真の“SX”に挑む企業たち Striving for a sustainable future
イオンモール
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「地域共創業」をビジョンに地域の課題を解決したい サステナビリティ戦略の要は「非財務指標」の活用

全国各地域で日々の暮らしを支える小売業。ECが定着しているとはいえ、ショッピングモールには多くの人が集まり、地域コミュニティとして大きな役割を果たしている。こうした小売事業を展開する商業ディベロッパーにとって、サステナビリティはどのように位置づけられているのだろうか?
「真の“SX”に挑む企業たち ~Striving for a sustainable future~」特設サイトでは、真のサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に挑む企業と、それらの企業を支援するPwC Japanグループとの対話を通して、SXを実現する上でのチャレンジや、その乗り越え方、SXに向けた取り組みのあるべき姿を探る。今回は、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)が、国内外でショッピングモール事業を展開するイオンモール株式会社(以下、イオンモール)と対話を行った。

地域や社会の課題解決への貢献と
ビジネスの両輪を回す
サステナビリティ経営を目指して

経営においてこれまでは売り上げや利益といった財務指標が重要視されてきたが、近年企業のサステナビリティへの取り組みなどをはじめとする非財務の情報も経営の成績表に加わってきた。さらに消費者の側も、地域課題の解決を目指すサービスや環境に配慮した製品を選ぶ傾向があり、そうした声にいかに応えていくか、サステナビリティ経営をどのように実現するかが企業の持続的成長のカギを握っていると言えよう。

サステナビリティ経営戦略として非財務指標を活用しているのが、イオンモールだ。2024年5月に代表取締役社長に就任した大野惠司氏は、非財務指標を重視する意図についてこのように説明する。

「当社は、お客さま一人ひとりのライフステージに合わせて、暮らしの未来をデザインするとともに、地域や社会の課題解決を通して持続可能な地域の未来づくりに貢献する企業でありたいと考えています。24年9月現在、当社が運営する施設は国内だけでも164店舗を数えます。これは、それだけ地域との接点が多いということに他なりません。モールビジネスを展開する以上、利益を上げる必要はありますが、同時に地域の一員としてお客さまに愛されることこそサステナビリティ経営につながるという考えから、非財務指標に着目しました」(大野氏)

大野惠司氏

イオンモール株式会社
代表取締役社長

大野 惠司

同社は、2030年に向け「イオンモールは、地域共創業へ。」との長期ビジョンを策定している。この「地域共創業」こそ、大野氏が語った思いを端的に表すものだ。

「私たちは単にモノを売るための施設を開発し、運営するだけの商業ディベロッパーではなく、地域に根差し、出店企業さまと一緒にビジネスをつくり上げるとともに、地域の方々にも喜んでいただき、地域社会と一緒に成長していくLife Design Developerという考えから『地域共創業』というキーワードを生み出しました」(大野氏)

非財務を可視化することの難しさ
困難を乗り越え
KPIリストとして
非財務指標を策定

しかし、非財務指標の活用と一口に言っても、これは容易なことではない。そもそも非財務の取り組みは、定量化のハードルが高い。また、地域の課題はモールごとに異なるため、どのような取り組みが財務的な効果と関連するのかも見えにくい。

「そこで、各モールが実施している課題解決や地域貢献の取り組みが財務面にどう関連するのか、そして将来的な事業の持続性にどう寄与するのかを可視化することで、当社の取り組みについてより説得力を持って説明ができると考えました」(大野氏)

非財務指標の策定と財務とのつながりの可視化という困難なプロジェクトに挑むにあたって、イオンモールがパートナーに選んだのがPwCコンサルティングだ。同社上席執行役員で、パートナーとしてもSXを通じた社会的インパクトの創出に取り組む屋敷信彦氏は、イオンモールの意向をどう受け止めたのだろうか。

「非財務の取り組みがどのように財務につながるかについては、多くの企業が関心をお持ちです。当社では5年以上前から研究開発を行っている非財務情報の将来財務への循環構造を検証するインパクト可視化サービス『Sustainability Value Visualizer(SVV)』を、今回の非財務指標の可視化プロジェクトでも提案しました」(屋敷氏)

屋敷信彦氏

PwCコンサルティング合同会社
上席執行役員 パートナー

屋敷 信彦

本プロジェクトで、イオンモール側は社長直轄の戦略ユニットである地域サステナビリティ推進室が主導役を担った。大野氏はその意図について、「全社統一の評価軸として非財務指標を策定したかったので、部署横断的に取り組めるよう直轄組織としました」と語る。

さらに、プロジェクトにはPwCコンサルティングに加えて、PwCサステナビリティ合同会社も参加。イオンモール側も本部や現場の声を聞くべく、週次ペースでディスカッションを重ねていった。

活用したのは前述の「SVV」によるインパクトパス分析だ。これによって非財務資本が未来の財務資本にどう結びつくのか、因果の連鎖を可視化し、KPIリストとして非財務指標が示される。地域課題は店舗ごとに異なるため、KPIは膨大な数に上ったというが、大野氏によると、どの非財務指標KPIを採用して取り組みに反映させるかについては各モールに選んでもらうことにしているという。

図1

インパクトパスの仮説検証結果イメージ。サステナビリティ戦略に基づき、各KPIの相関関係を分析し、非財務から将来財務につながる活動になっているかどうかを検証できる。社内データでKPIが測定できない場合は、PwC Japanグループが10年以上にわたって蓄積したデータを活用する関連リンク:イオンモール統合報告書2024(2024年2月期)

「全体設計はPwCコンサルティングにご支援いただきましたが、地域の課題はそれぞれのモールが一番把握していますので、本部が一括で指示するのではなく、一定の自由度を持たせています。そうすることで施策に“魂”も入りますし、継続的な取り組みにもなると考えるからです」(大野氏)

屋敷氏によると、非財務の取り組みと財務的効果を可視化したこのプロジェクトを円滑に進めるにあたり、重要ないくつかのポイントがあったという。次ページで引き続き、そのポイントを探っていく。

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過去の取り組みが素地となって成立する、
ポジティブなサステナビリティ経営