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【徹底予測フォーラム2025】未来を読み解くカギはここにある REVIEW

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  • エネルギー & GX/田中鉄工

地域と共創したGX戦略の実践が
企業価値を持続的に向上させる

SDGsやESGへの取り組みが社会全体で加速する中で、大手企業とは異なる立場にある中堅・中小企業は、こうした変化にどのように適応し、対応していくべきなのか。創業107年、従業員数200名のアスファルトプラントメーカーである佐賀県の田中鉄工の代表取締役CEOの村田満和氏は、地域社会や行政、サプライチェーンを巻き込んで、積極的にGXをリードしている。そこを企業として持続可能な成長機会として捉えており、経営戦略の起点をカーボンニュートラルにおいた上で、GXに向けた様々な挑戦が行われている。

(聞き手:日経BP 経営メディアユニット ユニット長補佐/日経ESG経営フォーラム事業部 部長 竹居 智久)

GXを一丁目一番地に位置付け
地域や行政、サプライチェーンと共創・連携を

村田 満和 氏
田中鉄工株式会社
代表取締役CEO
グリーンアクション
代表取締役CEO
村田 満和 氏

竹居 なぜGXに取り組もうと考えたのでしょうか。きっかけなどを教えてください。

村田 当社は創業107年目を迎えるアスファルトプラントメーカーです。1974年からアスファルト合材生産に関わる製品やサービスを提供しています。当社の2050年までの目標は、道路舗装業界におけるカーボンニュートラルを実現することです。そうすることで社会的価値と経済的価値の両立が可能となり、企業価値(財務・ESG・インパクト)の向上につながると考えています。

 そこで経営戦略の起点にカーボンニュートラル、特にSDGsの13番の気候変動への対応を置いています。13番は他の全項目の達成にも連動するもので、カーボンニュートラルは人類最大のリスクヘッジだと考えているからです。

 きっかけは2020年10月に当時の菅義偉総理大臣がカーボンニュートラルを宣言したことでした。気候変動に対する具体的な対策に真摯に取り組まなければ、企業としてもなり立たないようになると痛感し、GXを一丁目一番地として様々な取り組みを始めました。

竹居 今はどのような取り組みをしているのでしょうか。

村田 カーボンニュートラルは一社で実現できるものではありません。地域社会や省庁、自治体、サプライチェーンとの共創・連携が必要です。そこで経営方針を自前主義から共創へと転換し、経済産業省のGXリーグやサーキュラーパートナーズへの加盟、環境省の脱炭素化推進モデル事業への参画、各自治体との連携、サプライチェーンとのSDGs共有会、TV・ラジオCMやSDGs教育等、様々な角度から取り組んできました。

循環型社会の実現に向けた
UCOのリサイクルへの取り組み

竹居 智久
日経BP
経営メディアユニット ユニット長補佐/
日経ESG経営フォーラム事業部 部長
竹居 智久

竹居 具体的な活動ではどんなところが重要なのでしょうか。

村田 道路舗装業界のCO₂排出構造は全体の4割をアスファルト合材製造が占め、そのうち9割が重油による加熱が占めています。この重油を減らして、他のエネルギーに代替することが最優先です。グリーン水素、合成メタンの技術は開発済みですが、市場投入はまだ先だと考え、今はバイオ燃料に絞り、特に使用済み食用油(廃食油、UCO:Used Cooking Oil)とグリストラップ油の利活用に力を入れています。

 UCOには大きく事業系と家庭系の2通りがありますが、年間38万トン発生している事業系のUCOの95%がリサイクルされているのに対して、10万トンある家庭系の利活用はわずか4%だけです。これをどう利活用するのかが大きな課題です。

 UCOはカーボンニュートラルなエネルギーで環境負荷も少なく、その街で出たものをそこで再利用できれば地産地消の循環型再生エネルギーになります。このUCOのリサイクルを未来の“当たり前”にしたいと取り組んでいます。

