東京海上日動

常務執行役員 マーケット戦略統括

堤 伸浩 氏(左)

三菱電機

専務執行役 CRO

(リスクマネジメント、経済安全保障、法務・知的財産渉外、
輸出管理、産業政策渉外担当)

日下部 聡 氏(右)

事前の備えと事後の対応で実現する
サプライチェーンリスクマネジメントの強化

「お客様や社会の“いつも”を支え、“いざ”をお守りする」をパーパスとする東京海上日動が、社会課題であるレジリエンス向上にむけた取り組みを加速させている。三菱電機と共に目指す未来とは?

多様化するリスクに
新体制で対応

東京海上日動が「レジリエンス」を重点領域として定めた経緯について教えてください。

堤:弊社では、従来から「サイバー」「中小企業支援」「GX」「ヘルスケア」を社会課題重点分野に定め、さまざまな取り組みを進めてきました。それだけでなく、近年頻発している自然災害の激甚化や産業事故の多発化に対応するため、5分野目の柱に「レジリエンス」を加えました。保険の領域に留まらずテクノロジーやデータを活用した新たなソリューションを提供し、お客様の課題解決に貢献することが目的です。

※災害に伴う被害の防止・最小化、回復の迅速化等、状況の変化に対し適応・転換しながら回復する能力

日下部:レジリエンスの強化は、あらゆる企業にとって急務といえるでしょう。ここ数年だけでも企業の経営基盤を揺るがしかねない事象が頻発しています。リスクの種類も、経済安全保障やサステナビリティなどを含む国際秩序リスクだけでなく、紛争や感染症に起因するBCP上のリスクや人的リソース不足によって発生する内部リスクといった具合に多様化、複雑化しています。「有事に備えていきましょう」ではなく「既に有事は起きている」という意識が重要です。

堤:おっしゃるとおりですね。私どもは、レジリエンス領域における注力テーマとして「防災・減災」「サプライチェーンマネジメント」「インフラ・設備保全」を掲げ、有事に加えて平時からお客様をお守りするための仕組みづくりに注力しています。損害保険会社がお役に立てるフィールドはますます広がっていると感じます。

リスクマネジメントの鍵は
“可視化”

昨今は特にサプライチェーンの強靭化が重要な経営課題となっています。これについては、どのようなソリューションをお持ちなのでしょうか。

堤:まずは、サプライチェーンの可視化が重要だと考えています。ひと昔前までの企業は、取引の上流と下流にある一次取引先の被災リスクさえ管理していれば、リスク管理ができているとされていました。しかし、今やサプライチェーンの末端までの広範囲、かつ複数の観点における状況をトレースしないとリスク管理ができない時代となっています。さらには、取引先が二酸化炭素の排出量削減や人権尊重にどのように取り組んでいるのかといった、非財務情報まで把握することが求められています。そこで、我々は富士通さんとの協業で「Supply Chain Risk Visualization(SCRV)」のサービス提供を開始しました。SCRVでは、登録された情報に基づいて、お客様の拠点および取引先の生産拠点から、生産品、調達品までのサプライチェーン情報を可視化できます。拠点ごとのリスク評価レポートの出力も可能です。加えて、被災が予見された際、サプライチェーン途絶を回避するために要した追加費用を補償する保険を付帯することにより、損害の未然防止にも役立つ内容となっています。今後、非財務情報の把握についても実装を検討しています。

サプライチェーンの
リスク可視化ソリューションSCRV
(Supply Chain Risk Visualization)の概要

リスク可視化ソリューションSCRV

グローバルベースの平時のリスク評価、
有事の情報収集・発信機能で
お客様のレジリエントなサプライチェーンマネジメントを支援

日下部:可視化はサプライチェーン強靭化の出発点ですね。例えば、直接の取引先との取引内容一つとっても、様々な非財務情報を知る必然性を見極めていくことが、経済安保やサステナビリティ上の規制リスクや災害などのBCPリスクに備える上で極めて重要ですね。弊社は、規制の情勢変化や災害リスクの変化といった企業の外部情報を読み解きながら、代替ルートを準備すべき供給網を特定する試みに力を入れています。他方でいくら備えても有事は発生します。その際の制御策の一環として保険の機能は極めて大事で、サプライチェーンのリスクマネジメントに着目したのは東京海上日動さんならではの強みですね。

2社で相乗効果を生み出し
日本経済全体の発展を目指す

近年、サプライチェーンを脅かす新しいリスクとして、サイバーリスクやAI活用におけるリスクが注目されています。こちらへの対応は?

堤:サイバーリスク保険では、企業がサイバー攻撃にさらされた際に、グループ会社の東京海上ディーアール社にて24時間365日体制でインシデントをトリアージし、専門業者をご紹介することで早期のリカバリーをご支援。その対応費用を保険でカバーしています。AI活用においては、AIモデルを評価しリスクを監視するシステムの販売や、企業がAIを導入する際のポリシー策定のご支援を始めています。

日下部:サイバー攻撃やAI活用のリスクに共通するのは、技術が非常に速く高度化し、制御策も常にアップデートしていかねばならないということです。そのため、弊社にはサイバー攻撃もAI活用のリスクも、社内に監視チームがあって、攻撃の端緒や人権侵害や差別につながるようなAIの暴走には目を光らせています。また、弊社だけの対応だけでは十分ではありません。グループ会社や主要な取引先の対応も非常に大事です。御社のサイバーやAI領域でのリスクモニタリングやリスク発生時の支援ビジネスは、我々が供給網全体の底上げを図ろうとするときに貢献すると思います。リスク制御能力を供給網全体で高めていくという共通の目標に向けて、三菱電機と東京海上日動が関係を強化していく意義が高まっているともいえますね。

堤:取引先のみならず、社会や株主からの新たな要望に応えられる解決策を持っていなければ、日本の企業が世界のサプライチェーンからはじき出されてしまいます。そうした事態を避けるために、御社と共にサプライチェーンの課題解決に取り組んでいくことで、日本経済全体の発展にも寄与できると思っています。

東京海上日動火災保険株式会社

東京海上日動火災保険株式会社

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