マクセル株式会社 代表取締役 取締役社長 中村 啓次

PROFILE

中村 啓次 [なかむら・けいじ]
京都府出身。 1990年日立マクセル入社。 耐熱コイン形リチウム電池をはじめ電池の開発に長年携わる。 2014年同社執行役員、18年マクセル代表取締役取締役社長、20年6月より現職。

「アナログコア技術」を発揮して
「高信頼の小型電池領域」の
フロントランナーをめざす

安定性、安全性が高く
コンパクトな電池を開発・製造

創業以来60年余り、マクセルは電池やカセットテープ、光学ディスクなど、さまざまな製品づくりを行ってきました。

そのなかでも、当社の祖業と言えるのが小型電池の開発・製造です。

社名の「maxell(マクセル)」は、「Maximum Capacity Dry Cell(最高の性能を持った乾電池)」の略。その名の通り、創業間もない1960年代には日本初のアルカリ乾電池の生産を開始するなど、当社の歴史は、時代ごとのニーズに合った小型電池の開発・製造によって発展を遂げてきました。

時計や携帯ゲーム機、携帯電話といった身の回りの製品は言うまでもなく、ガス・水道用のスマートメーター、医療機器、自動車のタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)など、多くの産業用製品やIoT機器に当社の小型電池が採用されています。

なかでもTPMS用においては、当社の電池が世界で約7割のシェアを占めています。

信頼の支えとなっているのは、60年以上にわたる“モノづくり”の経験で培った、「混合分散(まぜる)」「精密塗布(ぬる)」「高精度成形(かためる)」といった3つの「アナログコア技術」です。

高温などの厳しい環境下でも安定した性能を発揮し、液漏れや短絡による事故を起こさない電池を製造するためには、電池の主原料である粒度や形状が異なる粉体を均一に、ムラなく混ぜ合わせる技術が欠かせません。また、電池を小型化・薄型化するためには、容量を保ちつつ、しっかりと固める技術も必要です。

これらの「アナログコア技術」によって、性能や安全性が高い小型の電池を開発・製造できることが、当社の大きな強みなのです。

株式会社村田製作所の
マイクロ一次電池事業を譲受へ

当社は2025年6月、村田製作所との間で、マイクロ一次電池事業の譲受に関する株式譲渡契約を締結しました。

村田製作所および東北村田製作所の対象事業を新会社として切り出し、今年度中に全株式を取得する予定です。当社業績への寄与は2026年度からとなる予定です。

当社は、2024年度にスタートした中期経営計画「Maximum Excellence 2026(以下、MEX26)」で、社内だけでなく、外部の事業や技術も取り込みながら成長を加速させていく方針を掲げました。

戦略策定議論のなかで、マクセルの一次電池事業をさらに発展させるために村田製作所と一緒に取り組んではどうかという意見が上がり、当社から声を掛けさせていただいたということが、株式譲受に至った経緯になります。

短期的には、医療機器用コイン形電池の急激な需要拡大に伴い、当社の一次電池工場の生産能力の向上、中長期的には当社が培ってきた技術と村田製作所の技術を融合させて、新たな製品づくりに取り組んでいきます。

写真:中村 啓次氏

「モビリティ」
「人/社会インフラ」に注力
全固体電池でも世界をリード

村田製作所からの事業譲受を契機の1つとして、当社は今後、エネルギーセグメントにおける「高信頼の小型電池」の成長にリソースを集中投下していきます。

具体的には、「MEX26」で注力3分野(「モビリティ」「ICT/AI」「人/社会インフラ」)と位置付けている分野のうちの「モビリティ」「人/社会インフラ」向けの小型電池づくりに注力していく方針です。

注力3分野は、いずれも今後大きな成長が見込める分野であり、それぞれを支えるデバイスを動かすにはエネルギーを供給する電池が不可欠です。例えば「モビリティ」関連では、自動車の安全性を向上させる耐熱コイン形リチウム電池などが必要ですし、「人/社会インフラ」関連では、医療機器用の一次電池やスマートメーター用の円筒形リチウム電池が欠かせません。

時代や技術の変化によって生まれる新たな需要に対応しながら、小型電池のラインアップおよび用途の拡充、QCD向上と新製品の上市、電池周辺技術との連携強化に努めてまいります。

また、当社は産業用ロボットの駆動部の予備電源などに使用される全固体電池の量産を2023年に開始しており、この領域でも世界をリードしていると自負しています。

今後、全固体電池の開発・製造におけるアドバンテージもさらに強化できるという自信を持っています。

当社はこれからも、他社にはない強みである「アナログコア技術」を発揮しながら、「高信頼の小型電池領域」におけるフロントランナーをめざします。どうぞ、ご期待ください。

図:エネルギーセグメントの3つの成長戦略。電池の量産を通じて磨き上げてきたアナログコア技術(まぜる・ぬる・かためる)→成長戦略1、ラインアップ/用途拡充。成長戦略2、QCD向上と新製品上市。成長戦略3、電池周辺技術との連携。→アナログコア技術の進化

マクセルが描くエネルギーセグメントの成長戦略。「まぜる」「ぬる」「かためる」という3つの「アナログコア技術」を発揮して、小型電池のラインアップおよび用途の拡充、QCD向上と新製品上市、電池周辺技術との連携などを強化していく

ロゴ:マクセル株式会社

マクセル株式会社

〒108-8248 東京都港区港南2-16-2 太陽生命品川ビル21階
https://www.maxell.co.jp/

SHARE

記事中の肩書きやデータは公開時点の情報です