インフォメティス(東証グロース市場上場)は独自のNILM(機器分離推定技術)を活用したエネルギー最適化ソリューションの提供によるグローバル市場での事業拡大を目指している。今後のさらなる成長機会は、2026年から全国で設置が始まる次世代スマートメーターのデータ利活用における圧倒的優位性だ。代表取締役社長の只野太郎氏が今後の成長に向けた戦略を語った。
私たちインフォメティスは、「エネルギーデータの力で、暮らしの未来を変えていく。」というミッションの下、エネルギー最適化と暮らしに役立つIoTソリューションの融合による事業拡大を進めています。
今、日本をはじめ世界の国々がカーボンニュートラルに向けて動いています。その実現にはCO2排出量の少ない再生可能エネルギーを増やすことが不可欠です。ただ、電力には「同時同量」の原則があり、発電量と消費量を等しくしなくてはなりません。不安定な太陽光や風力を取り入れつつ、いかに需給バランスを取るかが課題となっています。
これを電力供給側だけで解決するのは難しく、仕組みの進化とともに、電力消費者側の変化・進化も必要だと、私は考えています。そのために当社は、特に電力消費者側のデータ分析の強みを生かし、無理強いでなく暮らしに溶け込む形での消費変容からも需給均衡を目指しています。
当社は、独自の人工知能(AI)をはじめとするIT技術を活用し、供給側と消費側の双方から電力量をコントロールする「スマートグリッド」を実現することで、持続的な社会づくりに貢献したいと考えています。
その核になるのが、最先端のNILM(機器分離推定技術)です。この技術で、エアコンや洗濯機、電子レンジなどの各家電がいつ、どれぐらい電力を使ったという内訳をリアルタイムで推定します。電流波形はそれぞれの家電で異なるという特徴を利用して、その波形を機械学習で識別することに成功しています。電力データから生活状況などの情報を読み取り価値化する上で世界でも画期的な技術と言えます。
国内外で特許を取得したNILMを商用化するため、当社は10年以上にわたり、家庭の家電にセンサーを取り付け、機械学習用の膨大な「正解データ」を収集しました。正解データを読み込んだ高度なNILMを持つ当社は圧倒的な競争優位性を有していると自負しています。
このNILMは、私がかつて在籍したソニー(現ソニーグループ)で、環境・エネルギー分野の新規事業責任者だった時代に開発しました。その事業と技術の将来性を確信して、数人の有志と2013年にカーブアウトしたのが、インフォメティスです。
以来、東京電力パワーグリッドをはじめ国内外のエネルギー関連企業、住宅メーカーなどの大手企業と提携を進め、BtoBtoC(企業対企業対顧客)モデルでサービスを提供してきました。単なる電気使用状況の見える化や省エネ支援にとどまらず、NILMのライフログデータ的な側面を活用したスマートホーム、高齢者見守り、デマンドレスポンス支援、蓄電池制御など多岐にわたり、暮らしに溶け込むGXが実現できる世界を思い描いています。
今後の成長の源泉は、26年から東京電力管内から順次導入される次世代スマートメーターにおいて、当社技術が圧倒的な強みを発揮できる計測仕様が採用されていることです。これにより、サービス対象の拡大が見込まれるだけでなく、東京電力パワーグリッドとの協業を通じた電力系統の安定運用等、当社事業の一層の拡張に向けた基盤が形成されます。現在、他の地域での採用・活用に向けた検討を加速しています。
世界にはNILMを開発する企業は数社あり、これまでは、それらの技術を分類・評価する基準がありませんでした。こうした中、25年6月に当社がその策定に貢献したNILMの国際標準規格が発行されました。当社が知る限り、当社の方式が、世界の標準的なスマートメーター機器から部品コストアップなしで高精細データを取得できる世界唯一の技術方式だと分類、評価されるようになったのです。
こうした評価を背景に、当社はスマートメーター経由で高精細な電力データを活用し、他社にはできない高度なサービス提供が可能なプレーヤーとして、グローバルに売り込みやすくなりました。ゆくゆくは世界中で、エネルギーの効率利用、医療、防災、物流、マーケティングなど幅広い領域で新たな価値を創造したいと考えています。
インフォメティスはITの力でGXソリューションを生み出す会社であり、AI、IoT等を駆使して脱炭素化への貢献を目指しますが、その根底には、冒頭でも触れた「私たち電力消費者自らが社会の流れに寄り添って進化・変化を選び取っていくべき」という思いがあります。それは決して、何か我慢を強いる世界ではなく、技術力、経済力学、そしてエンタメをも活用して自然な行動進化を生み出し醸成することで実現したいと考えています。社会行動を変えるのは容易ではありませんが、我々はそのために、電力系統、電力取引システム、VPP等様々な側面からエネルギー効率利用に貢献しながら、常にその力点となる「人と社会」に目を向けて働きかけ、徐々にでも、グローバルな変革にチャレンジし続けます。
今後はBtoB(企業対企業)事業にも、より一層注力します。小売電気事業者との取引を拡大しながら、工場や商業施設などに節電支援サービスなどを提供します。例えば、フォーバルグループとの協業により、中小規模のオフィスや飲食店へのサービス導入も図ります。また、欧州を中心にグローバル展開も推進しています。特に先行するのが英国です。英国では脱炭素化の流れから、ガス給湯器からヒートポンプ(電気給湯器)へのシフトが進んでおり、エネルギーマネジメントの必要性が高まっています。当社の株主であり、英国でトップシェアを持つダイキン工業と協業し、ヒートポンプの販売に合わせたエネルギーマネジメントサービスを提供し始めました。消費者の大きな経済的メリットを生み出せるソリューションとなっており、英国での拡大はもちろん、フランス、イタリア、スペインなどを含む欧州全体への貢献拡大、事業拡大が可能と考えています。
中長期的には成長に向けた道が敷かれ、数年で事業規模が何倍にもなるポテンシャルを有しています。エネルギー領域で新たな社会インフラを創り出し、人々の常識を進化させ、世界のカーボンニュートラル達成に貢献します。一方で、当社の中核事業が電力インフラに関わる特性上、時間をかけて社会や市場に浸透・定着していくものであることから、中長期的な視点で、当社の成長性やスケール感を評価いただきたいと考えています。

〒105-0012 東京都港区芝大門一丁目12番16号 住友芝大門ビル2号館
https://www.informetis.com/