようだ。

セイコーエプソンは貿易管理業務に
ONESOURCE Global Tradeを導入

花田 朋之 氏

セイコーエプソン株式会社
生産企画本部 生産企画部 部長

花田 朋之

 セイコーエプソンは「信頼経営」を大切にしており、コンプライアンスの遵法は「経営理念及び企業行動原則」で掲げるほど重要視している。売上の7割は海外間取引で、現地法人に対する監査は行っているが、監査だけでは限界があり十分に管理しきれているとはいえない状態だった。
 これだけ法整備が複雑になると、抜け漏れなく遵法するためには、人の手では限界があった。また、長野県に本社を置くセイコーエプソンでは、知見のある人材を確保するハードルが都心の企業より高い傾向にあり、人が今まで以上の頻度でモニタリングすることが難しく、間違いを起こしてしまう懸念があった。グループ全体の状況を集約しリアルタイムで把握するためには、システムを活用して自動的にコンプライアンスを管理する必要があったのだ。
 「各国独自に定められたルールを守るためには、情報を漏れなく拾い上げてモニタリングをすることが必要で、1つのシステムで全グループの状況をリアルタイムで把握し、コンプライアンスの確保とビジネスの効率化を同時に行いたいと考えました」と花田氏はいう。

 「近年は企業規模にかかわらず生産や販売の海外比率が増加しているが、管理体制が追いついていない。各国・地域が要求する輸出管理規制に即時に対応できていないのが現実だろう」と橋爪氏は指摘する。事実、グローバルの法規制は日々更新され、複雑化を極めているため、従来のように人の手でチェックすることは現実的ではなく、人海戦術では到底追いつかない。ならばシステムやテクノロジーに頼るのは自然な流れだろう。また、これまでも内製のシステムを活用していたり、既にシステムを導入している会社もあるが、めまぐるしく変わるグローバルの情勢において企業の成長を実現するためには、クラウドベースのシステムへのシフトや、最新のグローバル法規制を網羅的に監視するための体制が必要だ。

 セイコーエプソンが当時運用していたシステムは、日本国内の一部のみを対象にしていたため、システム導入にあたっては、グループ全体の状況をリアルタイムで集約・把握し、自動的にコンプライアンスが確保できることを条件として検討し、トムソン・ロイターのONESOURCE Global Tradeを選定した。
 近年、米中の対立によりアメリカが独自に法律を定めて、中国企業を排除するために禁輸リストを毎日更新している。それに対応でき、導入実績が豊富で、日本、グローバル双方の業務や文化に精通しているものを検討すると、ONESOURCE Global Tradeに匹敵するシステムは他にない状態だったと花田氏はいう。

「自動化」と「集約化」で
業務効率化とコンプライアンス強化を実現

ONESOURCE Global Tradeは、国際貿易規制への対応を充実させながら、グローバル企業の作業効率性向上、コスト削減を可能にする、貿易管理のインフラ基盤構築を支援するソリューションだ。

 ONESOURCE Global Tradeの特徴は自動化と集約化ができることだ。受注と出荷情報のチェックや、取引先情報のスクリーニングといった、貿易コンプライアンスにおいて求められる重要な作業を属人化させずに、企業の組織変更やビジネスの成長など、変化への対応をサポートするほか、情報を集約し、全体把握を可能にする。管理しづらい海外法人を見える化し、日本本社からコンプライアンスを管理できる。また、基幹システムとデータを連動して貿易・物流サイクルを止めずに作業が可能になる。これらの一連のコンプライアンスチェックを一つのプラットフォームで完了させるワンストップソリューションを提供しているため、グローバルサプライチェーン一体での安全な貿易取引とコスト削減を追求できる。

グローバル貿易管理の現状とありたい姿
「集約化」

グローバル貿易管理の現状とありたい姿「集約化」

審査ロジック、情報の集約化により、グローバル一体での安全な貿易取引、コスト削減が求められている。

 さらに、トムソン・ロイターでは、210以上の国や地域の輸出入制度情報を網羅し、約200人の専門スタッフが365日体制で規制や制度変更を常にモニタリングしているので、最新法令のチェック漏れのようなビジネス上のリスクを最小限に抑えられる。「貿易関連の法規制の改正はグローバルで年間で1億件以上もあります。この規模でモニタリングし、毎日アップデートしている会社は他にないでしょう。また、大事なのはONESOURCE Global Tradeを活用いただくことでお客様のビジネスの成長を継続的に支えることです。こうしたグローバル法規制情報の更新だけでなく、新しい機能の追加やシステムの更なる安定性と耐用性といった部分への投資も惜しまない」と橋爪氏は自信を見せる。

「集約化」を支える
法制度モニタリングと更新

「集約化」を支える法制度モニタリングと更新

ONESOURCE Global Tradeは、輸出入関連の法令/制度コンテンツを、広範かつ最新の状態で企業へ届ける。

 「経営リスクがどこに存在しているのかを把握できないと、法令違反や技術漏洩のリスクにさらされたままの状態が続いてしまう可能性があります。グローバル全体での取引状況とリスクを把握し、リスクを最小化するための策を打つことが大切になります。そのためのDX化とグローバルビジネス強化の両立が必要です」と橋爪氏はいう。

橋爪氏と花田氏 橋爪氏と花田氏

今後は人権デューデリジェンスや
その他幅広く対応していきたい

 今後もおそらく新しい法規制がどんどん出てきて企業に求められる対応はさらに複雑になっていくだろう。リスクマネージメントの重要性が増す中、トムソン・ロイターは、クラウドSaaSベースのソリューションと広範かつ最新のグローバル法規制コンテンツの両方を用いることができる稀有な会社だ。この二つを共に提供することで、法規制チェックから、実際のワークフローに至るまで、企業の貿易コンプライアンスを包括的にサポートできるのだ。

 橋爪氏は「我々は総合的なDXソリューションを提供し、企業の意思決定に必要なデータを取得してリスク管理の実現を支援しています。今後は、コアの強みである輸出入管理から視野を広げて、サステナビリティ要求の一環として人権デューデリジェンスやその他のコンプライアンスなどの課題に、積極的にAIを活用しながら、幅広い観点でケイパビリティを示していきたい。日本企業のグローバル・ビジネス・パートナーとして持続的な成長を促進することに尽力していきます」と意気込む。

 それを受けて花田氏は「セイコーエプソンでは、これまで各国で少しずつ違っていた運用を一つのシステムに集約し、グループ全体の貿易管理業務の標準化につなげたいと思っています。輸出入実務などの別の業務システムとONESOURCE Global Tradeとの連携も想定し、より広い範囲での効果を期待しています。この機会に我々自身の業務の見直しも行っていきたいと思っています。
 また、安全保障貿易管理システムは、複雑化する世界に対応し、信頼されながら事業を行うために必須のものです。その上で、人間が行わなければならない戦略策定やリスク判断に集中し、組織としての専門性の向上に努めていきたいです」とONESOURCE Global Tradeに期待を寄せている。

橋爪氏と花田氏

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