地方銀行の変革を支えるキャリア採用活動の実態 地方銀行の変革を支えるキャリア採用活動の実態 地方銀行の変革を支えるキャリア採用活動の実態

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ふくおかフィナンシャルグループが推進する企業価値向上の源泉となる人財戦略

ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)は2007年4月に設立、九州全域にネットワークを構築する地域金融グループとして国内最大規模となっている。福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行などもグループに加わり、証券会社、カード会社、コンサルティング会社など多くの関連会社を持つ。銀行を取り巻く環境が著しく変化する中で、FFGでは2018年頃からキャリア採用の強化を進めている。その狙いは何か。既存事業の変革や新規事業のポートフォリオ拡大等を長期戦略として掲げる同社の取り組みを人事部門と現場部門のそれぞれの視点で伺った。

三菱重工 HRMOS 採用

地方銀行にも多様な人財を
狙うはDX推進、新規事業拡大

金融業界を取り巻く環境が急速に変化する中、地方銀行もその在り方を見直す必要に迫られている。低金利や少子高齢化といった課題に加え、デジタル化の進展、非金融事業者の台頭、顧客ニーズの多様化が進む中で、地方銀行もDX推進や新規事業開拓といった成長戦略を模索している。

「FFGは地域密着型の金融機関としての役割を果たしつつ、新たな価値の創造に取り組んでいます。具体的には、新規事業として地域経済を活性化するためのGX(グリーントランスフォーメーション)関連のプロジェクトや、スタートアップ企業との連携を強化しています。また、既存の業務についても、デジタル化を推進し、顧客体験を大幅に向上させるためにバンキングアプリや法人顧客向けポータルサイトの開発を行っています。このような取り組みは、地方銀行としての競争力を高めるだけでなく、地域社会における持続可能な成長を支える基盤となっています」と同社人事統括部人事統括グループ採用チーム部長代理の林健太氏はいう。

その鍵を握るのが、外部からの多様なキャリア人財の採用だ。FFGは「地域と共に成長する金融グループ」という使命の下、内部リソースだけでは埋められない課題解決のために、2018年頃からキャリア採用を本格化させてきた。

ふくおかフィナンシャルグループ
人事統括部
人事統括グループ 採用チーム
部長代理
林 健太 氏

地方銀行におけるキャリア採用は、当初、多くの課題に直面したという。「新卒採用中心の印象が強い地方銀行がキャリア採用を行っているという事実を広く知っていただくこと自体難しく、さらに新規性の高い事業領域やDX推進部門では、人事部だけでは現場のニーズや期待役割、具体的な職務内容をターゲットとなる人財に的確に伝えきれません。また、採用競合も多く選考のスピード感も求められます」(林氏)。

事業への解像度を高く持ちながら、採用活動の成果を上げていくには事業部門の採用活動への参加が不可欠であり、人事部と部門間の密な連携こそが採用成功を左右する重要な要素であった。

これらの一連の採用業務や情報連携をスムーズに行うため、ビズリーチが提供する採用管理システム「HRMOS(ハーモス)採用」を導入。採用活動における業務やオペレーションフローの最適化、情報の可視化・課題分析の仕組みを整備し、いまではグループ全体で採用に関する業務と情報が集約されたツールとして機能している。

さらに、FFGでは2020年にはデジタル人財の活躍を正しく評価できるよう、専門人財向け人事制度を新たに設計。「発揮するパフォーマンスによって正しく人財を評価できる制度は、人財の定着だけでなくさらなる採用の強化にも大きな武器になると考えています」と林氏はいう。

キャリア採用の人財が
強力に事業を推進していく

FFGでDX推進を行っている関谷浩氏と、福岡銀行でストラクチャードファイナンスを行っている正木健太郎氏も、FFGへキャリア採用で転職してきた人物だ。

ふくおかフィナンシャルグループ
DX推進本部 内製開発グループ兼データ活用グループ
シニアエキスパート
関谷 浩 氏

前職で大手SIerに勤めた関谷氏は、電子カルテシステムや地域医療連携システムの開発に携わり、ラインマネジメントも行ってきた。「元々、金融業界への転職はまったく考えていませんでしたが、FFGにて働く知人経由で広くエンジニアを求めていることを知りました。これまでエンジニアとして20年間キャリアを積んできた中で、モノづくりの本質は『お客さま』『ビジネス』『エンジニア』が一体となり、共に価値を創造することだと実感していました。その中で、FFGが地域のお客さまと築いてきた長年の信頼関係と、取り組む領域の魅力に深く共感し、ここで自分の経験を活かしながら新たな挑戦をしたいと考え、転職を決意しました」(関谷氏)。

関谷氏はFFGに入社後、個人顧客向けバンキングアプリ、法人顧客向けポータルサイトなどの開発やSFAの導入などを行うDX推進本部に配属となり、内製開発案件のマネジメントに従事することとなった。「バンキングアプリとポータルサイトはシステムの内製化にこだわっています。内製化することでお客さまの意見を柔軟に取り入れて開発・リリースするアジャイルでの開発が可能となります。また意外と思われるかもしれませんが、開発環境の選択に自由度がある分、パフォーマンスを発揮しやすい環境も整っていますね」(関谷氏)。

DX推進本部ではどのような人財を求めているのだろうか。

「DX推進本部では、従来の銀行業務の枠組みを変えるような、非常にチャレンジングな業務が数多くあります。そのため、将来の見通しが必ずしも明確でない状況下でも、変化に柔軟に対応できるプロダクトづくりが重要となります。現在、DX推進部には多様なバックグラウンドを持つ人財が集まっており、従来の銀行文化にとらわれないメンバーも多く活躍していますが、会社やプロジェクトのミッションに深くコミットできる姿勢を持つ人が求められます。また、DX推進には様々な部署との密接な連携が必要であり、チームとして成果を上げる協働力も重要な要素です」(関谷氏)

