ベクター・ジャパン 代表取締役社長 丹野 清嗣氏
PROFILE
丹野 清嗣[たんの・きよつぐ]
1970年生まれ。住友電装に入社後、海外のOEM向け部門にて、海外の顧客生産拠点との協業による電装設計・回路設計に従事。2002年にベクター・ジャパンに入社。日本の自動車業界の各企業に対する車載ソフトウエア用開発ツールのサービスなどの業務を中心に担当。2024年1月1日に、現職に就任。
来るSDV時代の急務である
加速する自動車開発を
5つの切り口から支援
当社のドイツ本社は、多重通信による自動車制御の時代を拓いた「CAN(Controller Area Network)」の開発者によって1988年に創立。以来、「カーエレクトロニクス」の進化に寄り添い続けてきました。このカーエレクトロニクスの開発者を支援するツールと、業界標準に準拠した組み込みソフトウエアを、当社の2つの柱として提供しています。
特に、自動車に求められる高レベルの安全性を、ソフトウエアによって作り込む技術と手法に強みを持っています。こうした強みが評価され、今ではデファクトスタンダード製品を提供し、世界中のほぼすべての自動車メーカー(OEM)をお客様とする企業になりました。
SDV開発というチャレンジに
対応するには
現在、自動車業界の各企業は、「100年に一度」と言われる大変革に取り組まれています。こうした潮流の中で注力しているのが「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」の開発です。
SDVとは、走る・曲がる・止まるといった基本動作から、情報や娯楽を提供するインフォテインメントまで、より多くの機能をソフトウエアで実現するクルマのことです。スマートフォンのように、ニーズの変化や技術の進化に応じて、機能を自在に追加・更新・変更できる、購入後も進化し続けるという特徴を持っています。
SDVの開発は、OEMやサプライヤーにとって、大きなチャレンジです。SDVでは、車内各所に分散設置した機構を中央の高性能コンピューターで集中的に管理・制御する「ゾーンアーキテクチャー」と呼ぶシステム構成となります。その実現には、ソフトウエアとハードウエアが分離した構造や、セーフティー、セキュリティー、リアルタイム性などに優れたソフトウエアの導入が欠かせません。
これに伴い、今では多くのOEMの皆様がソフトウエア開発部門を増強していますが、車載システムの高度化が急速すぎるあまり、ペースが追いついていないのが現状です。クルマに投入すべき技術も急速に高度化しているため、自社内の力だけで使いこなすのが困難な状態にあります。
開発項目の中には、自社開発すべき「競争領域」と、差異化要因になりにくい「非競争領域」があるはずです。このうち非競争領域の開発は、業界標準のオープンな技術を有効利用した方が得策ではないでしょうか。
5つの切り口から
SDV開発を徹底支援
ベクターは長年にわたり、ソフトウエアの観点から自動車業界のお客様を支援する方法を模索してきました。2003年に設立された車載ソフトウエアのグローバルな標準化団体「AUTOSAR」の標準化活動に仕様の企画段階から参画。これに準拠した車載システムの土台となるBSW(ベーシックソフトウエア)では、当社の「MICROSAR」が多くのシェアを獲得しています。
開発ツールにおいても、SDVの実現に欠かせないプロセスやワークフローに組み込む様々なツールを提供。エレクトリカル/エレクトロニックアーキテクチャー設計からテストおよび最終調整に至るまで、全開発工程を網羅して必要なツール群を提供できる数少ない企業の一つだと自負しています。
SDVの開発では、大きく5つのポイントでの支援が求められますが、ベクターは、これらの要求に応える支援サービスを適切かつタイムリーに提供していきます(図1)。
図1 SDV開発に向けてベクターが提供する支援サービスの5つのポイント
クルマに搭載する機能をソフトウエアで定義し、市場投入後にも更新可能にしていくため、ベクターは目指すシステムの実現に必要な専門情報を、求められるタイミングで継続的に提供していく
医療機器や産業機器の開発に
ベクターの技術を活用できる
システムの機能をソフトウエアで実現する動きは、自動車と同様に高レベルの安全性が求められる他分野のシステム開発にも広がっており、ドローンやロボット、さらには工場や医療現場などで利用するシステムでも、高度な組み込みソフトウエアが活用されるようになりました。車載ソフトウエア開発向けのツールや組み込みソフトウエアは、これらの開発にも利用可能です。
ソフトウエア化と安全性の作り込みは、とかく両立が困難だと思われがちです。当社は、自動車業界で培った技術と確かな実績を生かし、多様な分野のシステムの進化を支えるパートナーになりたいと考えています。
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