世界的なラグジュアリーブランドをはじめ、海外を含めた大型商業施設、ホテル、オフィスなどの空間デザインとブランディングを手掛けるGARDEは、グローバルに展開するデザイン・コンサルティングファームだ。東京を拠点に世界11都市に事業拠点を構え、2025年には創業40周年を迎えた。
「GARDEの強みはデザインを単なる美的表現にとどめず、ブランド戦略や事業戦略と密接に結びつけて提供できる点にあります」と、同社代表取締役社長の室 賢治氏は言う。同社では不動産開発や企画の初期段階からプロジェクトに参画し、ブランディング、デザイン、設計監修、施工監理、さらにはオープン後の運営支援までを、ワンストップで提供。これにより、顧客企業は空間デザインを通じてブランド価値を最大化し、投資効果を高めることが可能になるわけだ。
こうした過程においてGARDEが重視しているのが、空間が生み出す「情緒的経営価値」だ。これは空間デザインには単なる機能やデザイン性を超えて、企業のブランド力や社員のモチベーション、顧客のロイヤルティといった感情的・無形的な価値を創出する力があるという考え方で、昨今は市場もその重要性に気づき始めていると室氏は話す。
「空間は経営戦略的資産です。私たちは情緒的経営価値を共感価値、体験価値、文化的価値、そして社員の誇りの醸成という4つの視点で捉え、事業収益、経営資源、ビジネス戦略、働き方への影響といった経営戦略と空間デザインを結びつけることで、あらゆる業種で事業成長につながる価値を提供しています」
GARDEが手掛けた空間デザインが事業収益に結びついた一例として、京都市登録有形文化財の町家をリデザインした「カンデオホテルズ京都烏丸六角」、先端トレンドと住宅地の静けさという渋谷の二面性を反映した「ハイアット ハウス 東京 渋谷」を室氏は挙げる。
「また、直近ではとくにASEANの超大型プロジェクトが増加傾向にあり、例えばフィリピン・マニラの『The Observatory』といった大規模開発案件なども手掛けています」
一方、空間デザインによる共感価値が経営資源につながる事例は、ラグジュアリーブランドなどに多いという。
「23年に東京・表参道にオープンしたパリ発のレザーグッズブランド『Polène』のアジア初の旗艦店は、漆の什器などで日本らしさを加えるとともに引き算の美学で商品を配置することで、経営資源として価値のある空間を実現しています」(室氏)
また、一貫したビジネス戦略に基づいた空間デザインとして成功したのが中国・北京の「北京漢光百貨」だ。
「日本の百貨店のような質の高さを目指して、事業計画草案の作成から参画し、6年がかりで改装。改装後は売り上げが30%以上アップしました。国内ではメンズ・レディースのフロアを融合するなど、従来のイメージにとらわれない百貨店として、『西武池袋本店』の改装を進めています」(室氏)
カンデオホテルズ京都烏丸六角
ハイアット ハウス 東京 渋谷
The Observatory
Polène
西武池袋本店
Anaplan Japan
オフィス空間も手掛けるGARDEだが、近年、グローバル企業からは働き方改革と生産性向上を空間デザインでどう実現するのか、可視化することが求められていると室氏は言う。「具体的には、社員が帰ってきたくなる場所というのが、最近のニーズです。帰属意識を高める工夫やテクノロジーを活用した空間デザインに取り組んでいます。東京・丸の内のAnaplan Japanのオフィスでは、リラックス効果が期待される自然要素を随所に取り入れ、生産性向上を目指しました」。
デザインを核に「空間を超えた価値」を創造し、顧客企業の成長を創出してきたGARDE。今後は立ち位置をもうワンステージ上げたいと室氏は言う。
「世の中のニーズが多様化する中、常に時代を先取りして未来創造していくには、コンサルの枠を超えた総合的なプロデュース企業になるのが理想です。新規事業への投資も含めて、幅広い分野でのトライを加速していきたいと考えています」