福岡を拠点として九州エリアを中心にビルメンテナンス業を展開する株式会社サン・ライフ(以下、サン・ライフ)は、人手不足や人材の高齢化、紙ベースのアナログ業務やデータの属人的管理等の課題に悩まされていた。そこで同社では三井住友ファイナンス&リース株式会社(以下、SMFL)が提供するクラウド型プラットフォーム「assetforce(アセットフォース)」を導入し、情報を一元管理することで業務平準化を図り、業務の効率化及び属人化の解消に取り組んでいる。プロジェクトを牽引したキーパーソンは、どのような手応えを感じているのか。その効果について聞いた。

人材不足の解決や
アナログ業務からの脱却が急務に

福岡の不動産開発事業をリードする福岡地所株式会社のグループ企業として、1973年に設立されたサン・ライフ。現在はオフィスビル、商業ビル、ホテル等の建物管理・営繕工事を主業務として様々な事業を手がける。

サン・ライフ
取締役
谷口 一行 氏

ビルメンテナンス業界は現場主体であるため、恒常的な人手不足、人材の高齢化など、様々な問題を抱えている。サン・ライフ 取締役の谷口氏は、「この傾向は年々強まっています。少人数で数多くの物件を管理するためにも、ITを活用した業務効率化が急務となっていました」と語る。

サン・ライフ
取締役
谷口 一行 氏

「私たちの実務は各設備の点検やメーターの検針など現場での作業が中心のため、紙帳票の文化が根強く残っています。ゆえに管理物件ごとに情報の保管先や保管方法、書式が異なり、各種データの有効活用が難しい状態でした」(谷口氏)

そこで将来のあるべき姿に「業務のデジタルシフト」と「建物のデジタルシフト」を掲げ、段階的にDXを進めることにした。「業務のデジタルシフト」は日常業務のデジタル化による管理品質向上を、「建物のデジタルシフト」は蓄積したデータの共有と利活用による資産価値向上を目指す。

これを実現するために同社ではプロジェクトチームを組成。谷口氏を責任者、保守管理事業部の神島氏をプロジェクトリーダーとしてDXツールの導入検討を開始した。

サン・ライフにおける業務効率化と管理品質向上の両立

サン・ライフが目指す「業務のデジタルシフト」と「建物のデジタルシフト」。
デジタル導入による業務スリム化と、集約データをもとにした新たな価値創出を図る。

サン・ライフ
保守管理事業部 次長
神島 裕二 氏

「人材不足問題、急激な物価高騰、脱炭素へ向けた環境対応等、社会情勢を受けて多様化する顧客ニーズに迅速に対応するため、『業務のデジタルシフト』と『建物のデジタルシフト』を両輪で回す必要があると判断しました。業務効率化に向けて本部と管理物件をつなぐ遠隔監視システムやコミュニケーションツールなどのDXを既に実装していましたが、更に点検・報告書のデジタル化を促進し、ストックされるデータを一元管理して、データ分析等による高度な修繕計画や新しい提案につなげていく構想を描きました。そのためには、まずは全員が均等に情報を共有できるツールがあることが前提条件になりました」(神島氏)

サン・ライフ
保守管理事業部 次長
神島 裕二 氏

決め手は柔軟な
カスタマイズ性

複数のツールを比較した結果、サン・ライフが選んだのはSMFLが提供する「assetforce」だった。assetforceはモノのライフサイクルを一元化する資産管理クラウドサービスで、製造、流通、教育など幅広い分野での導入実績がある。

今回のプロジェクト推進にあたり、複数社の提案を受けた谷口氏は、assetforceの提案を受けた段階で自社のニーズに最もマッチしていると感じたという。

「通常、システムへの機能追加や改変が必要な場合、コストがかさんでしまいます。システム選定にあたり、自社で柔軟にカスタムできること、適正な運用コスト、使い勝手の良さは重要なポイントです。assetforceはビルメンテナンスに特化したツールではありませんが、自分たちでカスタマイズできる柔軟性があり、情報プラットフォームとしての汎用性がある。その点を最も高く評価しました」(谷口氏)

自由に試すことができるトライアル環境も導入を後押しした。自らテストした谷口氏は「総合的に見てassetforceがベスト」と判断し正式導入を決定。SMFLでは当初からセールスエンジニアが伴走し、業務での運用開始に向けた導入支援を行った。

三井住友ファイナンス&リース
専務執行役員
有馬 高司 氏

SMFLで専務執行役員を務める有馬氏は、assetforceの強みについて次のように説明する。

三井住友ファイナンス&リース
専務執行役員
有馬 高司 氏

「お客さまの業務要件に応じてアジャイル的にシステムを構築できるのがassetforceの特徴です。こうした機動性や拡張性を評価いただくことが増えています。同時に、導入企業が自走するまで伴走型でのDX支援に注力するのも当社ならではの姿勢。システムを入れて完了ではなく、お客さまのニーズに合わせた継続的なサポートを提供しています」(有馬氏)

