

日本企業が将来にわたり企業価値を高め続けていくために、不可欠なのが若手世代の活躍だ。サッカーチームFC今治を運営する今治.夢スポーツの岡田 武史氏と、マネージャーが存在しない組織でOpenWork総合評価ランキングのTOP10に入るネットプロテクションズの柴田 紳氏が、これからの組織のあり方を語り合った。

―― 現在20代から30代前半、いわゆるZ世代の育成に悩む企業経営者が少なくありません。
岡田 当社には十分な教育体制がないため、これまで新卒採用を行ってきませんでした。一方、ネットプロテクションズは若手が主体ですね。
柴田 社員の半数以上が20代で、まさにZ世代が中核です。ただ、実は組織マネジメントにあまり悩みを感じたことがありません。20数年来、若手中心の組織づくりを当たり前に進めてきたからです。
例えば、当社はティール型組織※2として評価されていますが、それを目指したわけではありません。優秀な若手は自己主張しますし、年上の私にも意見してきます。そのような彼/彼女らの良さを生かそうとする中で、結果的にティール型組織になった格好です。
―― 組織の特徴を教えてください。
柴田 「一人ひとりがリーダー」という自覚を持ってもらうため、経営会議も含めた核心的な情報は社員に開示しています。また、マネージャーのような権限を持つ存在はおらず、指示命令系統が無い、誰もがフラットな関係で協力しあいながら、共通の目標達成に向けて努力します。
岡田 一人ひとりが主体性を持って仕事できる環境が整っているのは素晴らしいですね。
―― ただ、個人の主体性だけでは組織がバラバラになりませんか。
柴田 もちろん給与に見合う成果を出すことが前提なので、その認識をすり合わせるようにしています。また360度評価で年次に関わらず業務に関連する社員を中心に全員が評価を行うため、若いメンバーでも方向性がブレないようになっています。あとは共通の目的を持つことですね。
岡田 その通りだと思います。サッカーであれば勝つこと、会社であれば利益やKPIの達成とありますが、それより企業理念やミッションステートメントなどの会社の目的が大切です。共通の目的があれば、主体性を発揮しながら同じ方向を向くことができます。また、最低限の型は教えてその後は任せるという、武道の“守破離”の考え方も大事ですね。
主体性を持つ個人同士、馬が合わないこともあると思います。ただ、異なる資質を持った人同士が認め合うことは、組織において非常に大切です。ともに取り組んだ仕事で結果が出ると一体感が生まれます。一方で「一体感をつくる」ことからはじめる経営者は多いですが、実は順番が逆で、1つの目標に向かって取り組み、結果を出したときにはじめて一体になるのです。

―― 組織内には年長世代もいます。それらの人材を若手中心の組織にフィットさせるにはどうすべきですか。
柴田 難しい問題ですね。当社では2013年に会社の方向性を全社で議論した結果、新しい組織の価値観に馴染めず、年長世代の多くが辞めました。変革に痛みが伴うのはやむを得ないことかもしれません。経験を積んだ年長者も、時代に合わせて変革していく必要があると考えています。
岡田 会社全体も変わる必要がありますね。また、従業員エンゲージメントを高めるために、私はなるべく一人ひとりに声をかけるようにしています。世間話程度でも「あなたのことを気にかけているぞ」というメッセージになる。相手の存在を認めることが経営者の役目だと思います。
柴田 おっしゃる通りですね。当社では、私自身が新入社員全員と座談会をやっています。新卒は月1回を1年間、中途組は月1回を半年間、意見交換をする中で会社のミッションに共感が生まれ、「自分は何をするべきか」という主体性が養われます。これは非常におすすめです。
―― 最後に、経営者にメッセージをお願いします。
柴田 「Z世代は接し方が難しい」といわれますが、変に構えず、まずは真摯に話を聞くことが大切です。みんながどう感じているかが分かれば、組織や自分自身をどう変えるべきかも見えるはずです。Z世代は、置かれた環境的にも身体的にも「ゴールデンエイジ」。そのような人材の力を引き出すことが、これからの組織に求められていると思います。
岡田 会社は人生の多くの時間を過ごす場所です。そこが若手にとって嫌な場所になってしまうのは経営者にとって辛いことです。みんながワクワクする場所にしたい。その思いが新しい組織づくりの出発点ではないでしょうか。

※1 ネットプロテクションズ調べ
※2 マネージャーが存在せず、会社と個人、社員同士のフラットな関係性を築く組織

株式会社ネットプロテクションズ
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