竹居 UCOの再利用を広げていくには何がポイントになるのでしょうか。

村田 UCO事業を拡大するには3つの重要なポイントがあります。1つは制度とルールです。GX推進のための制度は、まだ十分に整備されておらず、具体的な取引価格や市場ルールが定まっていないのが現状です。そのため、CO₂削減に積極的に取り組んでいる企業と、そうでない企業との間で不公平感が生じています。さらに、設備投資を行うための補助金制度はあるものの、補助金だけでは事業運営全体のコスト増加を補うには不十分な場合が多く、GX推進に向けた取り組みを進める企業には依然として大きな負担がかかっています。そのためには、適切な制度とルールが重要となってきます。

 そして2つ目は、意識と行動。そもそも、UCOがリサイクル可能であること自体を知らずに廃棄してしまうケースが多いのが現状です。しかし、UCOは適切に回収・リサイクルされることで、環境負荷を軽減する再生可能エネルギー源として活用できる重要な資源です。そのため、地域社会全体に対して、UCOが環境に優しいエネルギーであるという認識を広めることが不可欠です。具体的な取り組みとしては、家庭で使用されたUCOを手軽に持ち込めるよう、スーパーマーケットや生協などに専用の回収ラックを設置し、誰でも簡単にリサイクル活動に参加できる仕組みを整備することが求められます。こうした取り組みを通じて、廃棄されていたUCOの有効活用を促進し、持続可能な資源循環型社会の実現に貢献していくことが重要です。

 3つ目は技術とプロダクト。現在の混焼装置は、重油20%とUCO80%の割合で燃焼させる仕様となっています。しかし、さらなる技術革新を進めることで、UCOを100%燃料として使用できる専用バーナーの開発に取り組んでおり、CO₂排出削減の効果を最大限に高めることを目指しています。

廃食油(UCO:Used Cooking Oil)のリサイクルを未来の“当たり前”に!
トレーサビリティシステム~社会貢献量の見見える化 小売店や道路舗装会社:トレーサビリティの確保
[画像のクリックで拡大表示]

竹居 田中鉄工としてどんなことを実施しているのでしょうか。

村田 テレビやラジオで「実現しよう!カーボンニュートラル!」というCMを流して、意識を高めてもらうと同時に、行動を促すためにスーパーや生協に食用油の回収用ラックの設置を推進しています。昨年から取り組みを始めた大村市での回収量は、一年間でゼロから3600リットルになりました。500mlペットボトル7200本相当となります。また店舗ではどれだけ社会貢献できたのかを数字で示し、見える化することでさらに意識も高まってきています。

 加えて教育活動にも力を入れています。北海道小樽市の小学校では、北海道油脂事業協同組合と共創してSDGs教育の出前授業をしたり、小学生向けにUCOの利活用促進のYouTubeを配信したりしています。また小中高3万5000校に配布されるSDGs読本にも当社の取り組みを紹介しています。今後学習塾で保護者と生徒を対象にSDGs授業も予定しています。

 これまでに小樽市や大村市での共創事例についてはプレスリリースもしていますが、こうした取り組みを全国へと広げ、地域社会全体でSDGsの取り組みを促進していきたいと考えています。

※講演の一部をOn-Demand形式で視聴いただけます。

当事者としての議論を通して
求められる企業であり続ける

竹居 今後はどんな戦略で臨むのでしょうか。

村田 2024年は、イベントや省庁主催のセミナー、見える化ツールの提案等を通じて、GXの重要性が広く共有された一年となりました。そして2025年は、GXに関して“当事者意識を持った議論”が本格的に進む年になるでしょう。具体的には、現状どれだけCO₂を排出しているのか、そしてその排出量をどのように削減するのかといった具体策を深掘りする議論が展開されていくことになると思います。

 その後は、具体的な制度や施策が打ち出され、議論に積極的に参加できる企業とそうでない企業の差が明確になっていくでしょう。対応が難しい企業は、サプライチェーンの中で立場が厳しくなる可能性もあります。そのため、2025年は今後の方向性を定める上で非常に重要な年になると考えています。

竹居 大企業から求められるから対応するのではなく、自社の商品やサービスの新たな価値になると信じて主体的にGXに取り組むことが大事になりますね。

田中鉄工株式会社

https://tanaka-iron-works.com/


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