データセンターから航空・宇宙、医療まで
追求した超精密加工が
需要の高まりで開花
世界の成長産業を支える
ソディック
代表取締役 CEO 社長執行役員
圷 祐次(あくつ・ゆうじ)氏
データセンターから航空・宇宙、医療まで
ソディック
代表取締役 CEO 社長執行役員
圷 祐次(あくつ・ゆうじ)氏
近年、データセンター内の光ファイバーをつなぐコネクタなどを筆頭に、“コア部品の高精度な加工”への需要が急激に高まっている。こうしたニーズに応えるのが、創業以来、あらゆるコア技術を自社開発することで、超高精度な加工技術を追求してきたソディックだ。真のグローバル企業への進化に取り組む同社の戦略を、2025年に新たに代表取締役CEOに就任した、圷祐次氏に聞いた。
—事業内容をお聞かせください。
圷 ソディックは、精密加工技術を求める金型産業をターゲットとした放電加工機を開発・製造する企業として、1976年に設立しました。現在は、マシニングセンタや金属3Dプリンタ、レーザー加工機、射出成形機など多様な工作機械・産業機械、さらには製麺機のような食品機械を開発・供給しています。
—精密加工を得意とする数あるメーカーの中で、ソディックの強みを教えてください。
圷 精密加工の領域では、いかなる競合にも負けない“ニッチトップ”の強みを持つと自負しています。
私たちは、加工技術の中でも特に高精度な加工が可能な「放電加工」の領域から工作機械事業に参入し、技術を蓄積してきました。現在需要が高まっている放電加工機のフラッグシップモデルも、既に20年以上前に実現していた前身機の技術を応用したものです。
ここで培った知見・技術・ノウハウは、DNAとして当社が扱うあらゆる製品の強みとして息づいています。
—高精度加工を実現するために、どのような開発体制を構築しているのですか。
圷 当社はあらゆるコア技術を自社で研究・開発することで、超高精度を追求してきました。製品開発においては、それぞれのコア技術の性能を最大化させるように設計しており、精度において一線を画す工作機械を生み出してきました。
創業当初から、制御の頭脳部であるNC、ソフトウエアや加工対象を精緻に動かすリニアモーターといった駆動機構までも自社開発の対象です。
また、制御ソフトウエアの開発においては、シリコンバレーに開発拠点を置き、優秀なエンジニアを集めることで競争力を強化しています。
—どのような応用製品の加工で利用されているのでしょうか。
圷 航空・宇宙、医療、エネルギー、電子部品など、多様な分野で利用していただいています。現在ホットな代表例と言えるのが、光ファイバー接続用のコネクタです。
AIの進化・活用拡大に伴い、データセンターではサーバーボード間を光ファイバーでつなぐ「光通信」の導入が加速しています。
光通信では、ボードにファイバーをつなぐ際に利用する、コネクタの品質が非常に重要です。コネクタで光信号のズレが生じると、通信品質が悪化します。
そこで現在、多数の光ファイバーを一括で接続する超精密多心コネクタ「MTフェルール」が利用されるようになりました。このコネクタの生産には、約5mmの小さな領域内に、100分の5mm径のファイバー挿入孔を12から24心分、±0.5μmピッチ精度で加工するという極めて高精度な加工技術が求められます。こうしたコネクタの製作に適用できるのが、ソディックの超精密ワイヤ放電加工機「EXC100L+」と、高精度射出成形機「LP20EH4」です。
—データセンター用光通信の領域では、ソディックの放電加工機と射出成形機が欠かせない状況にあるのですね。2025年の事業状況はいかがですか。
圷 計画通りの実績を上げることができています。特に、航空・宇宙や医療、エネルギー、電子部品などは好調でした。
航空機のジェットエンジンのブレードや、発電機のタービン部品には、「インコネル」など極めて硬い材料が適用されるため、一般的な切削加工機では加工できません。そこでソディックの放電加工機の需要が高まりました。
他方で、医療分野で、心臓の血管の詰まりを治療する機器の部品加工などに向けても放電加工機が好調でした。
これらの分野で求められているのは、先に述べた金型加工とは異なる特徴を持つ、「部品加工」の技術です。当社はこの部品加工においても、長期的視点で高精度な技術を追求しています。
—航空・宇宙は、一般には需要を想像しにくい分野です。
圷 航空産業は、実は着実な需要増が期待できる分野です。半オーダーメイドかつ納品までに数年を要する業界の性質上、常に一定規模の受注残を維持しており、現在の受注対応だけでも今後10年は見込めます。当然ながら新規受注も常に積み上がっており、増産投資も進められていることから、当社の加工機にも安定的な需要をもたらすと見ています。
他方で宇宙産業においても、当社の加工機は創業当初から、グローバルで継続的に利用いただいてきました。今後も革新的な技術の開発に貢献していきます。
—2026年以降の事業拡大を見据えて、展望をお聞かせください。
圷 現在当社に求められているのは、単なる加工機メーカーではなく、お客様が抱える精密加工の課題解決に向けて共に汗を流し、新たな価値創造に貢献できるソリューションパートナーとしての役割です。
例えば、近年の工作機械や産業機械は、極限まで高度化され、潜在能力を引き出すのに高度な利用技術が求められます。しかし肝心の、これを扱える熟練工の確保はますます難しくなっています。生産工程の自動化だけでなく、熟練工の暗黙知に頼ってきた加工条件の微妙なさじ加減などをAIで自律化する必要も出てくるでしょう。こうした要望に対応できる人材の育成・採用は、国内外を問わず積極的に進めています。
—最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
圷 ソディックは、社名に掲げた「創造(So)」「実行(di)」「苦労・克服(ck)」を基本理念にビジネスを拡大し、2026年に設立50周年を迎えます。
そして現在、世界に事業を展開するグローバル企業として、次の50年を拓く戦略の策定に取り組んでいます。お客様に寄り添い、さらなる成長を目指すソディックの今後にご期待ください。
データセンター向け光通信用12心コネクタ(写真左)、ソディックの社屋などをレーザー加工機による高精度加工で再現(写真右)