事業環境の変化をビジネスチャンスに インフレ時代に成長する中堅中小企業の勝ち筋とは

松田氏
澁谷氏
急激な物価高や人材不足、円安の進行など、日本経済はかつてない難局に直面している。日本の中堅中小企業が現状を打破し、成長するためには何が必要か。米国事業を成長軌道に乗せてグローバルにビジネスを展開するポケトーク代表取締役会長 兼 CEOの松田憲幸氏と、中堅中小企業を中心に世界中の企業が利用するNetSuiteの日本代表の渋谷由貴氏が語り合った。

外部環境は一企業では変えられない
柔軟かつ攻めの戦略で臨むべき

昨今の日本企業、とりわけ中堅中小企業を取り巻く事業環境の変化について、どう感じていますか。

NetSuite渋谷氏(以下、渋谷氏):日本の人口減少による国内市場の長期的な縮小、円安、人手不足、そして急速な物価上昇による原材料費の高騰など、日本の中堅中小企業は厳しい外部環境に直面しています。これまでの売り上げ、利益を維持することも難しい状況であることは想像に難くありません。

 しかし、もはや「現状維持」を目標としていては、円の価値が円安で目減りしている状況では海外勢に負けてしまいます。今後は、売り上げを成長させる「攻め」に転じなければなりません。自社の持てるリソースを最大限に活用して成長を目指さなければならないタイミングだと認識しています。

ポケトーク松田氏(以下、松田氏):私も渋谷さんと同感です。物価高や円安など、事業環境が大きく変わるときをマイナスと捉えるか、プラスと見るかで経営のスタンスは全く逆になります。

 私がソースネクストという会社を創業した1996年、1ドルは100円台の時代でした。当時は米国や海外から輸入して日本で売るビジネスがうまくいきました。しかし現在は、1ドルが150円台後半になっています。同じビジネスモデルが今も通用するはずがありません。

 マクロ指数の変化は企業にとって避けられないことです。その流れに沿ってビジネスの構造を機動的に変化させていくことは、経営戦略として当たり前のことだと思います。

松田氏
ポケトーク株式会社
代表取締役会長 兼 CEO
松田 憲幸
1965年生まれ。日本アイ・ビー・エムでシステムエンジニアを務めた後、96年にソースネクストを創業、代表取締役社長に就任。2006年に株式上場を果たす。17年AI通訳機「ポケトーク」を開発。22年に同製品事業を専門に扱うポケトークを分社独立。現在、ソースネクスト代表取締役会長兼CEO、ポケトーク代表取締役会長 兼 CEOを務める。