――ただ、企業間取引のデジタル化では取引先の合意や対応が必要です。これがハードルとなり、思うように取り組みを進められないケースもあるようです。
菊池 その通りですね。「取引をデジタル化したい」という自社の提案にどれだけ多くの取引先が賛同してくれるか。この割合を高めるには、相手にもメリットのある仕組みを用意することが大切です。
当社が提供する企業間取引プラットフォーム「Tradeshift」は、導入企業はもちろん、取引先企業も基本機能を無料で利用できます。操作もスマートフォンのアプリのように簡単で、マニュアルを見なくても使えます。始める際の経済的・心理的ハードルをなくすことで、多くの取引先が参加しやすい仕組みにしています。
また、アプリを使って自由に機能拡張ができることにより、複雑なプロセスを必要とする大企業のニーズにも柔軟に対応できます。
既に世界200万社以上がTradeshiftを利用して、成果を生み出しています。例えばある海外のお客様は、別のシステムで企業間取引のデジタル化を進めたものの、参加してくれる取引先がなかなか増えず、4年間で350社ほどに留まっていました。それがTradeshift導入後、わずか1年で5000社を達成しました。そのほか、多くの国内企業が短期間で取引先の参加率を高め、成果を上げています(図)。
――大きな成果を得るためにも、発想の転換が大事だということですね。
菊池 人口減少が加速する日本において、人がいないと回らない業務は近い将来、事業の大きな足かせになります。「業務の自動化やアウトソーシングを考えている」という声を耳にすることもありますが、その前に、デジタル化により不要なプロセスをなくすことが肝心です。自動化やアウトソーシングにおいても、対象となるプロセスが短くシンプルである方が経済的であり、属人化を解消する効果もあります。
俯瞰的に見れば、デジタル化を進めて人の負担を削減することは、社員の働きやすさやエンゲージメントの向上、ひいては組織自体の魅力アップにつながるものです。単純/反復作業はなるべくシステムに任せて、人はよりクリエイティブで楽しい仕事にシフトする。この視点でも、企業活動の起点である取引のデジタル化は不可欠です。Tradeshiftの導入がその第一歩を踏み出すきっかけになれば、こんなうれしいことはありません。