日本IBM × 日立製作所 キーパーソン対談 生成AI時代を勝ち抜く経営者が知るべき持続可能なIT基盤の条件 -基幹データを活用し次の一手を打つ- 日本IBM × 日立製作所 キーパーソン対談 生成AI時代を勝ち抜く経営者が知るべき持続可能なIT基盤の条件 -基幹データを活用し次の一手を打つ-

企業の中核を支える基幹業務のデータを含めて、生成AIを活用して業務プロセスを変革するニーズが高まっている。日本IBMと日立製作所(以下、日立)は協業し、国内社会インフラのニーズに応えてきた。ベースは、地球規模のミッションクリティカル領域を支えるUNIX(AIX)のPowerサーバーだ。これまでも今もこれからも、3世代先に向けた開発が進む。基幹システムは止まることが許されないからだ。持続的成長を担う、持続可能なIT基盤の条件とは。日本IBMのPower事業部 事業部長 原寛世氏と日立のミドルウェアサービス本部 担当本部長 吉田健氏。両氏が事例も交えながら率直に語り合った。

生成AIを企業変革の
重要な要素と位置付ける

ITの最前線に立つ経験と知見から、生成AIが経営に与えるインパクトをどのように捉えていますか。

 生成AIの活用は、競争力や生産性の向上、働き方改革、新規ビジネス創造など、企業に求められる事業変革を推進する上で欠かせません。IBM自身も、社員の77%が日常業務で生成AIツールを利用しています。2025年度下期から2026年度上期にかけて開始するプロジェクトの67%で生成AIの活用を決定しています。

日本IBM 理事 テクノロジー事業本部 Power事業部 事業部長 原 寛世氏

多くの企業において生成AIの活用拡大は共通認識だと思います。IBMはITソリューションカンパニーです。自社で先行的に実践し、そこで得たノウハウをお客様にフィードバックしていきます。

吉田 生成AIは単なる効率化ツールではなく、企業変革の実現に向けて経営戦略の重要な要素として位置付ける企業が増えています。日立も例外ではありません。新経営計画「Inspire 2027」で掲げた目標の一つが、AIを核とした「デジタルセントリック企業」への転換により社会イノベーション事業のグローバルリーダーをめざすことです。それを推進する取り組みとして、さまざまな業態をもつ自社グループを最初の顧客として扱うカスタマーゼロとして、AIを事業に取り込み、その成果を顧客へ展開していきます。

日立製作所 マネージド&サービスプラットフォーム事業部 ミドルウェアサービス本部 担当本部長 吉田 健氏

日立は、5万人以上のAIに関するプロフェッショナル人材育成、AIイノベーションを加速するグローバルパートナーとの戦略的アライアンス締結などを通じ、生成AIからAIエージェント、そしてフィジカルAIの活用からその先の人・AIの協働による新しい社会に向けて、お客様の価値創出を支援する体制を強化しています。

経営戦略実現に向けて生成AIを活用する上で、どのような課題がありますか。

吉田 デジタル化とともに、生成AIなどの新しい技術でデータを利活用する取り組みが活発化し、基幹システムのモダナイゼーションが進められています。一方で、多くの企業が直面する課題が、長年運用してきた過程で生じたシステムの複雑化とデータのサイロ化です。データ活用に向けた膨大なデータの整理と、非構造化データの管理・活用も手間と時間を要します。

日立は、社内外の実践で培った経験や知見を生かし、業務・IT・組織を一体的にAIネイティブに変革すること、そこで重要となるAIレディなデータマネジメントにおいて、お客様の事業成長に向けて伴走し支援します。

 データの取り扱い方の難しさ、セキュリティに対する懸念、人材・スキル不足など様々な課題を、多くの企業が抱えていると感じています。課題解決には、生成AIだけでなくデータ活用の知見やノウハウが必要です。IBMのUNIX(AIX)サーバーPower製品と、それを知り尽くし運用ノウハウを有する日立の技術力が組み合わさることで、生成AI時代のIT基盤構築を成功に導きます。

大事なのは、ビジネスにつながる生成AIという視点です。生成AIは手段に過ぎません。日本IBMは、お客様のシステムや業務上の課題・戦略を正しく理解した上で、ITとビジネス目標の両方を重視した提案を行っています。

3世代先まで開発が続く。
ミッションクリティカル業務を支えるPowerサーバー

生成AIを活用し競争力を高めるためには、従来の基幹システムからのモダナイゼーションが必要です。生成AI時代の基幹システム基盤のあるべき姿とはどのようなものでしょうか。

 生成AIは導入しただけでは意味がありません。重要なのはデータです。「データがきちんと守られていて、そこに対し生成AIが特定処理を行っていく」というのが理想的な基幹システム基盤の姿だと考えています。

連続性も大切です。ビジネスや社会は動き続けています。過去、現在(As-Is)、目指すべき姿(To-Be)へと、シームレスに続くという観点では、過去から蓄積してきたデータがあって初めて生成AIが価値を発揮すると思います。

吉田 日立とIBMは20年以上協業し、社会インフラやミッションクリティカルな業務を支える基幹システム基盤を、日本のお客様に提供してきました。

原さんがおっしゃるように、基幹業務データは過去から現在、未来に向かって連綿と続きます。持続的成長や価値創造のために、連続性の中でAIを活用することに意義があると感じています。

