創業150年を超える劇場である明治座では、売店における会計・決済システムの“最適解”をどうすべきかに悩んでいた。探し求めた結果、三井住友ファイナンス&リース株式会社(以下、SMFL)が提供するクラウド型POSレジアプリ「assetforce for stera(アセットフォース・フォー・ステラ)」を導入。円滑な支払い、簡潔な店員オペレーション、売り上げデータ集計・管理の効率化、省スペース運用によって、抱えていた課題を一挙に解決した。実際に現場を訪れ、売店管理担当者や店舗スタッフ、情報システム担当者に導入の効果や使い勝手の良さについて聞いた。

売店の課題をすべてクリアした
理想のPOSレジ

1873年(明治6年)に創業した明治座は、長い歴史を持つ劇場である。誕生から今年で152年。時代にあわせた演目の数々によって、たくさんの観衆を魅了してきた。現在も時代劇から現代劇、ミュージカルまで、幅広いジャンルの演目を上演し、連日多くの観客でにぎわう。

劇場内には15カ所のスタンド型売店が軒を連ね、観劇の前後や幕間にはお土産や食べ物、お目当てのグッズを買い求める観客が詰めかける。そのため店舗スタッフには、スムーズな接客と会計が求められる。劇場内の売店を統括する根本氏は「幕間の休憩時間は長くて30分。短時間で多くのお客様に対応するために、1秒でも早くやりとりができるように心がけています」と話す。

コロナ禍以降、急速に普及したキャッシュレスの対応に迫られることになった。そこでタブレットPOSレジとキャッシュレス決済端末を導入したが、接続機器が増え、複雑な構成になってしまったという。劇場システムの運用と管理を担当する板倉氏は、タブレットPOS運用の課題についてこう振り返る。

明治座
デジタル戦略室 情報システム課 副主任
板倉 結今 氏

「以前のシステムでは限られたスペースにタブレット、決済端末、レシートプリンターを設置しなければならず、各機器の電源確保もネックになっていました。さらにBluetoothでレシートプリンターを接続するため、混信や通信待ちが頻発するなど、お客様、店舗スタッフ双方にストレスがかかる状態でした」(板倉氏)

明治座
デジタル戦略室 情報システム課 副主任
板倉 結今 氏

こうした背景から、明治座では新たな会計・決済システムの導入を検討。必須条件は「1台でPOSレジと決済端末を集約でき、処理スピードが高速な小型システム」だった。この理想を叶える仕組みを探したところ、SMFLが提供するPOSレジアプリ「assetforce for stera」と三井住友カードが提供する決済端末「stera terminal standard」の組み合わせが最適だとわかり、2024年8月からトライアル利用を開始した。

「そもそもは明治座の売店の様子を視察された三井住友カードの担当者にstera terminal standardを薦められたのがきっかけです。まずはコンパクトなサイズとプリンターを内蔵している点に惹かれましたが、調べてみるとassetforce for steraをインストールすればPOSレジとしても利用できることがわかりました。これこそ、私たちが求めていたシステム。スタート時から、非常に良いご縁だったと思います」(板倉氏)

決済端末とPOSレジが一体型となっているため、売店の限られたスペースにもコンパクトに収まる。

導入・運用に支障なし
顧客満足度向上にも寄与

試用してみたところ、求めていた仕様と合致することが判明し、導入を即決。2024年11月には明治座の直営売店で本格稼働がスタート。12月からはテナントにも拡大し、現在は13店舗で合計18台を運用している。

明治座
興行事業部
売店管理室 課長代理 
根本 久美子 氏

「丁寧なサポートはもちろんのこと、端末を提供する三井住友カードとアプリを提供するSMFLがグループ会社ということもあり、安定感を担保して最短で実装できることが決め手になりました」(板倉氏)

明治座
興行事業部
売店管理室 課長代理 
根本 久美子 氏

根本氏は、「それまで使ってきたハンディPOSやタブレットPOSと比べても違和感がない」としたうえで、このように続ける。「画面上で押すボタンの数が少なく、誰でも簡単に使える設計になっているので年配のスタッフでも使いやすいです。初回で覚えなければならない複雑な操作がなく、バーコードを読み取って決済方法を選ぶだけで済むため、皆さん支障なく対応できています。導入時の説明も初日に30分ほど行っただけで、スタッフ全員がすぐに慣れました」

店舗カウンターの片隅に設置できて場所を取らないコンパクトなPOSレジは、省スペース化に貢献している。オールインワンで一体化されているため他の機器との混信や通信待ちが発生せず、お客様を待たせることがなくなったことも目に見える効果だ。店舗スタッフに感想を聞いたところ、以下のような声が寄せられた。

「以前と比較してだいぶ便利になりました。公演の内容によって客層が異なり、現金やキャッシュレスの割合がバラバラなのですが、そうした場合でも臨機応変に対応できるのが助かっています。スムーズに決済できるので、お客様をお待たせすることがなくなりました」(店舗スタッフAさん)

