生活に身近なところから航空宇宙分野まで幅広く活躍する素材であり、脱炭素社会の実現に欠かせない素材として注目されるアルミニウム。その特性を引き出す技術力で、国内外トップクラスのアルミニウム総合メーカーとして注目されるのが、UACJだ。同社が提供する「素材+α」の価値について、田中信二社長が語る。
グローバルに展開するUACJの事業概要と理念を教えてください。
当社は125年以上の歴史を持つ、アルミニウム総合メーカーです。飲料缶から自動車、IT機器、空調、航空宇宙産業まで幅広い分野へのアルミ素材の提供により、皆さまの暮らしや産業を支えています。「アルミでかなえる、軽やかな世界」をスローガンに、目指す姿として「素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する。」を掲げ、事業活動を行っています。
2024年4月、新社長に就任されました。新たな取り組みと意気込みをお聞かせいただけますか。
今年は、古河スカイと住友軽金属工業の経営統合により、UACJが発足してから11年目。「UACJ VISION 2030」の達成に向けた、第4次中期経営計画がスタートする年でもあります。約1年かけて計画に携わった一人としてこれをしっかりと実現し、変化への対応力を備えた企業として成長させていきたいと考えています。

第4次中期経営計画で掲げるビジョンをご紹介ください。
2024~27年度にわたる第4次中計のキーワードは、「稼ぐ、繋ぐ、軽やかに」。事業利益を社会や従業員に還元し、ステークホルダーと共にリサイクルの輪を繋ぐことで、持続可能で軽やかな世界を目指すというものです。社会環境が大きく変化する中、当社に求められる取り組みも多様化しています。なかでも気候変動対策、サーキュラーエコノミー社会の構築などのサステナビリティ分野において、アルミニウムだからこそ力を発揮できる領域はますます広がっています。そこで第4次中計では、「“素材+α”の付加価値提供企業へ」をテーマに、成長戦略として4つの「+α」による価値創出を目指してまいります。
4つの戦略について、詳しく教えていただけますか。
1つは、「リサイクル推進」の新しい仕組みづくりとビジネスモデルの変革です。アルミニウムは何度でもリサイクルできる金属であり、その際に排出されるCO2量は、新地金鋳造時のわずか3%。すでにアルミ缶のリサイクル率は90%(※)を超えていますが、今後は他分野でのアルミ用途を拡大するとともに、リサイクル率を向上させることで、アルミニウム循環の輪を太くしていきます。
※2022年度アルミ缶リサイクル協会より
さらに2つ目の「素材+加工ビジネスの拡大」戦略では、脱炭素の潮流でニーズが高まる自動車、空調・熱マネジメント分野をターゲットに、当社の多彩な事業と技術力を掛け合わせたビジネスを展開。材料設計から加工までを保有するグループの強みを、3つ目の戦略である「先端分野のサプライチェーン安定化への貢献」にも繋げてまいります。具体的には、2024年10月に航空宇宙・防衛材事業本部を設置し、産業の基盤を支え、「素材+α」の価値創出・拡大を図っていく計画です。
そして4つ目は、モビリティやライフスタイル・ヘルスケア、環境・エネルギー分野などで社会課題に貢献する「新領域ビジネスの拡大」。2023年には新ブランド「ALmitas+(アルミタス)」を立ち上げ、アルミニウムの価値を高めるとともに、その活躍の場を広げています。

UACJでは、同社素材におけるリサイクル材の配合率(UACJリサイクル率)を、2019年の65%から、2030年には80%まで高めていくという。
今後の展望をお聞かせください。
「アルミニウムの循環型社会」を実現するために、日・米・タイのグローバル主力拠点でリサイクル関連設備を拡充するほか、回収スキームの構築により、リサイクル原料の使用量拡大の取り組みをさらに進めてまいります。

素材回収の新たなサプライチェーン構築と回収対象の拡大により、リサイクル材の使用量を増加。アルミ缶のような水平リサイクルを、より多くの分野で推進していく。
循環型社会の実現には、皆さまにたくさんアルミニウムを使っていただき、共に循環の輪を回していくことも重要です。UACJは、これからもアルミニウムの価値向上に努め、その魅力を世の中に発信し続けることで、「アルミでかなえる、軽やかな世界」の実現を目指してまいります。