生成AI時代の基幹システム基盤に求められるポイントについてお聞かせください。

原 寛世氏

 生成AI活用の有無を問わず、ミッションクリティカルな業務を支える基幹システム基盤には、「止まらないこと」と「安全安心」は基本条件となります。IBMの最新UNIX(AIX)サーバーPower11は、99.9999%の可用性に加え、エンドツーエンドの自動化により計画的ダウンタイムをゼロにしました。またランサムウエア攻撃を1分以内に検知する機能を備え、リスクを最小化します。さらにAIの計算処理を高速化する専用ハードウエアのAIアクセラレーターにより、ビジネスプロセスのスループットを5倍向上しています。

原 寛世氏

自律的にタスクを行うAIエージェントが複数連携し、自動化や生産性向上を図っていく流れは加速すると思います。「止まらない」「ランサムウエア対策強化」「AI計算処理性能向上」の3つのポイントを有するPower11は、生成AI時代のIT基盤を支えるサーバーです。

吉田 Power製品は、プロセッサーもOSのAIXも含めてIBMが一貫して開発・製造しています。一貫性によりミッションクリティカルに応える品質や信頼性を実現していると思います。日立のエンタープライズサーバ EP8000シリーズは、IBMのPowerプロセッサーとAIXをベースとするUNIXサーバーです。

2025年12月、Power11を搭載したエンタープライズサーバ EP8000の新モデルを発表しました。最短10数秒という世界最高クラスのクラスター切り替え処理機構、システム異常・障害をモニタリングし迅速な復旧を実現する遠隔保守システムASSIST、システム監視や運用を自動化する統合システム運用管理JP1、生成AIを活用したアラート対応の初動の迅速化などミッションクリティカルなニーズに高い次元で応えます。

 Power製品は、数年サイクルで新しいチップが開発されます。最新製品の発表段階で3世代先までのロードマップの下で開発が続けられます。この開発スタイルは、過去も今もこれからも変わることはありません。IBMのUNIX(AIX)サーバーは、地球規模でミッションクリティカルな業務を支えているからです。

Power開発チームは「Never end(終わりはない)」と言っています。成長戦略に合わせて投資計画を明確化しやすいのもPower製品の利点ですね。

吉田 健氏

吉田 Powerサーバーは、日本の社会インフラやミッションクリティカル業務を支えています。更に基幹システムのモダナイズに最適な基盤の1つです。某金融機関のシステム更改において、Powerサーバーをベースとする日立のEP8000を導入しモダナイズを行いました。

吉田 健氏

テーマは、安全安心のもとで「データを活用し自社のお客様に価値提供していくこと」。他社UNIXサーバー、Windowsサーバーを廃止しEP8000を含むLinuxとAIXに移行・統合し、高性能・高信頼、高可用性、コスト最適化を実現しました。マシンデータ分析ツールも導入し、不正取引検知や問い合わせ対応業務に要する時間短縮も図れました。社会インフラを支える金融基盤として、企業変革推進のITインフラとしてご利用いただいています。

持続的成長を支える、
持続可能なIT基盤の新しいかたち

先の読みにくい時代において、持続可能なIT基盤の重要性が高まっています。企業の成長戦略を実現するために、IT基盤をどのように選択するべきでしょうか。

 IBMでは、「オンプレミスかクラウドか」の二者択一ではなく、両者を組み合わせ、IT基盤を柔軟に設計する「ハイブリッド・バイ・デザイン」を提唱しています。たとえば、機密性の高い業務データを扱う場合は、オンプレミス環境が適していますが、新しいサービスの検証やPoC(概念実証)など、スピードと柔軟性が求められる場面ではクラウドの活用が効果的です。「最適な組み合わせを選ぶ」ことで、ITの戦略的活用が可能になり、長期的なTCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)の最適化にもつながります。

そして、この戦略を支えるのが、IBM Power製品群です。Power製品は、エッジからデータセンター、クラウドまで、幅広い環境に対応できます。特に、オンプレミスとクラウドで同じアーキテクチャを活用できる点は、運用の一貫性や移行の容易さで大きなメリットです。

さらに、IBM Power Virtual Serverとの連携により、オンプレミスで稼働しているAIXやIBM iのワークロードを、クラウドへシームレスに移行・拡張することも可能です。たとえば、オンプレミスの業務システムを、繁忙期だけクラウドにスイッチするといった使い方も実現できます。リソースの最適化やコスト管理が容易になり、ビジネスの変化に迅速に対応できるIT基盤が構築可能になります。

吉田 基幹システムのモダナイゼーションは、一気に刷新するのではなく、段階的に取り組みたいというニーズがあります。それに応えるのが、“as a Service”型ITプラットフォームのHitachi EverFlexです。必要なサービスを、必要な分だけ利用でき、月額定額課金で初期投資を抑えつつ迅速な導入と拡張が行えます。

2024年、基幹システム向けにAIX環境をミドルウエアも含めて提供するHitachi EverFlexミッションクリティカル基盤を整備しました。構築から運用・保守、更改までの一連のマネージドサービスをご利用いただくことで、お客様の社内IT人材が戦略立案など経営貢献度の高い業務に集中する時間を創出できます。EP8000の新モデルもサービスメニューにラインアップしています。

今後の展望についてお聞かせください。

吉田 日立とIBMの協業で、これからも日本の社会インフラを支え続けていきます。また、日立はLumada(ルマーダ) 3.0によりAIと日立のドメインナレッジを掛け合わせ、サステナブルな社会インフラ革新に挑戦し、お客様への提供価値最大化を図っていきたいと思います。

 Power製品をはじめとするミッションクリティカル領域において、これからも技術革新を続けていきます。IBMと日立という最強タッグで、持続可能なIT基盤の提供を通じ、日本企業や社会の持続的成長に貢献していきます。

原 寛世氏 吉田 健氏

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