セイコーソリューションズ株式会社
常務執行役員

松岡 信親

中央労働金庫
常務理事

山崎 英一

金融業界の
デジタルシフトを支える
デジタルエビデンス・
ソリューション

両利きの経営と社員各自の
オーナーシップが生んだ新サービス

セイコーソリューションズ株式会社 中央労働金庫

デジタルエビデンス・ソリューションをコアに多業界の契約や手続きのデジタルシフトを支えるセイコーソリューションズ。中でも、確固たる信頼を必要とする金融業界でのニーズは高い。同社のDXソリューション本部と中央労働金庫(以下、中央ろうきん)は、共同開発で独自の融資手続きペーパーレスシステム「R-NEXT」を開発したという。あらゆる金融機関に通じる課題を解決するという同システムの特徴について、両社のキーパーソンに話を聞いた。

対面の丁寧な接客をデジタルに
利用者の視点にこだわり
新サービスを共同開発

 中央ろうきんは、関東1都7県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨)が統合して2001年に設立された協同組織の福祉金融機関だ。中央ろうきん常務理事の山崎英一氏は、同金庫についてこう説明する。

山崎 英一氏

中央労働金庫
常務理事

山崎 英一

 「戦後に設立して以来、現在でも助け合いの精神が継承されています。当金庫の最大の特徴は、融資の99%を個人に対する住宅やマイカー、教育などが占めることですが、これも助け合いの精神が根付いているからこそです」(山崎氏)

 近年、金融業界でもDX推進が加速しているが、中央ろうきんもその例に漏れない。これまでもウェブ口座開設サービスやインターネットバンキング等、デジタルシフトを進めてきているが、この流れを加速させるきっかけになったのがコロナ禍だ。

 「当金庫の強みは、助け合いの精神をベースにした対面での丁寧なサービス提供だったのですが、コロナ禍でそれができなくなってしまいました。非対面でもお客様にとって快適な対応を継続するにはデジタルの活用が必須だったわけです」(山崎氏)

 こうした背景がある中、同金庫のDX推進の大一番とも言える施策が、セイコーソリューションズと共同開発した融資手続きペーパーレスシステム「R-NEXT」である。各種融資の申し込みから契約完了までの手続きをパソコンやスマートフォンで行えるサービスで、無担保融資と有担保融資の両方に対応する。ペーパーレスや印鑑レスに加え、印紙代が不要なのも利用者の大きなメリットだ。

 「R-NEXT」はゼロベースで開発されたのではなく、セイコーソリューションズが提供する「Seiko Trust」の金融業界向けサービス「融資クラウドプラットフォーム」がベースとなっている。同社DXソリューション本部長を務める松岡信親氏は、「Seiko Trust」と「融資クラウドプラットフォーム」についてこう説明する。

松岡 信親氏

セイコーソリューションズ株式会社
常務執行役員
DXソリューション本部長

松岡 信親

 「『Seiko Trust』はデータ社会におけるデータの信頼性を担保する社会インフラとして、当社の様々なサービスのコアになっているデジタルエビデンス・ソリューションです。もともと電子的な担保保証に求められていたのはタイムスタンプと電子署名でしたが、社会のデジタル化に合わせて機能を拡張しています。金融機関の融資業務を電子化・自動化するSaaSサービスである『融資クラウドプラットフォーム』もその中の一つです」(松岡氏)

総務大臣認定のタイムスタンプサービスや電子署名技術が評価され、地方公共団体や金融、医療、流通など、多様な場で活用されている「Seiko Trust」。その中の金融向けサービスとして、多くの金融機関の融資に関する契約や手続き等の業務のデジタルシフトを実現するのが「融資クラウドプラットフォーム」だ。業務効率化のみにとどまらず、膨大な契約文書を保管する必要がなくなるというペーパーレスのメリットもあり、全国の金融機関での導入が進んでいる。

※出典:2023年2月16日「時刻認証業務の認定に関する規程を定める件(令和3年総務省告示第146号)」に基づく、総務大臣による時刻認証業務(タイムスタンプサービス)認定を取得。

 「R-NEXT」は、この「融資クラウドプラットフォーム」をベースに、中央ろうきんの要望を反映する形で独自の機能が盛り込まれている。

 「当金庫の融資の契約業務は煩雑な確認作業があるため、通常のパッケージソリューションでは対応が困難です。そこで、見落とし防止のチェック機能を入れたり、受付から審査、書類保管に至る当金庫の従来のシステムと連携できるようにしたりといった機能追加をお願いしました。また、書類が多くなる有担保融資については、利用者の負担軽減のため、UI/UXにもこだわりました」(山崎氏)

業務フローのインフラシステムで
「利用顧客」「営業店」「バックオフィス」の
“三方よし”を実現する

 中央ろうきんの要望を盛り込む形で「R-NEXT」を共同開発する際、セイコーソリューションズが最も重視したのは、中央ろうきんの業務を徹底的に理解することだったという。

 「システムを構想する上で、業務への理解を深めることは必須です。多いときには毎日、ひざ詰めのような形でご教示いただきました」(松岡氏)

 また、システム実装にあたっては、開発者の発想ではなく、エンドユーザーである契約者、さらには中央ろうきん職員の使い勝手にも目を配ったと松岡氏は言う。

 その効果は顕著だ。山崎氏によると、「業務の効率化や生産性向上といった面でも効果がありました。無担保ローンの7割から8割ほどが『R-NEXT』で行われるようになり、案件ごとの手続きや審査にかかる時間も短縮されています。その分、お客様への融資のご説明や接客に時間が割けるのでサービスも向上しました」という。有担保ローンについては、「R-NEXT」で手続きが行えるようになってまだ日が浅いが、今後のさらなる効率化に期待がかかる。

 開発者の視点に加えて、利用する側にも配慮するのは、セイコーソリューションズの社風が大きく影響していると松岡氏は説明する。

 「社員一人一人がオーナーシップの意識を持つよう常々伝えています。そのため、迅速な意思決定を心がけるだけでなく、どうすればお客様のお役に立てるかという問いに各自が真摯に向き合っています。業務の理解を深めた上でシステム実装を行うのもその表れで、この点は他社との差別化要因であり、当社の強みでもあると自負しています」(松岡氏)

 着実な効果を上げている「R-NEXT」だが、中央ろうきんでは今後も機能拡充を図っていきたい考えだという。

 「『働く人の夢と共感を創造する協同組織の福祉金融機関』であることが当金庫の理念です。理念の持続的な実現には、これからもデジタル化を推進していく必要があります。『R-NEXT』の安定稼働をはじめ、共創パートナーとして期待していますので、当金庫の理念にフィットするソリューションを今後ともぜひご提案ください」(山崎氏)

 この言葉を受け、松岡氏も「現状がゴールなのではなく、今後も業務理解を深めながら『R-NEXT』の進化に貢献していきます」と応える。

 セイコーソリューションズは、経営戦略として両利きの経営をうたっている。「R-NEXT」はまさに、既存事業の知見を生かしながら、新しい価値を生み出そうとした成果だ。

 「『Seiko Trust』は、様々な企業の事業成長を支える基盤となるサービスです。最近では、人事領域における雇用契約電子化や、調達・購買領域のDX支援も増えています。今後もこのソリューションの提供を通じて多くの企業をご支援し、社会貢献を果たしていきたいと考えています」(松岡氏)