新たなビジネス価値を創出する「グラングリーン大阪」開発の舞台裏 新たなビジネス価値を創出する「グラングリーン大阪」開発の舞台裏

JR大阪駅に直結し、緑ゆたかな公園を中心に広がるビジネス新拠点「グラングリーン大阪」。まちのコンセプトである「みどりとイノベーションの融合拠点」に共感した企業や人々が集い、イベントなどを通じて新たな交流と共創が生まれている。プロジェクトを現場でリードする事業者JV(ジョイントベンチャー)の三菱地所と、価値創造に伴走するdentsu Japanのキーパーソンに、まちづくりの舞台裏と未来への展望を訊いた。

聞き手 日経ビジネス発行人 松井健

まちづくりを共創するMIDORIパートナー

松井 お二人は、どんな思いでプロジェクトに携わってこられましたか。

内田 私は、このまちから大阪・関西を盛り上げ、元気な日本を世界に発信したいと考え、プロジェクトに着任しました。

杉江 dentsu Japanは、2019年からパートナーとして伴走しています。2026年にはグラングリーン大阪への移転も決まり、一当事者として、三菱地所さんらと同じ思いでまちづくりに臨んでいます。

内田 杉江さんとは、PRから事業推進のための仕組み作りまで、毎日のように意見交換をしています。

松井 共創の輪を広げる、「MIDORIパートナー」も注目されています。

内田 はい。これは、グラングリーン大阪のコンセプトに共感された企業に、まちづくりの仲間として参画いただくプログラムです。2025年6月時点で、27社に参加いただいています。

杉江 パートナー企業の皆様には、公園の管理・運営をサポートいただきつつ、イベントなどを通じて各社の取り組みやプロダクトの発信を行っていただく仕組みです。企業とまちが互いに価値を高め合える仕掛けづくりを、日々一緒に考えています。

MIDORIパートナーの全体像

MIDORIパートナーは、「世界にいいことを共創していくまち」を目指し、様々な取り組みや、
アクティビティのベースとなる“みどりの空間”を支援し、自らも活用することに共感する企業が参加するプログラム。
現在、27社が参加

松井 その成果の一つが、5月に開催された「MIDORI FES.2025」ですね。

内田 「公園から『世界にいいこと』に取り組む文化祭」をテーマに、様々なステージイベントやワークショップ、出店などを行いました。3日間の開催で、来場者は延べ約80万人。来場者の満足度も非常に高く、プロジェクトの評価向上にもつながりました。これを1回で終わらせず、世界的なサステナブルイベントに育てていきたいと考えています。

杉江 イベントでは「MIDORIパートナー」企業のブースも出展し、サステナブルな活動など、社会的価値を向上させるために取り組んでいることを発信しました。グラングリーン大阪という場は、価値ある企業活動を発信する場として、非常に親和性が高いと感じました。

まちの随所に感じるみどりとイノベーションの息吹

松井 グラングリーン大阪の「推しスポット」を教えてください。

内田 たくさんあって迷いますが、筆頭はやはり敷地の中央にある広大な芝生広場ですね。昼間は親子連れ、夜は若者やカップルが集まり、いつも幸せな空気が流れています。

杉江 僕は、その芝生広場を見渡せる2つのスポットを推します。1つは、公園の南北を結ぶ高架の遊歩道、「ひらめきの道」。名前の通り、ここを歩いているといいアイデアが浮かんでくるんです。もう1つは、カフェテリア「sorappa」のテラス。広大な緑の芝生を一望できる、おすすめの展望スポットです。

内田 北館9フロアを中心に展開されるイノベーション支援施設「JAM BASE」にも注目していただきたいですね。ここは、多様な人々が集い交わることで、アイデアやイノベーションを生み出す場所。様々なイベントやミーティングを通じて、みんなでまちの魅力を高めていく共創拠点となります。

杉江 「JAM BASE」には、dentsu Japanのグループ会社のイグニション・ポイントがすでに移転しており、入居企業様から相談を受けて、イノベーションや事業創出のお手伝いをしています。いつ訪れても刺激的なイベントがあり、新しい出会いが生まれるこの場所には、大きな可能性を感じています。

三菱地所 関西支店
グラングリーン大阪室 主事

内田 健弥

次世代が輝く未来のためにこのまちから価値を発信

松井 プロジェクトにおける、dentsu Japanのチャレンジをお聞かせください。

電通 第7マーケティング局
ソーシャルビジネスデザイン部長

杉江 勇吾

杉江 私たちは、クライアントである企業・団体の事業成長に伴走し、その成功を共に実現したいと考えています。本プロジェクトのゴールは、公園やオフィスがにぎわい、共創が生まれ、唯一無二の価値あるまちと認知されること。そのために、どんな価値を、誰にどう届けるべきかを、三菱地所さんらと共に考え実践してきました。

内田 特に開業前は、まだ形のないこのまちの価値をどう伝えたらいいんだろう、というのが課題でしたので、そこをdentsu Japanの皆さんと議論しながら進められたのは、本当に良かったなと思っています。

松井 最後に、読者へのメッセージをお願いします。

内田 グラングリーン大阪で目指すのは、公園を中心とした様々な施設や施策で、人の幸せや生きがいに寄り添うまちづくり。三菱地所にとっても、都市開発の転換点となるプロジェクトです。ここで得た知見や成果を、今後は他の地域でも展開していきたいと考えています。

杉江 グラングリーン大阪は、将来世代により良い社会を残したいという思いを抱かせる場所です。dentsu Japanはこのまちに拠点を構え、多様な企業や人々と共創することで、新たな価値を社会に届けていけたらと思います。

取材を終えて

日経ビジネス発行人 松井健

都市開発の前例にとらわれず、
ここから新しい価値を生み出していこうという熱意が、
お二人の言葉には滲み出ていました。
若い人たちが現場の第一線に立ち、能動的に
プロジェクトを動かしていることがうかがえます。
もちろん、まちづくりは単独ではできません。
その仲間づくりを支えるMIDORIパートナーの
枠組みにも、
関わるすべての企業や人々と共に
成長を目指す意思が感じられました。
グラングリーン大阪の挑戦が、
日本やアジア、そして世界のまちづくりの
新たなモデルケースとなることを期待しています。