有馬氏の言葉通り、導入後のサポートも充実している。サン・ライフではITリテラシーの異なる様々な年齢層・職種の社員に対して、SMFLのセールスエンジニアがトレーニングを実施。「過去にはサポートが不十分でシステムが十分に活用されなかった経験もあるので、しっかりした支援体制には非常に満足しています」と谷口氏は話す。

「業務のデジタルシフト」「建物のデジタルシフト」で
見え始めた明らかな効果

サン・ライフでは段階的にassetforceを浸透させていく構えだ。今期は管理物件マスターデータの整備を完了。来期に向け社員全員が活用できるデータ格納環境の構築を目指す。これに向け、2024年9月から一部の物件でのテスト運用が始まった。

「今期は管理業務を受託している約160物件の所在地や用途・規模といったマスターデータをassetforceに構築中です。これを社内共有し、情報一元管理の基盤として運用していきます。今後、このマスターデータに物件の様々なデータを格納して、データ利活用につなげたいと考えています。現在、マスターデータ構築と並行して、博多区を中心とした床面積6,000~20,000平米クラスの物件を選抜し、assetforceの機能であるスマホ点検・検針を実働。さらにデータの自動格納、報告書自動生成を運用しています」(神島氏)

変革の効果は着々と表れている。「業務のデジタルシフト」はより顕著だ。スマートフォンで入力・閲覧ができる特徴を活かし、検針業務の手書き作業を廃止。assetforce上でビルオーナー向けの報告書を自動作成できるため、データ入力時の転記ミスといったヒューマンエラーもなくなり、大幅な効率化がもたらされた。

谷口氏は手応えを語る。「紙ベースの業務を極力減らしていきます。これにより業務が効率化・平準化され、誰もが安定した品質を担保できるようになると同時に、データの蓄積を効率的に加速させていくと感じています」

assetforce活用による業務プロセスの改善

現場でスマートフォンから点検結果を入力すれば、報告書が自動的に作成される。
また、データの蓄積が容易になり、今後はビルオーナーへの一歩進んだ提案も可能となる。

「建物のデジタルシフト」も道筋が見えてきた。「オーナー向けに保守管理・運用状況をまとめた管理レポートである月次報告書の帳票統一により、これまで単一物件での前月前年対比であったエネルギー検証は、類似規模や類似築年、アセット種別等、多角的に傾向を検証することが可能となりそうです。また、一元化された各種ストックデータを分析することで、物件のLCC(ライフ・サイクル・コスト)削減や環境対策に寄与できるのではないかと期待しています」(神島氏)

さらに今まで現場で属人的な傾向があった修繕計画のフォーマットを統一することで、経験が浅い社員でもベテランのアドバイスを受けながら一緒に計画書を作成できるという。

「私たちはassetforceを活用して物件のカルテを作りたい。アセット種別、規模、修繕履歴、点検履歴など、様々な情報を蓄積・分析します。人間に例えるなら、体調を崩す前に予防医療を講じる、といったイメージです。情報をassetforceに集約すれば、必要なデータを抽出して分析・診断できる環境が整います。いずれは社内やグループ各社の情報ハブとしての、assetforceの活用を視野に入れています」(谷口氏)

総合ビルマネジメント企業としての進化にも
プラットフォームは不可欠

「業務のデジタルシフト」と「建物のデジタルシフト」のデータドリブンによって、サン・ライフはこれまでにない価値創出を図り、総合ビルマネジメント企業としてさらなる進化を目指す。

「私たちサン・ライフはビルにまつわるデータを所有しています。さらに、商業施設、オフィス、ホテル、ロジスティックを運営するグループ企業にも、業態にまつわる様々なデータが存在します。グループではこうした種類が異なるデータを連携して、新しい価値を創出するプロジェクトがスタートしています。assetforceはサン・ライフの基幹システムとしてグループの中で各社と連携する基盤となり、新たな可能性を広げるでしょう。社内の誰もが使いやすいツールとして、どんどん育てていきたいですね」(谷口氏)

「IoT技術の発展やAI機能の進化に伴い、様々なデジタルツールが続々とリリースされる半面、サイバーセキュリティーなどの対応も急務です。システム連携による機能アップと共に顧客の安心・安全を確保していきたい。assetforceには、これまでにないビルマネジメントの世界を実現させる礎となってほしいですね」と神島氏は期待を寄せる。この壮大なビジョンに、柔軟性に富むプラットフォームであるassetforceが大きな役割を果たすに違いない。

実際に不動産業界でもassetforceの導入事例は進んでおり、ビルメンテナンスに限らず、テナント管理、物件管理、土地・用地の調査などにも適用可能だという。SMFLの戦略子会社であるSMFLみらいパートナーズの不動産ビジネスでも活用している。有馬氏は「当社は社会課題の解決とDXの推進を通じて、お客さまのビジネスの発展を支える企業です。これからも不動産業界のデジタルシフトに貢献すべく、assetforceを進化させていきます」と結んだ。ビルメンテナンスの領域はこれまでデジタル化がはかどらなかっただけに、サン・ライフでの導入事例は実践的なヒントになるだろう。

assetforceのお問い合わせはこちら