株式会社LIFULL 代表取締役社長執行役員 伊東 祐司氏
PROFILE
伊東 祐司 [いとう・ゆうじ]
2006年、株式会社ネクスト(現LIFULL)に新卒で入社。HOME'S(現LIFULL HOME'S)の営業職を務めたのち、営業部長を経て2015年、最年少の32歳で執行役員に。2019年にはLIFULL
HOME'S事業本部長、2020年には取締役執行役員に就任し、2023年12月より現職。
理念とテクノロジーの力で
長期的な価値創造に挑む
LIFULL“第二創業期”の
現在地
「情報格差をなくす」
志が導いた30年
LIFULLは今年で30周年を迎えました。創業者・井上の体験から生まれた理念は、今も全社員が大切にしている原点です。
新卒でマンション営業を担当していた井上は、若いご夫婦が住宅ローン審査に通らず希望の物件を購入できなかった姿を目の当たりにしました。本来ならそこで営業活動は終わりますが、彼は諦めず、競合物件を含め40件ほどを自ら探し、ご夫婦に提案。結果的にライバル会社の物件に決まり、上司からは大目玉を食らったものの、ご夫婦からは深く感謝され、その経験が「不動産の情報格差をなくしたい」という志につながったのです。
当時はまだインターネット黎明期。売り手だけが情報を握り、買い手は不利になるという「情報の非対称性」が顕著な頃でした。井上はそれを解消しようと不動産ポータルサイトを立ち上げ、これが後の「LIFULL
HOME'S」(以降、HOME'S)に発展。今では日本最大級の不動産情報サービスへと成長しました。ユーザーを第一に考えるその精神は、私自身が入社を決意した理由でもあり、今も企業文化の根幹を成すものです。
国内集中が牽引する、
HOME'Sと周辺事業の
拡大サイクル
2023年に社長を引き継いでから、私は事業ポートフォリオの整理を進めました。海外事業をリストラクチャリングし、国内にリソースを集中させたことで、HOME'Sを中心とした成長が加速しています。
HOME'Sは会員数と単価がともに伸び、営業利益は前年比約2倍を達成。HOME'S関連事業の売上高は7四半期連続で前期超えを更新しました。背景には、入会直後のサポート体制を強化し、顧客の成功体験を積み重ねたことがあります。効果を実感した不動産会社が継続利用し、掲載物件が増え、ユーザー利用も拡大。会員数の伸びと単価上昇が掛け算となり、力強い成長サイクルが回っています。
国内集中によって、グループ事業のシナジーもより鮮明になりました。不動産投資サービス「健美家」では、投資家が取得した物件がHOME'Sにも自動で掲載され、売買や賃貸の循環を生み出しています。24年3月には5万9000件ほどだった掲載物件数も25年3月には7万件超と大幅に増加しています。「LIFULL
介護」は全国数万件を網羅する日本最大級の老人ホーム・介護施設検索サイトとして高齢化社会の課題に応えています。地方創生事業では、自治体と連携し空き家や移住マッチングを推進し、地域経済の活性化に貢献しています。
「テクノロジー企業」として
挑む、
社会課題の解決
LIFULLは「テクノロジー企業」です。約200名のエンジニアが在籍し、AIを活用した新機能を内製で次々と生み出しています。
不動産業界全体で深刻化する人手不足は、今後ますます大きな課題となります。だからこそ私たちは、AIを活用して業務の自動化や効率化を進め、人手不足を補えるサービスを開発していきたいと考えています。限られた人員でも事業を継続できる仕組みをつくること。それが業界全体の生産性を押し上げ、LIFULLの存在意義をより強固にする道だと確信しています。
一方で、利便性だけでなく「信頼性」にも力を注いでいます。その象徴が「おとり物件検知システム」です。AIを用いて不正な掲載を自動検出し、常に鮮度と精度の高い情報を提供しています。その結果、賃貸領域において2年連続で「物件鮮度NO.1※」に選ばれました。情報の正しさを守る姿勢は、当社が大切にしている「ユーザーとの信頼関係」を築く根幹であり、事業成長の揺るぎない土台です。
※ 「物件鮮度」とは、サイト上の賃貸掲載物件のうち、実際に募集中である物件が多い状態を物件鮮度が高いとしています。調査は株式会社プラグが2025年6月19日〜6月23日に実施し、LIFULL HOME'Sと主要不動産ポータルサイト5サイトを比較した結果に基づいています。
様々な事業を通じて社会課題解決に取り組む
AIを追い風に迎える
“第二創業期”
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」という理念のもと、住まいを起点に介護、投資、地方創生、新規事業へと領域を広げ、社会課題の解決に挑んできました。創業以来一貫しているのは、大きな社会課題がある場所に踏み込み、ビジネスとテクノロジーで新しい解を示すという姿勢です。
これから迎えるAI時代は、私たちにとって“第二創業期”とも言える節目だと考えています。ユーザー一人ひとりの異なるライフに寄り添い、最適な提案を届けられるのはAIの得意領域です。理念を具体的なサービスへ結びつける力としてAIを活用し、これまでにない驚きと価値を提供していきます。
同時に、理念に根ざした事業を展開できることは、社会からの信頼そのものにつながります。事業を語るときに胸を張れること。それこそがLIFULLの強さであり、未来に挑み続ける原動力です。
長期的な視点を持つ投資家の皆さまとともに、社会から応援され続ける企業でありたい。ともに歩むパートナーとして、未来の暮らしをより豊かにする挑戦を続けてまいります。

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