プロジェクトの始動から決定までのフロー。各フェーズで従業員が中心となり議論を行い、全社員が平等に一票を投じ、タグラインを決定した。
プロジェクトの始動から決定までのフロー。各フェーズで従業員が中心となり議論を行い、全社員が平等に一票を投じ、タグラインを決定した。
2024年5月、ジクシス本社に17名のプロジェクト・コアメンバーが集結した。自発的に手を挙げたメンバーたちの使命は、全社員の声を集約し、設立10周年を記念する新たなタグラインを創り上げること。17名が携わる業務は海外からのLPガス調達、専用船での輸送、国内基地での貯蔵・供給、営業、これらを支えるコーポレートスタッフなど、LPガスのサプライチェーンから企画管理までさまざまだ。
同社は2015年にコスモ石油、昭和シェル石油(現・出光興産)、住友商事、東燃ゼネラル石油(現・ENEOS)4社のLPガス事業を統合して誕生。米国やカナダ、豪州などから年間約300万トンのLPガスを輸入し全国の特約店を通じて供給する、国内シェア第3位の元売り会社である。現在は新卒社員、キャリア採用者、株主会社等からの転籍者・出向者など多様なバックグラウンドを有する社員がそれぞれの専門性を活かして事業を支えている。


プロジェクトの最大の特徴は、全社員を巻き込む徹底した参加型プロセスにあった。「組織横断コミュニケーション」と名付けられた組織や肩書を超えた議論の場では、海外調達担当者と国内営業担当者、供給・需給担当者、企画管理部門など、普段は業務で関わることが少ない社員同士が会社の未来について熱く語り合った。
「当初は全員が納得できるタグラインを作ることは大変ではないかと思っていました。しかし、議論を重ねるなかで、私たちが扱うLPガスが単なる商品ではなく、日本全国の生活を支え、さらには世界中の人々の暮らしに欠かせないエネルギーであるということを再認識し、そのエネルギーを届ける社会的な責任を担っているという共通認識が深まりました」(小牧氏)。




コアメンバーによって行われたタグライン検討のためのワークショップ。組織の垣根を超えた形で社員が集まり議論を重ねてタグラインの要素が生み出されていった(写真提供:ジクシス株式会社)
組織横断コミュニケーションで全社員から意見を集め、その後コアメンバーによる1dayワークショップで議論を重ねた結果、4つの本質的なキーワード「LPガス」「誠実・フェア」「寄りそう・伴走する」「あたりまえ」が導き出された。これらは、安定供給という使命を果たしながら、変化する社会のニーズに応えていくジクシスの姿勢を表す言葉として、タグライン案の基礎となった。
「(タグラインを決める)投票は本当に接戦でした。1度では決定できず、票を集めた2案で決選投票を行いましたが、数票の差で結果が決まるほど、両案ともに社員の支持を集めていました」(朝倉氏)。
この結果、同社のタグラインとして選ばれたのは「あなたの生活に寄り添う会社 Life Plus Gyxis.」である。LPガス元売り会社として人々の生活を支え、消費者に寄り添う誠実な会社でありたいという思いが込められたものだ。英文「Life Plus Gyxis.」は、人々の生活にジクシスをプラスするというメッセージ。さらに、英単語の頭文字を取るとLPガスの略称である「LPG」になるという遊び心もある。
「票が割れたことで、皆が賛同してくれるか不安もありました。しかし一度決まると、全員がそれにコミットしてくれた。どの案も全社員を巻き込んだ議論を経たものだったので、どれに決まっても納得感があったのではないかと思います」(朝倉氏)。
2025年4月15日に開催された設立10周年記念式典では、全国から集まった約500名の特約店や取引先を前にコアメンバーを代表した3名がタグラインを公表した(写真下)。LPガスが災害時でも途切れることなく供給される「最後の砦」としての役割を果たしていることも含め、込められた想いをプレゼンすると、会場からは大きな拍手と称賛の声が上がったという。


10周年記念式典にてコアメンバーによりタグラインが発表された(写真提供:ジクシス株式会社)
プロジェクトがもたらした効果は、タグライン制定を超えて組織全体に波及している。海外調達部門と国内営業部門の連携強化、基地運営の効率化提案、若手社員からの新規事業アイデアなど、組織に新たな活力が生まれている。
「このプロジェクトを通じて、社員が自社を知る機会になりました。期待だけでなく不安の共有も行い、それを経営層に伝えることができた。結果として組織へのエンゲージメントが高まったと感じています」(朝倉氏)。

新しいタグライン「あなたの生活に寄り添う会社 Life Plus Gyxis.」とともに制定されたキービジュアル
「タグラインが持つメッセージ性により、ジクシスが単なるエネルギー供給会社ではなく、人々の生活に寄り添い続ける存在であることが明確に伝わるようになりました。取引先や関係者からの共感を得て、当社を身近に感じてもらいたいと考えています」(小牧氏)。
国土面積の約9割をカバーし、日本の生活と産業を支えるLPガス。災害時には導管に依存しない分散型エネルギーとして真価を発揮し、カーボンニュートラル社会に向けても重要な役割を担う。この社会的使命を担う企業として、世界中から調達し日本全国へ供給するという壮大なサプライチェーンを支える社員一人ひとりの誇りが、プロジェクトを経てより鮮明になった。
タグラインは、同社の多様性を強みとし、日本と世界の人々の生活に寄り添い続けるジクシスの確かな羅針盤となっている。10周年を機に見出した「ジクシスらしさ」を胸に、組織は確実に前進を続ける。
ジクシス株式会社
田中社長に訊く

設立10周年という節目に、全社員参加型のカンパニー・タグライン・プロジェクトを立ち上げました。4社統合で生まれた当社の多様性あふれる人材、海外&供給・国内営業・企画管理各分野のプロフェッショナル達が、個別最適を超えて全社最適を追求すれば、この会社は飛躍的に成長できると確信しました。丸10周年のちょうど1年前に全社員にタグライン創設を宣言すると、17名がコアメンバーとして自発的に手を挙げてくれたことが何より嬉しかったですね。社員の自主性に任せてプロジェクトを進めてもらいました。
プロジェクトを通して、大きな変化を感じています。この夏に全17回実施した社員と私とのランチミーティングでも、他部署の知見を学びたいという意見や全社レベルでの改善への積極的な提言が次々と出てきました。
LPガスは2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でその重要性が初めて国策として明記されました。わが国のエネルギー安全保障(安定調達に貢献)、国土強靭化(災害時にも強い)双方の観点からとても貴重なエネルギーです。新しいタグラインには、その国益に叶う当社の活動への誇りも込められていると感じます。社員自らが生み出したこの言葉を旗印に、グリーンLPガス開発や世界的に需要が増加する地域への展開など、次の10年に向けた挑戦を加速させていきたいと思います。
