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「EXなくしてCXなし」が企業成長の新常識に~AIがつなぐ顧客と従業員の体験価値~

顧客体験(CX)を重視する企業が増える中、従業員体験(EX)との関係性が改めて注目されている。
CXとEXは切り離されたものではなく、相互に影響し合う「体験価値」の両輪だ。顧客対応の最前線であるコンタクトセンターでは、オペレーターの働きやすさが対応品質に直結し、結果として企業のブランドイメージや顧客ロイヤルティにまで影響を及ぼす。

こうした背景から、CXとEXを統合的に捉える「ヒューマン・エクスペリエンス(HX)」という視点が重要になってきた。この取り組みを支援する企業の1社がジェネシスクラウドサービスだ。同社がAI技術を軸に推進するHX戦略とそのインパクトについて、代表取締役社長のポール・伊藤・リッチー氏とソリューションコンサルティングマネージャーの岡野 泰士氏に話を聞いた。

CXとEXはセットで考えるべき経営課題

ジェネシスクラウドサービス株式会社
代表取締役社長
ポール・伊藤・リッチー氏

桔梗原
近年、顧客体験(CX)を重視する企業が増えてきました。こうした潮流をどのように捉えていますか。
リッチー
日本にはお客様に対して心を込めて接待やサービスを提供する「おもてなし」文化があります。丁寧な顧客対応は日本の美徳であり、サービスの質の重要な要素です。
 一方で、デジタル化の進展と共にコンシューマーの期待やニーズも変わってきました。より良い体験、シームレスかつよりスピーディなサービス提供が求められています。不愉快な思いはすぐさまSNSに投稿され、拡散してしまう。顧客対応の良し悪しが企業ブランドイメージに直結しているのです。もはやCXの向上は重要な経営課題の1つと言ってよいでしょう。
桔梗原
確かにSNSの影響力は大きい。より良い体験を顧客に提供し続けることが大切ですね。
リッチー
CXはもちろんですが、実はそれと同じくらい従業員体験(EX)も大切です。対応の現場に適切なツールを使える環境が整い、従業員の負担やストレスの軽減と業務効率化が図られれば、やりがいと共にEXが向上する。それがCXの向上につながっていく。CXとEXは表裏一体の関係といえるでしょう。
 CXとEXの両立をどう図るか。顧客対応の最前線であるコンタクトセンターがこの課題に、直面しています。ジェネシスは世界各国のコンシューマーと企業のCXリーダーを対象に、コンタクトセンターにおけるカスタマーエクスペリエンスの調査レポートを発行しました。それによると、「好ましくない対応が5回以下で別の企業に乗り換える」と回答した割合はグローバルで65%、日本では81%に達しています(図1)。

図1 CXにおける対応品質の重要性
「好ましくない対応が5回以下で別の企業に乗り換える」と回答した割合は、日本では81%、グローバル平均でも65%に達する。対応品質が顧客ロイヤルティや企業イメージに直結することを示している

 一方、良い体験をした場合は引き続きその企業を利用する傾向が高く、これには共感とパーソナライゼーションが大きく関与します。コンシューマーのニーズに耳を傾け、どうしたいのかを理解し把握していることが重要です。
 共感性に満ちた体験を顧客に届けることで対応評価が高まり、業務を効率的にこなすことができれば、従業員は企業組織に対するつながりと業務への使命感が強まり、離職率の低減化につながります。

