
SB C&S
AI時代の企業を
“つなぐ通信基盤”
SB C&Sが描く
モバイルデータ通信戦略構想
SB C&Sはソフトバンクの創業事業であるICT商材の卸流通を担い、国内最大級のIT流通プラットフォームを保有する。同社は、2025年10月より法人向けモバイル通信サービス「CAS Connect(以下、キャス コネクト)」を開始する。AI・クラウドの浸透で通信の在り方が変わりつつある今、新たにモバイルデータ通信事業に参入する背景にある戦略とはどのようなものか。戦略的な一手の狙いと意義、そして今後の展望を探った。

新しいテクノロジーを
より使いやすい仕組みや
形にしてお届けします
SB C&Sは、パソコン用パッケージソフトの流通からビジネスを始めたソフトバンクの中で、主要セグメントの一角を担っています。「繋ぐ」を事業ビジョンに掲げ、現在も創業以来の役割を受け継ぎ、AIやIoT、5G、クラウドなどの先端技術を、いち早く使いやすい形にして提供するコマース&サービス事業を展開しています。
流通プラットフォームが拓く
新たな通信戦略
1981年、米国からパソコン用パッケージソフトを輸入し、小売店へ卸売りした事業から始まったSB C&S。現在は、PCやネットワーク機器、セキュリティソリューションに加え、SaaS、クラウドなど、あらゆるICT商材を法人・コンシューマーの両市場に供給している。取り扱いメーカー数は約2,500社、そして商材数は50万点にのぼる。こうした圧倒的な流通基盤を支えるのが、全国の販売代理店やメーカーと築いてきた独自の「流通プラットフォーム」だ。今回の新規事業でも、そのネットワークを生かし、PCやモバイルルーターといったデバイスに加え、クラウドやSaaS、セキュリティなどのIT商材と通信を組み合わせて提供することで、パートナー企業が自ら新たなサービスを生み出せる仕組みを整えた。
なぜ今、SB C&Sは通信事業に乗り出すのか。その背景にあるのは、AIやクラウドの活用拡大によって、企業のデータ通信需要が質・量ともに急速に変化しているという現実だ。
「生成AIの利用をはじめ、業務の多くがクラウド上で完結する時代になり、社内外のどこからでも安全かつ快適に接続できる環境が求められています」と、SB C&S執行役員の仲畠太士氏は語る。
コロナ禍を契機にリモートワークが定着したことで、LTE対応PCやタブレットの導入が進み、場所を問わず生成AIを活用したいという企業ニーズが急速に高まっているという。
これまでSB C&Sは、親会社であるソフトバンクの通信サービスを自社の販売チャネルを通じて企業向けに展開し、中小企業を中心に通信環境の整備を支援してきた。一方で、流通プラットフォーム上には、クラウドやSaaSなどと通信を組み合わせて新たな価値を創出できる潜在領域が数多く残されていた。
そこで同社は、通信の契約・管理を一元化できる独自システムを開発し、モバイルデータ通信プラットフォーマーとしてその仕組みをパートナー企業に提供することで、新たな価値提供を進めているというのだ。
「今後、生成AIの需要が急速に高まる中で、私たちは流通プラットフォームを通じて、パートナー企業の皆様がIT商材とモバイル通信を自在に組み合わせ、どこでもAIを活用できる環境を構築できるよう支援していきます」(仲畠氏)
この取り組みを具現化するのが、ソフトバンクのグループ企業でインターネット接続サービスを担うBBIXの大容量バックボーンを活用した、オリジナルのモバイルデータ通信サービス「キャス コネクト」だ。安全かつ低遅延な通信を軸に、AI時代の新たなビジネス基盤づくりを後押しする。
パートナー企業に通信サービスパッケージを提供するモバイルデータ通信プラットフォーム「キャス コネクト」
安全で低遅延な
通信プラットフォームを実現
通常のモバイルデータ通信サービスでは、インターネットでWebやクラウドに接続する際、複数のインターネット通信事業者を経由するケースがある。その結果として通信遅延が発生したりデータを不正に取得される可能性がある。
それに対して「キャス コネクトならば、BBIXのバックボーンを活用しMicrosoft AzureやGoogle Cloud、kintoneなどの主要クラウドに直接接続できるので、安全かつ低遅延、大容量の通信を提供できます」と、BBIX社との協業メリットを仲畠氏は説明する。
さらに、SB C&SとBBIXが共同で開発した顧客管理プラットフォームにより、通信契約や利用状況を一元的に可視化。販売代理店やメーカーなどのパートナーは、自社の顧客に提供する通信サービスの契約・更新状況をリアルタイムで把握し、最適な提案や機器の更新タイミングに応じたクロスセルを行うことができる。
これにより、パートナー企業は通信を自社ソリューションの一部として柔軟に組み込み、新たな付加価値を創出できる。SB C&Sは、BBIXとの技術連携を通じて、流通プラットフォームの上に“安全でつながる仕組み”を築き上げようとしている。
パートナーと共に築く
AI時代のエコシステム
「キャス コネクト」の顧客管理プラットフォームは、通信制御を柔軟に行える点が大きな特徴だ。休止や再開といった手続きをオンライン上で簡便に行えるため、エンドユーザー企業だけでなく、通信を自社サービスに組み込みたいパートナー企業にとっても大きな価値をもたらす。
例えば、レンタルPC事業を展開する企業では、短期利用やスポット需要への対応が求められることが多い。「キャス コネクト」なら、レンタル期間に合わせて通信をアクティブ化したり休止することができるため、利用状況に応じた柔軟な運用が可能になる。こうした仕組みは、限られた期間だけ通信を必要とする法人案件やイベント用途などにも有効だ。
このように、パートナー企業の業態や商流に合わせて通信の契約・利用を自在にコントロールできる点が、「キャス コネクト」の最大の強みである。SB C&Sは、モバイルデータ通信プラットフォーマーとして、こうした仕組みを通じてパートナー各社が自らのビジネスを拡張し、新たな収益機会を創出できる環境を整えていく。
「今回、私たち自身がモバイルデータ通信プラットフォーマーとして通信サービスを提供するモデルに加え、パートナー企業が自らモバイルデータ通信事業を立ち上げられる仕組みを整えました。AI活用が進むビジネス環境の変化に合わせ、共に新しいエコシステムを築いていきたいと考えています」(仲畠氏)
生成AIやクラウドの普及で、企業活動のあらゆる場面に「つながる」ことが前提となる時代。SB C&Sは流通という強みを基盤に、通信を通じてパートナーやユーザー、そして社会全体を支える新たなエコシステムの構築に踏み出した。同社が描くモバイルデータ通信プラットフォーム構想は、AI時代の企業成長を支える“つながりの基盤”となるはずだ。



