SBCメディカルグループホールディングスは、「湘南美容クリニック」を起源とする、国内最大の美容医療グループ運営会社。2024年9月に米国ナスダック市場に新規上場を果たして以降の変化や取り組み、今後の展望について、CEOの相川佳之氏に話を聞いた。
SBCメディカルグループホールディングス(以下、SBC)は、CEOの相川氏が、自身のルーツである神奈川県藤沢市で湘南美容クリニックを2000年に創業して以来、「美容医療をもっと身近に」を信念に、25年にわたり先進的な美容医療を提供し続けてきた。その一方で、事業の多角化を図り、皮膚科、整形外科、歯科、AGA治療(薄毛治療)、婦人科、不妊治療、眼科、再生医療など、美容医療以外の一般医療分野にも進出。現在までに、国内外あわせて259院のクリニックネットワークを擁する、日本有数の一大医療グループに成長している。
そんなSBCが24年9月、日本の医療グループとしては初めて、米国ナスダック市場での上場を果たした。その背景について相川氏は、「私たちは、2035年に日本一、2050年に世界一、お客さまに選ばれる医療グループになることを目指しています。目標達成のためには資金調達力を養う必要があり、世界最大の金融資本市場を有し、美容医療大国でもある米国での上場が、一番の近道であると考えました」と話す。
さらにSBCは、上場から9カ月後の25年6月、米国中小型株指数「ラッセル3000指数」の構成銘柄に選定された。「非常に光栄ですし、とても驚きました。本格的に米国上場企業として認められた1つの証左であると考えています。ただ、これは最初の一歩。更に高みを目指したいと思っています」と相川氏は話す。
ナスダック上場後の24年11月、SBCは、世界一の医療グループを目指す足掛かりとして、シンガポールを拠点に美容医療に関連する4ブランド・21店舗を展開するAesthetic Healthcare Holdings(以下、AHH)を買収した。これについて相川氏は、「アジアの美容医療市場は、世界シェア第2位、平均成長率11%※と、他の地域を上回る著しい成長を見せています。中でもシンガポールは、地理的にも文化的にもアジア市場のハブであると捉えており、同地域で高い支持を集めているAHHの買収を、アジア市場におけるSBCのプレゼンス拡大に向けた第一歩にしたいと考えています」と話す。
また今後は、シンガポールを拠点に、周辺諸国への事業拡大も行っていくと相川氏。「25年5月に、東南アジア市場における中核拠点としての機能を担う子会社SBC MEDICAL APACが始動しました。今後は、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピンをはじめとしたアジア地域へのサービス展開を戦略的に進め、SBCが世界の医療グループとして定着していくための礎にしたいと考えています」
※ 出所:Straits Research「美容医療市場規模、シェア、トレンド分析レポート:手術タイプ別(侵襲的手術、非侵襲的手術)および地域別(北米、ヨーロッパ、APAC、中東およびアフリカ、中南米)予測、2022〜2030年」
他方、日本で最も多くのお客さまに選ばれる医療グループになるという目標に対しては、どのような事業展開を描いているのだろうか。相川氏はこう語る。
「おかげさまで私たちは、開業以来毎年平均120%の成長を遂げており、今では、年間630万人を超えるお客さまにご来院いただいており、国内の美容医療分野においてはトップランナーです。近年、日本人の美容医療への関心が高まり、利用率は着実に上がってきています。ただ業界の足元では、それ以上に新規参入が増え、競争が激化しています。トラブルの声が聞こえてきているのも事実で、残念ながら美容医療に対して不安を感じている方も一部いらっしゃるということも理解しています。
そうした状況の中、今後も引き続きマーケットシェアを確保、また拡大していくためには、改めて、私たちが大切にしている先客後利の経営を実践し、お客さまにご満足いただけるサービスを提供し続けることだと考えています。具体的には、成長の著しい美容皮膚科の領域では、マルチブランド戦略を推進し、より高い効果を実感できる施術の導入や利便性の向上により、お客さまのニーズにきめ細かく対応していきたい。また美容外科の領域でも、ドクターの高い技術に裏打ちされた新施術を継続的に開発し、より競争力を高めていきたいです。
さらに、業界を牽引する身として、お客さまにとっての安心・安全につながる環境整備にも尽力していきたい。さまざまなメディアなどを通じて、私たちの姿勢である『湘南美容の約束』を改めて発信しているのはそのためです」
加えて、今後は一般医療分野への事業拡大も、より一層力を入れていきたいと相川氏は言う。「今日本には、経営難に陥っている医療機関が数多くあります。私たちは、保険診療と自由診療を組み合わせた経営ノウハウで、日本の地域医療と雇用を守っていきたいと考えています。また近い将来、SBCの基幹病院として300床以上の総合病院を持ち、名医を集めてより良い医療を提供すると同時に、臨床研修医の教育・育成に携わりたいという夢も抱いています。
ナスダックへの上場は、こうした夢や目標を見据えて、資金調達力を柔軟にするための戦略として行ったところもあるのです。この1年で多様な経験や視点を持った新たな仲間が集まってきていますので、既存メンバーと融合することで、これまでにない大きな成果を目指せるのではないかと思っています」
SBCが今のような姿に成長するとは、湘南美容クリニックを立ち上げた25年前には思いも寄らなかったと相川氏。「私たちは創業以来、美容医療には人々の人生を輝かせ、幸せにする力があると信じ、お客さまに寄り添いながら、安心・安全・高品質な医療サービスを地道に提供し続けてきました。
今後も、『医療を通じて世界中の人々の幸福度向上に貢献したい』『“変わりたい”と願うすべての人に、もっと選びやすく、もっと安心できる医療を届けたい』という思いのもと、『究極の三方良し』、ナスダック上場を果たした今は株主を含めた『四方良し』の実現にこだわり、美容医療をはじめ多様な医療領域における経営支援を強化して、持続可能で高品質な医療サービスの普及に貢献してまいります。どうぞご期待ください」