コンタクトセンター機能をクラウドに統合

ジェネシスクラウドサービス株式会社
ソリューションコンサルティング本部
ソリューションコンサルティングマネージャー
岡野 泰士氏

桔梗原
最近はLINEやSNSで問い合わせできる企業も増えています。デジタル化への対応がCX/EX向上のカギになりそうです。
リッチー
もちろんデジタル化は不可欠です。ただ、それで完結ではなく、全体最適の視点が必要です。例えば、LINEのチャネルを作っても、コンタクトセンターの基盤がそのままでは、つぎはぎの対応になり、綻びが生じてしまいます。基盤にある顧客履歴とのひも付けができておらず情報が分断されていると、対応の連携や一貫性を求めるコンシューマーの期待に応えられません。単にLINEで問い合わせができても、それは表面的な便利さに留まってしまうのです。
岡野
オペレーターが人手で対応し、顧客情報をひも付けて対応することも可能ですが、今度はオペレーターの負担が大きくなってしまいます。しかも、コンシューマーの期待に応えるCXを提供できるという保証もありません。情報のひも付けを人手に頼ると対応品質にばらつきが出るからです。
リッチー
CXとEXを分けて考えるのではなく、これらの先にいる「人」の体験価値として捉えることが重要です。「人」に共感性のある体験を「人」が届けられるかどうかがビジネスの成功を左右します。すなわちヒューマン・エクスペリエンス(HX)という観点がより重要になります。対応者に受け止めてもらえている、伝わっている、支援されていると顧客が感じるかどうかが、共感であり、よい対応なのです。ジェネシスでは、共感性に満ちた体験と対応を感情インテリジェンスとして位置づけ、顧客がたどった対応の経緯、今の状況、次にどうしたいかを把握し、望む条件、望むチャネルと時間枠で支援することが最優先であると考えています。
桔梗原
ジェネシスが提唱する「エクスペリエンス・オーケストレーション」のベースには、HXという考えがあるのですか。
リッチー
おっしゃる通り、私たちはHXを最も重視しています。エクスペリエンス・オーケストレーションは、従来型の自動化プロセスを遥かに凌ぐもので、顧客と従業員それぞれのジャーニーの融合をAIのパワーで実現します。学習とフィードバックのサイクルを繰り返すことで、個々の体験の連携、パーソナライズ、感情インテリジェンスの精度が向上します。
 電話、Web、メール、チャット、SNSなどの複数チャネルを統合して、対応の迅速化と対応履歴などの情報の一元管理を実現します。前回、電話で問い合わせたコンシューマーが次にメールで問い合わせても、オペレーターが交代しても、対応のコンテキストと履歴は引き継がれ、対応の質と感情インテリジェンスの改善促進が叶います。サービスの迅速化とパーソナライズ化や導線からの離脱や解約率の低減化に寄与し、顧客との関係の維持・強化、ひいては、企業ブランドイメージの向上も期待できます。
桔梗原
HXを具現化するプラットフォームとして「Genesys Cloud」を提供しています。その特長について教えてください。
リッチー
Genesys Cloudはクラウド型コンタクトセンターソリューションです。コンタクトセンター業務に必要な機能を網羅的に装備しており、自社でインフラを導入・構築することなく、シームレスかつマルチチャネルの顧客対応が可能です。
 マイクロサービス・アーキテクチャに基づくクラウドネイティブな設計思想で提供サービスが構築されています。このメリットを生かし、新機能を毎週リリースしており、その数は年間で数百に上ります。Genesys Cloudは常に進化を続けているのです。
 その進化は、エクスペリエンス・オーケストレーション成熟度モデルに基づいており、成熟度は「レベル0」から「レベル5」で定義しています(図2)。Genesys Cloudの現在地は「レベル4」で、「レベル5」へと成熟しつつあります。コンタクトセンターにGenesys Cloudを導入することで、CXとEXの向上が実現できるのです。

図2 エクスペリエンス・オーケストレーションの成熟度レベル
日本企業の多くはレベル3止まり。進化を続けるGenesys Cloudはレベル4の段階にある。感情を含めたコンシューマーの意図や目的を理解し、適切な顧客対応を支援する。機能強化や新サービスの開発を進め、パーソナライズ化された顧客対応をマルチチャネルで提供するレベル5の実現を目指している

岡野
高可用性も大きな強みです。Genesys Cloudは東京リージョンと大阪リージョンで遠隔のバックアップ体制を構築しています。各リージョンのアベイラビリティゾーン(AZ)による可用性対策に加え、リージョンを跨いだバックアップ体制という多層的な対策で、安定性・信頼性の高いサービスを提供します。ジェネシスのクラウドインフラストラクチャはレジリエンスを確保する設計がなされており、可用性は昨会計年度の実績値で99.998%を達成、および企業の運営拠点でのデータレジデンシーを満たしています。
 音声品質が非常に高いこともポイントです。クラウドサービスの場合、電話の音声品質を気にされるお客様が多いですが、Genesys Cloudは対話の音声品質を測定する「MOS(Mean Opinion Score)」で、高評価を得ています。その品質は携帯電話以上であり、クリアな音声で対話が可能です。

