ビジネスを取り巻く昨今の環境は流動的だ。取引先のある国や地域の政策、貿易ルールの変更などによって様々な対応を強いられる。各国に対し大幅な関税引き上げを図った“トランプ関税”はその最たるものだろう。これを受け、米国を主なマーケットとしたビジネスを見直したり、グローバルサプライチェーンの多極化を検討したりする企業もある。
新たな貿易相手の1つとして再注目されているのがEUだ。その経済規模はGDPベースで世界経済の約6分の1を占める。産業のすそ野も広く、EUの企業と新たに取引を検討する企業も増えているようだ。
その際、重要になるのが輸送手段だ。日本の産業を下支えしている製造業は、部品や機材など大型・重量貨物を輸出入するケースが多い。薬品などを扱う化学産業、医薬品や医療機器を扱うヘルスケア産業も同様のニーズが高い。コストと利便性に優れた国際航空輸送をいかに賢く利用するか。これは大型・重量貨物を取り扱う業界にとって共通した重要テーマだといえるだろう。
EU向けの大型・重量貨物輸送を考える上で、新たな取り組みを進めているのがフェデックスだ。同社では、世界最大規模の空輸ネットワークを生かし、アジア―EU間を強化。これにより、大型・重量貨物輸送のキャパシティが格段に増した。また、化学品のような危険物やドライアイス貨物、リチウムバッテリーなど特殊な製品を取り扱いできる国も順次拡大を図っているという。
また、成田国際空港内にあるフェデックスの東日本ゲートウエイ施設の拡張が予定されている。施設全体を約2倍の規模に拡張して約8500平方メートルとし、比較的小型の貨物の仕分けに使用する機材を刷新するとともに、大型・重量貨物専用の輸出入貨物の取り扱いや航空機への搭載準備、トラックへの積み込み・荷降ろし作業を円滑に行うためのスペースを備える。2026年後半から段階的に稼働を開始するこの新たな施設は、貿易を促進し、サプライチェーンに関連する対応能力を最適化しようとするフェデックスの強いコミットメントだ。
フェデックスの大きな強みは、業界トップクラスの輸送ネットワークや輸送品質に加え、 “かゆいところに手が届く” ユーザーの立場に立ったサービスが利用可能な点だ。
その一例が集荷作業を効率化する「共同出荷機能」だ。これは、輸入側の日本企業がオンラインで航空貨物運送状を作成し、現地の集荷を手配できるもの。取引を始めて間もなかったり、相手が小規模の企業の場合、納期通りに出荷されたのか懸念が生じるケースが少なくない。こうした際、このサービスを使えば、現地の輸出側企業の手を煩わせることなく、日本側で手続きを集中処理できるわけだ。
輸入貨物の通関手続きをオンラインで対応可能にするサービスもある。「FedExインポートツール」を利用すれば、通関手続きに必要な指示書、書類、関連データをフェデックスのWebサイトから簡単に送信できる。輸入貨物の通関ステータスが確認可能な上、通関で問題が生じた場合は直ちに通知されるため、対処も速やかに行えるという。
輸入通関後の国内配送においては、様々なニーズに合わせた付帯サービスを揃えている。例えば、取引価格を配送先に伏せたい場合、書類抜き取りサービスを有料で提供している。通関完了後、貨物外装にある関連書類の除去をフェデックスが代行するのだ。これにより、取引先への直送が可能になり、時間とコストの削減につながるメリットがある。そのほか、チャータートラック代行手配や保冷貨物へのドライアイス補充なども行っているという。
きめ細かな輸送ニーズにも柔軟に対応可能だ。「フェデックス・カスタム・フレイト」は配達時間を企業の希望に沿って指定できるサービス。週末や休日の配達にも対応する。輸送中の貨物はリアルタイムで監視し、タイムリーな配送と貨物の安全を確保する。“カスタム”というだけあって、厳格な温度管理などもリクエスト可能だ。精密機械部品、医薬品や化学品など繊細な温度管理が求められる貨物の品質保全を徹底し、安全・確実な配送を実現しているという。
サービスに加え、料金体系がシンプルな点も評価が高い要因の1つだ。
国際貨物輸送は航空便だけでなく、陸送を含む出荷から配送までのプロセスがある。航空貨物輸送会社の中には陸送の距離や手配する中間配送業者の運賃などによって、全体の輸送コストが変動するところもある。1件の輸送で複数の決済が発生することもあり、経理処理も煩雑化する。
その点、フェデックスは陸送も自社の輸送ネットワークで提供する。配送ルートをフェデックスで一本化できるため、基本的に料金体系はドア・ツー・ドアのシンプル料金。予算が立てやすく、経理処理もシンプルになる。加えて、近年は日本国内の運賃が高騰しているため、国内輸送を別途手配する必要がないフェデックスのドア・ツー・ドアサービスを利用した方がコストの優位性が高いケースも増えているという。
加えて「重量貨物に対する特別割引運送料金オファー」も提供している。これはフェデックスのWebサイト上で顧客が利用できるセルフサービス。見積もり提出までの時間が削減され、全体としてスピーディな配送も可能になる。特に21kg以上の重量貨物輸送で、貨物機の搭載スペースに余裕があるなど条件を満たす場合は、最大80%の割引料金が適用されるという。
図 「重量貨物に対する特別割引運送料金オファー」ガイド
フェデックスのWebサイト上で「重量貨物に対する特別割引運送料金オファー」の見積が簡単に取得できる
近年は気候変動や環境に配慮した取り組みが企業に課せられた社会的使命となっている。カーボンニュートラルの実現には輸送事業者の取り組みも大きく影響するため、航空機や車両を運行する物流業界の取り組みに注目が集まっている。
フェデックスは2040年までにグローバルでカーボンニュートラルな輸送業務を実現する目標を掲げ、より燃費の良い貨物機の導入や代替燃料の使用、電気自動車の導入や物流施設でのソーラー発電の活用などを進めている。
顧客向けにも輸送サービス利用時の排出想定量を可視化するツール「FedEx Sustainability Insights」を提供して、企業での脱炭素化計画を考えるサポートとしている。自社の輸送業務における脱炭素の取り組みに加えて、顧客企業を含めた業界全体でサステナブルな社会を目指す取り組みを推進しているのだ。
なぜフェデックスは先進的な取り組みを積極的に行うのか。それは同社が世界最大規模の国際航空輸送会社だからだという。約700機の自社貨物機を保有・運航し、サービス提供国と地域は220以上にも及ぶ。事業の持続可能性を図り、企業責任を果たすには、多様化するビジネスと顧客のニーズを捉え、フェデックス自身も進化を続ける必要があるのだという。
このため、グローバルな輸送ネットワークの品質と安全の維持・向上、貨物機の運航ルート変更や便数の拡大、物流施設のアップデートなどを継続的に強化。豊富なドメインナレッジを有する産業専門の営業チームが中心となり、輸送ソリューションの最適化にも力を入れている。
ビジネスのグローバル化に伴い、国際航空輸送の重要性はますます高まっている。フェデックスはそのスペシャリストとして、企業のグローバルサプライチェーンを支え、ビジネスのさらなる発展に貢献していく考えだ。