
企業活動に不可欠なPCを所有からレンタルに切り替えれば、資産として管理する必要がなくなる。これを利用して、IT機器の管理業務に追われる情報システム部門をPCの管理業務から解放し、より付加価値の高い業務にシフトさせる企業が増えている。そのような中で、三井住友ファイナンス&リースグループでレンタル事業を手がけるSMFLレンタル株式会社は、見積もりから注文、契約、故障問い合わせ、満了、延長、解約、買い取りに至る手続きを全てオンラインで完結できる「rentalforce(レンタルフォース)」をニーズに先駆けて開発し、顧客に向けて提供を開始した。24時間365日、いつでも契約内容を確認し、手続きできる。この仕組みにより、PCレンタルの常識が変わろうとしている。その概要と、もたらされる効果について聞いた。
コロナ禍で働き方が大きく変わり、情報システム部門の負担が急増している。リモートワークを実現するため、多くの企業が社員に複数台のPCを割り当てるようになり、台数を大幅に増やした。それに伴い、PCの管理やヘルプデスクの業務が増えただけでなく、ネットワークやセキュリティーの強化が必要になった。加えて、DXを推進するために新たなシステムを企画したり、クラウドやモバイルへの対応が迫られている。ビジネスを持続可能にするBCP(事業継続計画)も大きな課題だ。
そこで、PCを自社で所有せず、レンタルに切り替える企業が増えている。情報システム部門のリソースをPCの管理業務から解放し、より付加価値の高いDXやセキュリティー対策などに振り向けるためだ。
SMFLレンタル
代表取締役社長
大村 尚之 氏
PCをレンタルにすれば、運用、保守、メンテナンスを全てレンタル会社に任せられる。SMFLレンタル代表取締役社長の大村氏は「多くの企業は今、所有からレンタルへの切り替えを進めており、PCレンタル市場は拡大しています。当社は大量のPCをLCM(ライフサイクルマネジメント)というサービスとして提供します。機種の選定からセットアップ、導入支援、保守運用、廃棄に至るまで、丸ごと当社に任せていただくケースが増えています」と話す。
SMFLレンタル
代表取締役社長
大村 尚之 氏
しかし、課題もある。「1社に対して300~500台という大量のPCをレンタルする中で、1台ごとに修理を依頼したり、その進捗を管理することは容易ではありません。電子契約の仕組みはあっても、中途解約・契約満了などの手続きはメールや書面で対応する必要があり、煩雑でした」と、営業を担当する大平氏は話す。
そこで、同社はレンタルに関するあらゆる手続きをオンラインで一元管理できるデジタル基盤「rentalforce」を21年から開発に着手し、翌年から提供を開始した。すでに約450社が利用している。機種の選定から見積もり、注文、契約、故障問い合わせ、満了、延長、解約、買い取りに至るまで、あらゆる問い合わせと手続きをオンラインで簡単にできる。全ての手続きをシームレスに行える革新的なシステムが業界の常識を変えようとしている。
情報システム部門の業務イメージ

情報システム部門は、PCのサポート業務に多くの時間と手間を費やしていた。PCレンタルを導入することによって、
業務効率化やDXといった付加価値の高い業務に集中して取り組むことができるようになる。
rentalforceによって、ユーザーはオンラインで全ての手続きが可能となる。画面上でPCのスペックとレンタル期間を選べば、すぐに見積もりが依頼できる。注文や故障問い合わせもワンクリックでできる。最大の特徴は、PCを1台ごとに細かく管理できる点だ。PCを管理番号で指定し、これは解約、これは返却、これは延長など、1台ごとに容易に手続きできる。24時間365日、必要な時にアクセスして契約状態を確認し、対応時間内であればチャット機能でビジネスサポートの担当者と対話することもできる。また、全ての履歴が追跡可能なので、やり取りの透明性と効率性が向上した。
SMFLレンタル
コーポレートセールス事業部 営業第三部 主任
小泉 杏実 氏
「rentalforceがあるから当社を選んだ、と言ってくださるお客さまが増えています」と明かすのは、営業部門の推進リーダーを務める小泉氏だ。そもそもPCを所有からレンタルに切り替える目的は、管理負担を減らすことにある。契約や変更の手続きに手間がかかるのでは意味がない。rentalforceは事務手続きを簡素化し、電話や書類のやり取りを減らし、業務負担を大きく削減する。その利便性に注目し、同社を選ぶ企業が増えていると小泉氏は語る。
SMFLレンタル
コーポレートセールス事業部 営業第三部 主任
小泉 杏実 氏
rentalforceは顧客だけでなく、営業部門の負担も大きく減らした。主に2つの大きな変化があったと小泉氏は説明する。1つは「営業チームの生産性向上」だ。営業担当者には毎日、多くの問い合わせや見積もりの依頼が来る。それらへの対応や事務作業に忙しく、本来やるべき顧客への提案に使える時間が限られていた。rentalforceができたことで、営業担当者は煩雑な事務作業から解放され、より付加価値の高い仕事に集中できるようになった。「お客さまの状況を分析して課題を発見し、その解決策を提案するなど、よりお客さまに寄り添った対応ができるようになりました」(小泉氏)
