
IT人材不足が叫ばれる現在、株式会社マーブルが熱視線を浴びている。
約8000名ものエンジニアを擁するスケール感に加え、一体感とスピード感を両輪に、
長期的視点での人材育成と多様な働き方を受容する環境構築も加速中だ。
「成長の源泉は人材」と語る経営者と人事責任者が具体的なプランを語った。
2024年にグループ会社13社を統合し、株式会社マーブルとして新たなスタートを切ってから半年あまり。同社はこの時間を“助走期間”に充ててきた。
「統合前は各社がそれぞれ独自の事業方針のもとに経営や人材育成を行ってきました。そうした違いを調整し、一つの組織として機能するように注力してきたのがこの半年ほどです。これからは、一体感をもとに全社的かつ長期的な視点での経営を加速します」と同社の田村浩一代表取締役社長は力を込める。
中でも目を引くのが、人材への投資計画だ。統合によって約8000名ものエンジニアを擁することになったマーブルは、中期経営計画で3つの重点戦略の一つに「人財基盤強化」を掲げ、全社的かつ長期的な視点で、社員一人ひとりの成長を後押しする環境を整えている。
「ものを作って販売するという事業には、製造設備への投資も必要でしょう。しかし当社の場合、価値の源泉は人材です。ですからその人材に投資することが会社の成長に直結すると考えています」と田村社長。
具体的には、エンジニア一人当たりの研修費を前年度比で倍増させる。さらに、入社3年目までの社員が参画するプロジェクトを育成視点で厳選。
「統合前は、各社の規模が小さかったこともあり、結果として育成よりも眼の前の業績を優先せざるを得ないこともありました。しかし今後は、新入社員には入社後3年間、成長に資するプロジェクトをじっくり経験させることにしました」と企画人事本部長の神谷晃志執行役員が説明する。主体的なキャリアパスの明確化とその支援も新たな施策だ。
「マーブルでは多様な選択肢からキャリアを選び、成長することができます。プロジェクトマネジメントやクラウドアーキテクチャ、コンサルタントなどの上位職種から、アプリケーションや組込ソフトウェアのエンジニアなど42の職種の中から社員が『ありたい姿』を選び、成長に必要な資格やスキルセットを身に付けるための研修などを受けられるようにしました」(神谷氏)
もちろん、研修だけでなく仕事での経験も成長に大きく寄与する。
「統合により経験できる案件の幅も拡大しました。モビリティや社会インフラ、ヘルスケアなど多岐にわたるフィールドで、より主体的なキャリア形成が可能になったのです。適材適所への配置のスピードアップとそれによる社員の成長も、統合の大きなメリットだと感じています」(田村社長)

50年以上にわたって信頼関係を構築した顧客との安定的なビジネスに加え、新たなチャレンジができる部署も新設した。イノベーション本部だ。
「従来は受託型ビジネスが中心でしたが、規模が拡大したことで上流工程から下流まで幅広い仕事に対応できるようになりました。そうした中、未経験の領域でも、より能動的で創造的なアプローチを取ることができるよう、生成AIに代表されるような新興技術を獲得する場と、新規事業の種を生むチャレンジの場を設けたのです」と田村社長は狙いを語る。
統合前から全国の拠点を訪ね、現場の社員と意見交換を重ねてきた田村社長が、まだ見ぬ才能に寄せる期待は大きい。
「おそらく、社員の中にはまだ経営層が見つけられていない優れた人材が埋もれているはずです。スキルとタスク遂行レベルを可視化し、社員一人ひとりに目を向けるマネジメント体制を構築することで、そうした人材の発掘と活用を進めたい。そのために人事制度の見直しにも取り組みます」
今年4月にはキャリアサポート室も設置した。「キャリア形成に関する相談はもちろんのこと、仕事で感じる心身の負担も相談できます。ただ設置しただけでなく、気軽に利用できる仕組みも整えています」と神谷氏。さらに福利厚生面も強化し、厚生労働省による女性活躍推進法に基づく認定(通称えるぼし)と子育てサポート企業認定(通称くるみん)、経済産業省による健康経営優良法人認定を目指す活動に加え、確定拠出年金制度を導入。従業員持ち株会の設置も視野に入れている。
多様な働き方を可能にする柔軟な環境は、これまでも同社が力を入れてきた点だ。同社では社員の約3割が20代で定着率も業界標準を上回る。女性エンジニアも活躍中だ。採用も首都圏だけでなく、全国54拠点で行ってきた。
「キャリアのために様々な土地で様々な現場を経験したいという人も、住み慣れた地元で仕事をしたいという人も尊重し、希望に応じたスタイルを実現します」と神谷氏。
「社員には“全国にあるいい仕事をみんなでやろう”と呼びかけています」と語る田村社長は、職場としてのマーブルの魅力をこう総括する。
「キャリアを自ら選び成長できる環境がマーブルにはあります。お客さまからも期待を寄せていただいており、仕事のステージは拡大していくでしょう。会社の歴史は1971年から続いていますが、マーブルとしてはまだ1年もたっていません。会社の成長とともに自分の成長もダイナミックに実感できる、そんな環境を今後も整えていきます」
“助走期間”を終えたマーブル。カラフルな社員の個性を引き出しながら今、飛躍のタイミングを迎える。
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