NTTデータ先端技術は、社名の通り様々な先端技術を活用して、顧客のビジネス変革を支援する企業である。従来型AIへの10年以上の取り組みをベースに、近年では特に生成AI技術を軸としたビジネスに注力。システムインテグレーションはもちろん、GPU(Graphics Processing Unit)基盤の販売構築や人材育成支援、運用やセキュリティなど、多角的に顧客のビジネス変革に伴走している。生成AI技術の領域においては、顧客の成果につながるような新しい価値の創出に特に重きを置いている。
同社において生成AIを活用したビジネス変革の推進を担うAI戦略室は、①顧客のビジネス課題やニーズへの理解に基づく、生成AIを活用した課題解決やユースケースの探索②生成AI活用を実現するための最適なAIモデルの選定や導入プロセスの選択といった、技術ケーパビリティの提供と拡充③活動を広く展開するためのエコシステム構築と、それによる付加価値創出スキームの最大化――この3テーマを主眼に取り組みを進めている。
同社の渡部一洋氏は、これらのテーマへの取り組みに際し、まずは自社がAIドリブンな企業に変革していくためのスキーム拡充・整備を図り、「AI活用基盤整備」「AIガバナンス整備」「人材育成」からなる3つの施策を展開している、と話す。これらの施策により社内の生成AI活用ナレッジや体制を拡充し、顧客にも提供する狙いである。
株式会社NTTデータ先端技術
デジタルビジネス事業本部
テクノロジーイノベーション戦略部
副戦略部長 兼 AI戦略室長
渡部 一洋氏
自らがAIドリブンな企業に
変革していくための3施策
AI活用基盤整備では、日々の業務における生成AI適用に取り組んでいる。各種文章の生成・要約などに活用できるチャットボットや、RAG(Retrieval Augmented generation:検索拡張生成)を用いた社内情報・規定類の検索や回答、さらにはスケジュール調整をこなすAIエージェントを社内提供することで、社内業務の変革やノウハウの蓄積を図っている。松澤 智氏は生成AIを活用した自らの業務革新について、次のように語る。
「生成AIは単なるツールから『デジタルAIアシスタント』という存在に進化しつつあります。例えば、どの航空会社を好むかといった従業員の嗜好を学習して把握していれば、出張を調整する際にその航空会社で飛行機を手配するといったように、“空気の読めるパートナー”となるデジタルAIアシスタントをつくり出すことも可能です」。
株式会社NTTデータ先端技術
デジタルビジネス事業本部
テクノロジーイノベーション戦略部
AI戦略室 部長
松澤 智氏
AIガバナンス整備は、多くの企業にとって喫緊の課題となっている。企業のAI活用におけるセキュリティ等のリスク管理や予防、企業として責任ある生成AI活用を推進するための体制やプロセスの整備は今や不可欠だ。同社ではAIプロジェクトにおけるリスク診断から対策、実行までトータルでの対応を進めている。こうした自社での取り組みを生かし、NTTデータグループの厳格なガイドラインに則ったAIガバナンスコンサルティングを顧客にも提供する。
人材育成では、全従業員向けの「ベーシック」と職務別の「プロフェッショナル」に分けた研修を実施している。ベーシックではプロンプトエンジニアリング研修などを、プロフェッショナルでは営業やコンサルタント、各種エンジニアといった職種に応じてGitHub CopilotやRAG構築ハンズオンといった研修などをレベル別に取りそろえている。こうしたAI人材育成の取り組みや仕組みも外部に提供し、顧客のAI人材育成までサポートする。
生成AIを用いたビジネス変革のアプローチ
多彩な生成AI活用実績を生かし
顧客のニーズに即座に応える
同社は自社で所有する生成AI活用ナレッジを言語化し、それを顧客の付加価値提供へとつなげるためのユースケースとして拡充、顧客への提供を進めている。その数は「進行中のプロジェクトや打ち合わせ段階の引き合いを含めて200を超えます」(志田隆弘氏)。顧客の課題やニーズに応えるための生成AIを用いた技術検証を多数、顧客とともに進めており、いくつかは既に商用化のフェーズに至っている。
株式会社NTTデータ先端技術
デジタルビジネス事業本部
テクノロジー&ソリューション事業部
アジャイルインキュベーション担当 部長
志田 隆弘氏
生成AIを活用したユースケースの代表例として「AIコンシェルジュ」が挙げられる。これは、東京の大手町・丸の内・有楽町のいわゆる「大丸有」エリアに特化した情報をチャットボットが回答するというもの。地図アプリケーションに生成AIを組み込み、イベントや飲食のほか、バリアフリー設備やトイレ、コインロッカーの位置などの情報まで幅広く網羅している。「Oh MY Map!」というアプリで利用可能だ。
渡部氏は、こうしたユースケースや実績を多数有しているからこそ短期で顧客のニーズに応えられると話す。これらのユースケースの中にはわずか2カ月程度でプロジェクトが完了しているものもあり、顧客にとっては迅速に生成AIへの取り組みを開始し具体化できるメリットがある。
最先端技術を組み合わせ
多様なソリューションを迅速に提供
同社には生成AIをはじめとする最先端技術の活用はもちろん、既存の技術やアイデアと融合させながら顧客の課題解決を促進するサービスを豊富に持っているという優位性がある。志田氏は「弊社には様々な領域のプロフェッショナルが存在します。その領域間をAIでつないだ各種技術ソリューションを提供することで、よりお客様のニーズに寄り添ったサービスが迅速に展開できると考えています」と語る。
同社は今後より一層多くの企業のビジネス変革に積極的に伴走していく考えだ。生成AIをはじめとする最先端技術を活用し、ビジネスの変革と付加価値拡大を目指す企業には見逃せない存在といえるだろう。
