日置電機株式会社 代表取締役社長 岡澤 尊宏氏
PROFILE
岡澤 尊宏〔おかざわ・たかひろ〕
1987年、日置電機株式会社入社。2002年、同社製造1課長。2008年、同社執行役員製造部長。2011年、同社取締役執行役員製造部長。2013年、同社取締役執行役員営業部長。2017年、同社取締役専務執行役員開発、販売・サービス担当。2021年1月より現職
サステナビリティ経営のもと、
地球規模の社会課題解決を
電気計測で支える
創業90周年を迎える当社は、創業以来、電気計測一筋で事業を展開してきました。現在、最先端の研究開発から、生産設備、電力系統の保全まで、様々な業種に向けて、約300種類の製品を提供しています。
私たちは1986年制定の企業理念「人間性の尊重」「社会への貢献」のもと、サステナビリティへの取り組みを進めてきました。88年には工場公園をコンセプトに全社員で植樹を行い、90年にHIOKIフォレストヒルズ新本社工場を開設しました。現在、HIOKIフォレストヒルズは3.7ha、約9万本の森となり、環境省の「自然共生サイト30by30(OECM)」に認定されました。
開発と生産を行っている森の中の本社を海外販売子会社の社員が訪れると、サステナビリティを根本に据えていることを実感し、会社への帰属意識と社会に貢献しているという誇りが高まるようです。
また、「ふるさとの森づくり」に取り組み、地域の学校などに苗木を寄贈したり、海外販売子会社でも植樹を通じた地域交流を進めたりしています。その他、青少年育成や地域発展のため、公益財団法人HIOKI奨学・緑化基金の支援を通じた奨学金給付や、福利厚生施設の一般開放などを行っています。
持続可能な社会実現への貢献を
事業の基本に据える
当社では2019年に長期経営方針策定のためのプロジェクトを立ち上げました。そこで出た、気候変動と若い世代の環境問題意識の高さという2つのキーワードを踏まえ、20年に長期経営方針「ビジョン2030」を策定。電気エネルギーを活用するあらゆる分野への貢献で持続可能な社会を実現することを事業の基本に据えました。続いて22年にサステナビリティ基本方針とHIOKIサステナビリティ宣言を発表し、具現化に向け取り組んでいます。
私たちの活動は理念を礎としており「人間性の尊重」は、個人では難しいことを会社組織で達成することを意味し、そのために社員がいきいきと働ける環境作りに注力しています。経営戦略と人事戦略は一体であるという考えに基づき、人事制度の改革も進めています。今年導入した「HIキャリア制度」では、社員がやりたいことを社業を通じて実現できるように、自ら手を挙げて、海外赴任や昇格を決められるようにしました。
本社敷地内に植樹された約9万本の木々に囲まれた「HIOKIフォレストヒルズ」
新しい社会システムを構成する
重要市場に開発資源を集中
私たちは、代替エネルギーへの転換や電気エネルギーの有効利用、DXなど新しい社会システムを構成する重要市場に開発資源を集中しています。世の中にあるものの多くは、私たちの目に見えない物理現象で成り立っています。電気計測はこれらを可視化し、お客様に確かな指針を提供します。
例えば、私たちが日常で使用するコンセントには「交流」の電気が流れています。一方、太陽光パネルで発電される電気は「直流」です。この直流から交流に電気を変換する際に電気エネルギーは少なからず目減りします。この損失を抑えるために電気の正確な可視化が重要です。同様に電池で走行するEVでも効率的なエネルギー利用のために電気計測が欠かせません。
さらに、AIの発達に伴い急増しているデータセンターや、新エネルギーとして開発が進む水素の活用に欠かせないのがバッテリーです。当社は、バッテリーの材料開発からリユースまで、ライフサイクルの各フェーズに対して計測技術を提供しています。私たちがビジョン2030で掲げた電気計測を通して安全で有効なエネルギー活用を促進し、社会の安心と発展に貢献するという基本方針は、こうした持続可能な社会の実現に向けたすべての取り組みに欠かせないものなのです。
創業90周年。感謝と未来を共有し
グループ一体経営を推進
私たちは2010年以降、グローバル化への事業改革を加速させ、現在海外売上高比率は63%を超えています。その背景には、国内はもとより海外拠点においても当社の理念に共感する社員が集まっていることに加えて、ビジョン2030で、持続可能な社会に向けた取り組みを進めるお客様に貢献していくと方向性を明確にしたことが大きいと考えています。
創業90周年を迎えた今年、様々な記念事業を進めています。テクノロジーの進化には、一歩先を行く計測の下支えが必要になります。その自負と責任感のもと、社員一人ひとりが未来に責任を持つ自覚と覚悟を持とうと訴えています。当社は現在、11か国に販売子会社があり、社員の国籍は30数か国に及んでいます。HIOKIグループとしての一体感を持って、それぞれの地域でお客様と共に持続可能な社会の実現に向けて取り組みを進めていく考えです。

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