もう1つは、「チームでお客さまのサポートができるようになったこと」だという。これまでは、主に営業担当者が顧客対応の窓口となり、その裏側で顧客サポート部門のメンバーが事務手続きや保守対応などの業務を行っていた。rentalforce導入後は、顧客サポート部門は営業担当者を介さずに顧客の問い合わせや依頼内容を知ることができる。対応すべき案件を自分で見つけ、すばやく対応できる。営業部門と顧客サポート部門が、rentalforceでお互いの動きを把握しながら、1つのチームとして動けるようになったという。スピーディーに対応できることは、顧客のメリットにつながっている。
rentalforceの開発は2021年7月に始まり、翌年の5月にサービスインした。これほど早く開発できた背景には、2つの大きな理由がある。
1つは、グループ会社の三井住友ファイナンス&リース(SMFL)のDX推進部門と協力して内製したことだ。「営業と開発チームが一体となり、アジャイルに開発しました。開発を外注していたら、このスピード感での開発は不可能です」と大村氏は話す。まずは、見積もりや資産管理などのコア機能のみを固めてリリースした。そこから、営業チームが顧客の要望をヒアリングして開発チームに伝え、開発チームは優先順位を考えながら機能をどんどん追加し、サービスを充実させている。
もう1つは、ベースになるデジタル基盤があったことだ。rentalforceは、SMFLがDXソリューションとして市場に提供している資産管理用のクラウドサービス「assetforce(アセットフォース)」をベースにしている。企業が保有する資産を可視化し、効率的に管理し、経営判断の高度化を目指すデジタル基盤だ。すでに多くの企業に導入されている信頼性の高いこの基盤をベースにして、PCレンタルに特化した機能を作り込んだ。
rentalforceの使いやすさの秘密はどこにあるのだろうか。それは、SMFLグループがリース業務に精通しているからだ。レンタル業務には独特の複雑さがあるが、同グループの長いリース業界経験が、レンタルの業務に対しても高い理解度を発揮し、現場にフィットした使いやすいシステムを開発することができた。
rentalforceの管理画面

rentalforceの管理画面は、操作しやすいようにUI(ユーザーインターフェース)にも工夫がこらされている。
SMFLレンタル
コーポレートセールス事業部 営業第二部 上席部長代理
大平 英昂 氏
rentalforceの大きな特徴は「まず、顧客ニーズありき」という点にある。顧客の声に応える形で機能の拡充を続けている。「営業チームがお客さまのニーズを集約して開発チームに伝え、すぐに反映します。これが可能になるのは、リソースが全てグループ内にあるからです」と、大村氏は述べた。
SMFLレンタル
コーポレートセールス事業部 営業第二部 上席部長代理
大平 英昂 氏
rentalforceは、現在も進化を続けている。「要望を早く実現することで、お客さまの信頼感が高まっているのを感じます」(大平氏)。顧客の要望は営業がまとめ、週1回の開発会議を通じて開発側に伝えている。早ければ、3カ月以内に新しい機能が実装される。
rentalforceは今後も進化していく。「将来的には、PC以外のレンタルを含め、お客さまの困りごとをワンストップで解決できるポータルサイトにしたいと考えています」と大村氏は話す。同社ならではのサービスで利便性を高めていく。例えば、同社のレンタル物件を全て扱うだけでなく、それに付随する情報提供や商材の販売などへ広げたい考えだ。
また、rentalforceはレンタル業務に関わる会員制プラットフォームであり、会員は無料で利用できる。今はSMFLレンタルと顧客の1対1のやり取りを円滑化する基盤として機能しているが、いずれは会員同士が情報を交換したり、多対多のコミュニケーションができる場にもしていきたいと大村氏は話す。
そのビジョンの中には、循環型社会の実現に貢献するプラットフォームが視野に入っている。例えば、会員同士でビジネスに必要なモノを融通し合うような世界だ。PCを大量にレンタルしていても、その使用頻度はビジネスの状況によってばらつきがある。例えば、自社があまり使っていない時期だけ他社にシェアするようなことが可能になるかもしれない。機材1台1台のライフサイクルがユニークなコードによって管理され、全ての情報が可視化されることにより、トレーサブルになる仕組みがあるからこそ可能になる。
小泉氏は「rentalforceにしかできない、便利なサービスを創出していきます」と話す。rentalforceを見れば、顧客が知りたいことがすぐにわかる。欲しいものが、何でもそろう。そんなサービスに高めていく。
大平氏は「rentalforceはまだ発展途上です。今後もあらゆる窓口を一本化することで、利便性を高めていきたい」と述べる。業界には、注文は営業チーム、故障したら保守チームという形で、窓口が分かれているサービスが多い。SMFLレンタルは、全ての窓口をrentalforceに一本化している。この利便性を、多くの企業に知ってもらいたいと話す。
「rentalforceは、お客さまの声をどんどん反映し、進化していきます」と大村氏は言う。rentalforceは、SMFLレンタルと顧客が一緒に育てていくソリューションだ。顧客との共創により、レンタル事業を通じて持続可能な社会づくりに貢献していきたいと語った。