さらに続けて、「FFGがエンジニアを募集していることは、まだ広く認知されていない状況です。そのため、人事部と密に連携しながら、ビズリーチのスカウト運用をチームで推進したり、社外セミナーに積極的に登壇したりしています。また、認知度向上を目的に、九州地方のエンジニアを対象としたイベントの主催にも取り組んでいます。今後は、人事部とさらに協力しながら、キャリア採用で入社した人財のキャリアパス設計にも力を入れていく予定です」と関谷氏は答えている。

正木 健太郎 氏

福岡銀行
ソリューション事業本部
事業開発チーム
部長代理
正木 健太郎 氏

正木氏は元々、十数年間メガバンクに勤務。そのキャリアの半分が海外への赴任であったという。

「香港やシンガポールは、世界中から専門性の高い人財が集まる都市です。これらの都市からアジア各国へ出向き、国営企業や民間大手企業への提案活動を行う中で、多くの同僚や案件で関係する人が『自国の発展に貢献したい』という強い意思を持っていることを肌で感じてきました。私自身も将来的に海外で得た知見や経験を地元に還元したいと考えていたところ、福岡銀行の人財募集を知りました。同行がストラクチャードファイナンスに注力していると聞き、これまで培ったスキルを最大限活かせる場だと感じ、入行を決意しました」

FFGがソリューション力強化のために構築した組織体制。FFGが持つストラクチャードファイナンスなどのノウハウを活用することで、ソリューション提供型営業の高度化・先鋭化に取り組む。九州各社とのリレーションシップを起点に、地域の持続的な成長へ貢献を目指す

正木氏は入行後、再生可能エネルギー向けプロジェクトファイナンス、PFI・PPP、空港コンセッション向けファイナンスを担当するチームに配属され、グループの先駆者として新たな挑戦に取り組み、これまで取引のなかった外資系事業者や国内大手・外資系金融機関との関係構築を進めてきたという。

現在の仕事の魅力について、正木氏は次のように話す。「FFGが持つストラクチャードファイナンス、エクイティ投資、M&Aといった分野で培ったノウハウを活用しながら、新たなソリューションを提供するために、自分たちが第一人者として未知の領域に挑戦していく必要があります。その過程では、課題を解決する醍醐味や、自らの手で道を切り拓いていく手応えを強く実感できます」。

地域の産業振興に貢献するためには、積極的なリスクテイクが欠かせないという。「そのためには、産業振興を支える主要なプレイヤーとの密なコミュニケーションを能動的に行い、地域全体の利益に繋げていく姿勢が求められます。また、役員や融資審査を行う部門との距離が近いことから、様々な案件にも積極的に挑戦でき、スピーディに案件の可否を判断できることもFFGならではの魅力です」(正木氏)。

また正木氏は「実際に入行して驚いたのは、戦略子会社の設立に長けた銀行であることです。産業金融部には事業承継をサポートする会社があり、事業投資後の成長支援に特化した会社も存在します。今後もあらゆる領域で戦略子会社を設立し、提供価値の幅を広げていくことも視野に入れています」とも話している。

今後も事業拡大を行う上で、FFGの投資銀行部門ではどのような人財を求めているのだろうか。

「当部門においては、様々なチームが存在し、事業承継・M&A・LBO・ファンド投資・事業投資・在京プレイヤーとの関係構築・プロジェクトファイナンス・不動産・船舶・航空機等の分野で、それぞれの人財に高度な専門性を発揮してもらっています。共通の目標は、既存のビジネスをさらに進化させるとともに、新たな挑戦を果敢に行うことです。求められるのは自分の頭で考え、多少の失敗を恐れず挑戦を続けられる人財です。また関係者が多岐にわたるため、各関係者の立場や考えを想像しながら円滑にコミュニケーションをとる力も重要です。突破のハードルが高い局面でもあきらめず、最後まで粘り強く取り組む気概が求められます」(正木氏)

多くのキャリア人財を確保し
グループのシナジー効果を高める

FFGでは「ビズリーチ」「ハーモス採用」を使って、効率的に専門性の高い人財を採用できる仕組みが整ってきているという。「2019年以降、年間約100名をキャリア採用で迎え入れることができるようになりました。2018年頃はキャリア採用30名程度だったことを考えると、再現性のある採用体制が確立されつつあると感じています。生え抜きの銀行員だけが集まってもイノベーションは生まれにくいという考えのもと、キャリア採用を強化した結果、多様なバックグラウンドを持つ人財が採用でき、事業を加速度的に進められるようになりました」と林氏はいう。

ビズリーチからのサポートも採用戦略に大きく寄与している。「ビズリーチからはサービスの活用提案にとどまらず、地方や首都圏における採用市場の情報提供、認知度向上や興味喚起の手法に関するアドバイスなど、当社の状況に合わせた様々な相談に応じてもらっています。こうしたサポートは他のエージェントやベンダーでは得られにくいものだと思いますね」(林氏)。

今後の採用戦略について林氏は次のように語る。「来年度から新たな中期経営計画がスタートします。現在、その策定と並行して人財戦略も練っています。次の中計では、『デジタル/AIの活用により、お客さまを深く理解し、デジタルと人による細やかなサービスを提供すること』がひとつの柱となり、もう一つの柱が『GXをはじめ、M&A、事業承継、半導体、スタートアップといった今後の九州の成長を牽引していく領域』で、それぞれの事業を牽引する即戦力人財の採用に注力していく方針です。グループ全体の認知度向上も重要です。全国各地からFFGと取引したい、FFGで働きたいと思っていただける人を増やしていけるよう、取り組みを進めていきたいと考えています」。

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