AIの進化を取り込み次世代の顧客対応を実現

日経BP 総合研究所
フェロー
桔梗原 富夫

桔梗原
ジェネシスは以前からAIの活用に積極的に取り組んでおり、Genesys Cloudには様々なAI技術が実装されていると聞きます。競合他社もAIに注力する中、ジェネシスならでは強みは何でしょうか。
リッチー
Genesys Cloudが採用しているのは、先進のオーケストレーション機能を駆動させるエンベデッドAIで、これにより、チャネルを横断する顧客データの連携が可能です。Genesys Cloud AIは、エージェンティック、音声会話、ジェネラティブ、プレディクティブといった多様な機能を抱合し、顧客ジャーニー全行程の自動化、拡張、パーソナライズ、最適化において企業を支援します。Genesys Cloud AIで、人やAIの対応がシステムにフィードバックされ、使用するに従い、成果・性能の向上、価値の複合化、よりスマートな自動化、パーソナライズ体験と、投資対効果の改善を実現できます。
 Genesys Cloudは、自社構築、オープンソース、Amazon Bedrockなどのフロンティアモデルを含む広範なAIモデルに対応し、拡張性を有しており、企業の独自モデルも適用可能です。柔軟性を備えるGenesys Cloudであれば、企業は、安全性、コントロール性とパフォーマンスを確保しつつ、最適なモデルを採用でき、ビジネスゴール達成と革新追求を遂行できるのです。
 先達て当社はGenesys Cloud AI Studioを発表しました。企業の顧客体験の変革を支援するエージェンティックAIです。AI Studio用にリリースされた機能Genesys Cloud AI Guidesは、バーチャルエージェントの設計、デプロイ、統合管理の迅速実行、複雑なエンタープライズ顧客ジャーニー全般にわたる秀逸な自律運用などを実現します。これを活用することで、セキュリティやハルシネーションリスクを抑制しながら、安心・安全なAI活用を行えます。Genesys Cloud AI StudioとAI Guidesを軸とする様々なジェネシスのサービスで、CXとEXの強化を図ることができます(図3)。

図3 Genesys Cloudの提供価値
先進のAI技術を活用し、オペレーターやスーパーバイザー業務の自動化・最適化を促進。コンシューマーにパーソナライズ化された共感性の高い体験を提供し、リアルタイムの情報活用で適切な顧客対応やサジェスト活動も支援する

桔梗原
具体的にどんなサービスが利用できるのですか。
岡野
オペレーターには「エージェントコパイロット」というサービスを提供しています。会話の内容をAIが分析し、リアルタイムでパーソナライズ化された回答を提示します。ここで利用するFAQデータは過去の問い合わせ履歴から生成するといったことも今後可能になります。
 また「プレディクティブエンゲージメント」というサービスを使えば、お客様が事前にWebサイトでどんな情報を検索していたかが分かります。オペレーターに問い合わせが入った段階で、 「〇〇についてお調べですか? 何かお手伝いできることはありますか?」といった会話から始められるのです。これにより、コンバージョン率が50%改善した事例や、70%に迫る改善が30%に迫る収益増をもたらした事例も報告されています。
 エージェントコパイロットを利用すると対話の内容はAIが自動で要約し記録するため、オペレーターの作業効率も大幅に効率化します。
 「バーチャルスーパーバイザー」という管理者向けのサービスもあります。この機能はオペレーターの顧客対応を分析・評価し、点数化まで自動で行ってくれるものです。この作業は多くの場合、人手で行っていますが労力がかかり、他の作業を圧迫してしまうケースが少なくありません。ある企業はこのサービスを利用することで、評価にかかる時間を35%も削減しました。
 「プレディクティブルーティング」では従来のルールベースのルーティングに依存せず蓄積されたデータを活用し、AIで最適オペレーターを割り当てる機能ですが、こういった評価結果のデータなども活用できるようになる可能性があります。
リッチー
生成AIの登場によって、以前は思ってもみなかったことも可能になりました。例えば「この場合は『1』、違う場合は『2』を押してください」といった音声ガイダンスのコールフローを自然言語で構築できるようになりました。以前は人が何日もかけて考え、テストを行うなど大変手間のかかる作業でしたが、シナリオ案をプロンプトとして入力すると、数分もかからずにコールフローを作成します。

桔梗原
コールフローを自動生成できるというのは驚きです。AIの進化を取り込んで、その恩恵を最大限に享受してGenesys Cloudも進化しているわけですね。その先にどのような世界を見据えているのか。今後の展望をお聞かせください。
岡野
Genesys Cloudはエクスペリエンス・オーケストレーションプラットフォームですが、蓄積した顧客情報はマーケティングの高度化や自動化、経営戦略の策定支援など幅広い領域で活用できるでしょう。多様なシステムとのデータ連携機能も強化していく計画です。その一環として、顧客情報を基にカスタマージャーニーを見える化する「ジャーニーマネジメント」がリリース済みでありさらに機能強化していきます。
リッチー
AIのフェーズは新たな次元に入ったと考えています。AIを「使うか、使わないか」ではなく、もはや「どう使うか」を考える時代です。エクスペリエンス・オーケストレーションにおけるユニバーサルオーケストレーション「レベル5」に向けて、AIを中核とするテクノロジーを活用してGenesys Cloudの進化を加速させていきます。エージェンティックAIは、ユニバーサルオーケストレーションの起爆剤になると考えています。バックオフィスとフロントオフィスシステム縦横にまたぎながら、顧客体験と従業員体験を、シームレスにつなぐのです。CX変革のみにとどまらない、ビジネス変革をももたらす存在です。CXとEXに主眼を置きつつ、HXを推進し、お客様企業の成長戦略と企業競争力の創出への支援を提供していきます。

ジェネシスクラウドサービス株式会社

マーケティング本部 白石 慶子 E-mail:keiko.shiraishi@genesys.com

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