田中 浩一朗 氏

田中貴金属グループ 代表取締役社長執行役員 田中 浩一朗

PROFILE

田中 浩一朗 [たなか・こういちろう]
1992年慶應大学法学部卒業、田中貴金属工業入社。2012年田中電子工業社長、14年日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(現EEJA)社長、18年TANAKAホールディングス副社長、20年から現職。グループ全社員の知を結集し、イノベーションを生み出す組織文化を醸成すべく挑戦を続けている。

幅広い産業需要に応え貴金属の
安定供給と有効利用を追求する
未来視点の自立分散型組織へ

 世界情勢の不安定化等を背景に、金価格は今年に入って過去最高値を更新し続け、25年間で10倍以上に値上がりしました。安定した資産性や宝飾価値がクローズアップされがちな金ですが、産業分野での手堅い需要があることも特徴です。

 当社は資産や宝飾品などのリテール事業と、産業用貴金属素材や部品を提供する産業事業からなる貴金属業界のリーディングカンパニーです。貴金属の調達から加工・製造、販売、そして使用済み製品からのリサイクルまで一貫した体制を構築することで、貴金属にまつわるあらゆるニーズにお応えしてきました。

製品性能向上から新素材の相談まで、貴金属にまつわるあらゆる課題に向き合い、解決するトータルソリューションを提案

 利益の約7割を占めるのは産業事業です。半導体をはじめとする電子機器、自動車、エネルギーなど多岐にわたる産業分野で、接合材料、接点材料、センサー材料、触媒などを提供しています。貴金属は産出量が限られ高価なため、代替素材への指向は高まっているものの、やはり性能と信頼性が重視される先端技術開発においての優位性は変わりません。導電性や触媒機能、化学的安定性などに優れた貴金属は最先端テクノロジーに不可欠な機能材料だからです。私たちは創業140年の歴史の中で、貴金属の素材開発とリサイクルの技術を培ってきました。貴金属の研究・技術開発を通してコストと機能のバランスを考慮した、お客さまへの新たな提案へとつなげています。

田中貴金属工業はロンドン地金市場協会(LBMA)より金及び銀の公認審査会社に、ロンドン・プラチナ・パラジウム・マーケット(LPPM)より公認審査会社※に任命されており、貴金属の公認溶解業者の溶解技術・分析能力を審査する使命も担っている
※LBMAの公認審査会社は現在7社、LPPMの公認審査会社は6社で、いずれも日本では田中貴金属工業が唯一

リサイクルはビジネスの基盤
調達先分散化で安定供給も

 使用済み電球のフィラメントからプラチナを回収したことに始まり、リサイクルは当社の屋台骨の一つです。例えば電子部品の製造工程で発生するプロダクションスクラップや、小型家電などの「都市鉱山」から貴金属を回収・精製して再利用するのです。長年培ったネットワークと高度なリサイクル技術で限りある資源を有効活用するとともに、安定的な供給体制も構築しています。私たちは鉱山を所有していませんが、だからこそグローバルにもマルチソースを開拓してきました。不確実性の時代、多様な調達先の存在は大きな強みとなります。

 加えて、2016年にはスイスの大手貴金属メーカーをグループ化するなどして世界展開を強化しました。日本及びアジア全域ではすでに大きなプレゼンスを獲得していますが、テクノロジーの最先端を走るアメリカやインドなどでも存在感を高めるべく注力していきます。

 資産用・宝飾品の2分野への参入は昭和以降、人との縁や社会的要請に由来するものでしたが、領域の異なる複数の事業が存在する中、貴金属を核として経営基盤を安定させています。産業用の需要は消費マインドの上昇とともに高まりますが、資産用は景気の変動や世界情勢に影響を受けます。私たちのBtoBとBtoCそれぞれのビジネスは補完関係にあると言えるでしょう。

2085年を見据えた未来を描き
自ら未来を創り出す企業へ

 社長就任翌年の2021年度には、2085年の創業200年目を見据えた超長期計画『TANAKAルネッサンスプラン』を策定しました。3~5年程度の中長期経営計画では足元の利益を求めがちです。既存事業の深化と新規事業の探索を両立する「TANAKA流の両利きの経営」を実践し、自分たちの手で未来を創るためには、長期的視野に立った自立分散型組織への変革が不可欠なのです。

 具体的な取り組みとしては、次世代リーダーを育成するAcademy、相互的表彰制度の導入も含め「褒める文化」を醸成するAward、工場など現場の活性化を図るActivationの“3つのA”のほか、未来の可能性を探求するTANAKA未来研究所の発足があります。従来の技術開発部門よりも自由度を高め、所属研究員が興味分野や対象を追求できるようにしました。当社はトラディショナルな日本企業として固い基盤を持っていますが、そこに新風を吹き込み感度を高めることで、より柔軟にイノベーションを生み出す組織への進化を目指しています。世の中の技術革新と未来社会に寄与していきたいと考えているからです。

 変革を推進する中で、変わらないものもあります。それは貴金属へのリスペクトです。限りある貴重な貴金属を最大限に有効活用し、持続可能な未来に貢献すること。“貴金属の無限の可能性を信じて、探究し続けること”が私たち田中貴金属のDNAなのです。

株式会社田中貴金属グループ

株式会社田中貴金属グループ

〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2-6-6
TEL 03-6311-5511
https://www.tanaka.co.jp

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