ServiceNow World Forum Tokyo 2025 Special Review vol.2 最先端の技術を駆使してAIによる変革を進める強い日本企業
AIエージェントを活用した
バックオフィス業務改革の実践
「ServiceNow World Forum Tokyo 2025」では、社内の事務作業や問い合わせ対応などのバックオフィス業務改革から、顧客体験(CX)の向上、生成AIやAIエージェントの活用に至るまで、多岐にわたるセッションが行われた。
とくに、近年はビジネスにおけるAIの活用が進んでおり、ServiceNowも新たなAIソリューションを次々と発表していることから、セッションのみならず、スポンサー企業の最新ソリューションを紹介するEXPO会場まで、“AI一色”に染まっている印象だ。
本稿では、AIによる変革を進める企業や最新のソリューションをピックアップして紹介する。ぜひ、貴社の事業変革やサービス変革、AI活用の参考にしてほしい。
1つ目の注目セッションは、日立社会情報サービスの「AIエージェントを活用したバックオフィス業務改革の実践」である。
日立グループの一員である日立社会情報サービスは、公共・通信分野を中心に様々なソリューション・サービスを提供する企業として1986年に設立。2025年に設立40年目を迎えた。
同社がバックオフィス業務改革を推進することになった背景には、人材不足の深刻化、有識者の高齢化、市場や技術変化の加速、従業員の働き方の多様化といった、社会およびビジネス環境の大きな変化があった。
「人手不足が深刻化する一方で、事業の成長に伴ってバックオフィス業務の対応範囲と業務量は大幅に拡大し、現場の負担増は深刻なレベルになっていました。業務の属人化や非効率の発生、新しいことに挑戦する余力の欠如といった課題も顕在化していました」と語ったのは、同社 エンタープライズサービス第4部 部長の酒井 淳氏である。
同社はバックオフィス業務改革において、単なる効率化ではなく、組織が持続的に成長し続けられる環境を整えることを目指した。
酒井氏は、「そのためには、社員が挑戦し続けられる時間と環境を与え、実行力と創造力を高め続けられるようにすることが大切だと考えました」と明かした。
エンタープライズサービス第4部
部長
酒井 淳 氏
ServiceNowの生成AIで
社内の問い合わせ対応を効率化
日立社会情報サービスは、バックオフィス業務改革の推進にあたり、「マインドチェンジ」「エクスペリエンス向上」「システム最適化」の3つを同時に進めることを決めた。
「マインドチェンジ」とは、従来のやり方にとらわれず、変化を前向きに受け入れ、自ら新しいことに挑戦しようとする意識への改革を組織全体で行うこと。
「エクスペリエンス向上」は、働きやすさはもちろんのこと、従業員一人ひとりが業務を通じて成長とやりがいを実感できる環境を整えること。
そして「システム最適化」は、最新のテクノロジーを積極的に採り入れ、スモールスタートで成功体験を積み重ねながら、最適な成果を全社のシステムに広げるアプローチである。
「とくに重視したのは『エクスペリエンス向上』です。定型業務をデジタル技術で効率化・標準化し、それによって生まれた時間やリソースを顧客対応や、より専門性の高い活動に振り分けたいと考えました。それが従業員のやりがいにつながり、自分の仕事が組織や社会に貢献しているという実感が生まれると思ったからです」と語ったのは、同社 業務改革推進センタ 副センタ長の木塚順子氏である。
業務改革推進センタ
副センタ長
木塚 順子 氏
具体的な取り組みとして、日立社会情報サービスは、事業部門ごとに配置されていた事務サポート担当者を全社のサポート組織に集約。業務の属人化やばらつきをなくすためにプロセスの整理と標準化を進め、RPAや生成AI、AIエージェントなどの技術を積極活用して業務負荷を軽減させることを目指した。
この改革のために同社が活用したのが、ServiceNowの生成AIとAIエージェントである。事業部門からの問い合わせに対し、生成AIが自己解決を促し、解決できない場合は自動で適切なスタッフ部門に振り分けるなど、人がやっていた業務を生成AIが代行。問い合わせの内容からナレッジの改善点を抽出・検討する作業はAIエージェントに行わせるようにした。
これらのAI活用によって、増加傾向にある問い合わせ件数が前年比で15%減少し、年間40人月ほどの作業量が削減されるといった効果を想定している。
木塚氏は、「今回の改革で、当社の組織の実行力と創造力は著しく強化されたと思います。これからも改革を加速し、さらなる成長と価値創出にチャレンジしていきます」と語った。