「これからはキャッシュレスが普通になっていくと思うので、この決済システムはすごく楽ですね。操作方法がそこまで変わらなかったので、新しいシステムに移行しても難しくなかったです」(店舗スタッフBさん)

明治座に足を運ぶ人たちにとっては、公演内容だけではなく、グッズやお土産の購入も思い出として心に刻まれる。「気持ちよく過ごしていただくためにも、レジ周りでお待たせする体験をなくしていきたい。本システムはQRコード決済に対応しており、ほぼすべてのキャッシュレス決済が使えるようになりました。お客様がどの決済手段を使うかを迷われても『すべて大丈夫です』とお声かけできるので、安心して支払い方法を選んでいただけるようになりました。assetforce for steraによってスムーズな決済が実現し、顧客満足度が高まったことを実感しています」と根本氏は評価する。

USB接続により、バーコードリーダーを利用することができる。

決済の画面はシンプルなため、素早く操作ができる。

売り上げデータ集計・分析の
精度が格段に向上

管理面での効果も想定以上だった。従来のシステムは売り上げデータを個々の端末でしか把握できず、毎日店舗ごとに数字を集めてスプレッドシートに手作業で入力するのが日課だった。しかしassetforce for steraは標準で複数店舗の売り上げ集計や、販売状況の分析が可能なダッシュボード機能を備えており、集計作業の効率化とデータの透明性を両立できる。

「情報システム課の担当業務にはテナントごとの売り上げ集計があります。集計業務は非常に複雑なのですが、トライアル時に綿密な打ち合わせを行い、要望通りのデータ出力ができることを確認しました。また標準の帳票に加えて、自由にカスタマイズした帳票を作成する機能があり、それらを活用して日々の管理に役立てています。生のデータをリアルタイムで操作できる環境が整っているため、データの集計・分析効率は格段に向上しました」(板倉氏)

店舗側でも同様のメリットを感じている。月に一度の商品棚卸しでも、販売や在庫のデータをシステムから抽出し、現場での実際の合計と照らし合わせることで管理しやすくなったからだ。

「レジ現金の精算や棚卸しにおいて、間違いはほとんどなくなりました。テナントの方々からも、現金とキャッシュレスの取引内容が日々のレポートで確認できるため喜ばれています。もし金額が合わない場合でも、『売り場に置き忘れていた』などの原因を即座に特定できるようになりました」(根本氏)

改めて板倉氏に導入前・導入後で変わった部分に関して問うと、次のような答えが返ってきた。「店舗スタッフからの問い合わせは明らかに減少し、空いた工数をほかの業務にあてています。また、レジを増設したい場合には、端末をもう1台用意してログインするだけで簡単に増やすことができます。コンセントが1つあれば、どこでもレジを設置できる手軽さもあり、設置や運用面で柔軟に対応できる点が大きなメリットだと感じています」

売り上げデータの
基幹システム連動も視野に

assetforce for steraはAPIを活用した外部連携も可能なため、情報システム課では基幹システムと接続した高度な運用も構想している。「現在は売店の売り上げを基幹システムに手動で入力していますが、API連携が実現すればこうした業務も不要になり、効率化とともに正確性を向上できると考えています」と板倉氏は期待を寄せる。

クラウド型POSレジアプリの利点は改善要求に対してアップデートを重ねられる点だ。例えば、従来はレシートが不要な顧客に対しても必ず発行される仕様になっていたが、SMFLでは顧客からのフィードバックを受けて制御できるように、短期間でアプリの改善を行った。根本氏は「レシートが不要とおっしゃるお客様も多いですし、印刷コストの低減にもつながるのでありがたいです。これからも現場の意見を反映して機能改善を進めていただきたいです」と語った。

キャッシュレス化の波はもはや不可逆であり、今後も高機能で使いやすい決済端末一体型POSレジの需要は高まるに違いない。旧型のレジを使用していたり、キャッシュレス決済導入を機に店舗DXを進めたい企業にとって、伝統ある老舗劇場を満足させた今回の事例は参考になるはずだ。

assetforce for steraとは?

assetforce for steraはSMFLが開発し、2022年5月からサービスを開始したオールインワン決済端末 stera terminal standard専用のクラウド型POSレジアプリだ。三井住友カードによる決済プラットフォーム「stera」とSMFLが提供する資産管理プラットフォーム「assetforce」を連携させ、“会計・決済とモノ”を一元的に管理できるのが特長。

機能は多岐にわたり、中でも「キャッシュレス決済連動POSレジ」「スマートフォンアプリを活用した在庫管理」「データ集計・分析」などが柱となる。本部が複数の店舗やテナントの売り上げデータをリアルタイムで一元的に管理・集計・分析できる。企業のニーズに合わせて自由に設定できる柔軟性の高いダッシュボード機能やAPI連携機能も提供されており、多店舗展開している企業においてもメリットが多い。急速なキャッシュレス化が進行する現在、店舗業務のDXにおいて有力な手段となる。