リーダーたちが語る、新たな“まち”のかたち リーダーたちが語る、新たな“まち”のかたち

グラングリーン大阪がもたらす共創価値

JR大阪駅に隣接する広大なエリアに、都市とみどりが融合する大規模複合施設が誕生した。
「グラングリーン大阪」が目指すのは、まちでの出会いを通じた共創によって、新たなイノベーションを生み出すこと。
複数の企業がパートナーシップを組み、唯一無二のまちづくりを推進している。
今回はその中から、三菱地所とdentsu Japanのリーダーたちに、
ビジネス拠点としての可能性と未来像を訊いた。

聞き手 日経ビジネス発行人 松井健

「みどり」と人をつなぐランドスケープデザイン

松井 「グラングリーン大阪」の開発背景とコンセプトをお聞かせください。

菅沼 グラングリーン大阪は、旧梅田貨物駅跡地に誕生した大規模複合施設です。2018年の事業コンペを経て、9社の共同事業体で開発を進めていますが、当初から「みどりとイノベーションの融合」を強く意識してきました。単なる植栽としての緑ではなく、そこに集う人々の活動が価値を生む“場”としての「みどり」を提供したいと考えています。

鹿毛 約4.5万㎡もの広大な公園を中心に据えるという計画を聞いたときは、驚きとともに胸が躍りました。dentsu Japanとしてもこの構想に共感し、早い段階から関わらせていただいています。

松井 緑が人をつなぐという発想は、今までの都市開発にはない切り口です。

三菱地所 関西支店長

菅沼 健太郎

菅沼 今回のプロジェクトでは、ランドスケープ設計を米シアトルのGGNというデザインファームに依頼しました。彼女たちが大切にしているのは「ヒューマニティ」、つまり人のアクティビティをデザインすること。我々もその思想に触れ、建物中心ではない、新しいまちづくりの可能性に気づかされました。また、今回のプロジェクトは公園というパブリックスペースを中心としていることも大きな特徴の1つです。それによって、市民や来街者がこのまちを自分の居場所として捉えていただけていることも大きなポイントです。

松井 dentsu Japanはいつから、どのように携わってきたのでしょう。

dentsu Japan
エグゼクティブ・マネジメント関⻄代表

鹿毛 輝雅

鹿毛 コンセプト作りが始まった、2019年から一緒に取り組ませていただいています。当初は、どうすれば緑の価値を伝えられるかを散々議論しましたね。

菅沼 はい。電通さんには、あえてひらがな表記の「みどり」を使い、そこに新しい概念を持たせましょうとご提案いただきました。「みどり」に想いを集約することで、国内外の多種多様な方に、お互いの価値観や感性が混ざり合うような体験をしていただく。それが、「新たな価値創造」「シビックプライド(市民の誇り)」「持続的な街づくり」に繋がっていくという本プロジェクトとしての世界観や価値提供のために何をすべきかが整理でき、その後の活動方針が定まりました。

吉羽 私も実際に訪れてみて、単に物理的に緑があるということだけではなく、そこに意図やストーリーがあることを感じました。それがグラングリーン大阪の価値を唯一無二のものにしていると思います。

人が集い、共創が生まれるビジネスハブとしての魅力

松井 ビジネス拠点として注目される背景には、どんな要素がありますか。

菅沼 最大の魅力は、ターミナル駅直結の利便性と、緑ゆたかな都市公園が一体化していることです。国内外のビジネスパーソンが集まりやすいだけでなく、働く人のウェルビーイングにも寄与できる空間となっています。実際、「この環境で働きたい」という声は多く、採用力やエンゲージメントの向上を目的に、入居を決められる企業様も増えています。

鹿毛 ここに集まるのは大企業からスタートアップ、個人事業主、さらには行政、アカデミアまで多種多様な方々。いろんな事業や価値観を持つ800以上の組織が集結します。そして皆、まちのコンセプトに共感する方ばかりなので、共創意識が非常に高い。この場所から新しい何かが始まる予感にわくわくしています。

dentsu Japan エグゼクティブ・マネジメント
チーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサー

吉羽 優子

松井 異業種交流にとどまらない、真のコラボレーションが期待できそうですね。dentsu Japanも2026年にグラングリーン大阪に移転されると聞きました。

吉羽 はい、まさに今のお話にあったように、グラングリーン大阪は多様な企業・団体・個人が「共創」していくための最高の「場」だと思っています。今や社会課題も未来創造も、一社では成し得ないことばかりです。ここに集う皆さんと一緒に、力を合わせて困難なことや新しいことに挑戦していきたい。そういった思いで、移転を決めました。

鹿毛 あとは菅沼さんがおっしゃった通り、ウェルビーイングという視点も重要です。社員の心身の健康という観点でも、グラングリーン大阪は最高の職場になると考えています。

まちづくりを通じて社会課題を解決していく

松井 移転後の構想をお聞かせください。

鹿毛 dentsu Japanの十数社、約1200人が働くオフィスとなる予定です。専門性の異なるメンバーが結集することで、クライアント様の多様な課題に対応していきます。また、社外の方々との共創スペースも創設し、活発な議論を進められればと思っています。

吉羽 偶発的な出会いや対話から、新しいイノベーションが生まれていく。そんな場を、このグラングリーン大阪に構えることが、私たち自身の進化にもつながると確信しています。

菅沼 プロジェクトの初期から一緒に取り組んできたパートナーが、名実ともにまちの一員になってくださることは、私たちとしても嬉しい限りです。

松井 最後に、今後の展望とメッセージをお願いします。

鹿毛 グラングリーン大阪は、様々な個性が集い、つながるまちです。「世の中を元気にする」「社会に活力を与える」ようなビジネスを生み出す場になると確信しています。

菅沼 2027年の全面開業に向けて、様々なプロジェクトを計画中です。まだまだ生まれたばかりのこのまちを、皆様も一緒に育てていただけると幸いです。

取材を終えて

日経ビジネス発行人 松井健

グラングリーン大阪は、未来に向けたまちづくりの
出発点ともいえるプロジェクトです。
これまで両社が培ってきた知見を惜しみなく注ぎ、
数十年先を見据えながら、
よりよい社会の実現に挑む姿勢に感銘を受けました。
また、このまちに共感し、パートナーとして、
住民として、主体的に関わるdentsu Japanの姿勢には、
IGP(Integrated Growth Partner)のあるべき姿が
体現されていると感じます。
共創の輪がさらに広がる中で、
この先どんな新しい価値が生まれるのか。
2027年の全面開業が今から楽しみです。