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グローバルな視点を持ちながら一人ひとりを輝かせる人事戦略とは

  • ワークデイ株式会社
    執行役社長兼日本地域責任者
    古市 力

  • 株式会社マクニカ
    人事本部 本部長
    堀田 一郎

  • 工機ホールディングス株式会社
    常務執行役員 CHRO
    菅原 龍哉

人的資本経営が関心を集める中で、日本企業でも人事トップの役割が重要になっている。
企業の経営戦略と人事戦略をどう結びつけるのか。
グローバルな経営環境の中で人事評価はどこまで共通化するべきなのか。
2つのグローバル企業の人事トップとワークデイ日本法人代表が意見を交わした。(本文敬称略)

古市 今回は、半導体やサイバーセキュリティーを扱う国内最大手の技術商社のマクニカと、創業から100年を超える歴史を持つ工具メーカーの工機ホールディングスという2つのグローバル企業の人事のトップをお迎えしました。お二人とも海外勤務も経験され、様々な会社での人事部門でのキャリアを持ち、現在は人事責任者を務められています。人事戦略は、経営戦略にどうひも付いているのでしょうか。

堀田 マクニカ創業者の神山治貴がその著書で「すべては人に始まり人に終わる」と述べているように、当社の強みは「人」であるという考えが根底にあります。人事部門の役割は重要で、今は人的資本の最大化に他の経営陣と一緒に取り組んでいます。また、今後はテクノロジーで人事を見える化し、人事DXを推進することを検討しています。

菅原 日本の製造業の多くはグローバルにビジネスを展開していますが、人事機能は各国毎に分断されがちです。当社においても各リージョン、各国毎に定められてきた人事プロセスをグローバルでシームレスに機能させるべく改革を行っています。グローバルで展開する事業を支えるべくグローバルな視点で運用がなされなければならないと考えています。グローバルな経営戦略に資する人事戦略の策定のためにも人事プロセスのグローバル共通プラットフォーム化をワークデイを使って実施しようと取り組んでいるところです。

人事戦略をリードする
人事トップは経営陣の一角

古市 人事のグローバル化が遅れている企業は多いと感じていますが、2020年9月に経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート」をきっかけに人的資本経営にかじを切る企業も増えて、風向きが変わってきています。

堀田 確かに外部に対してしっかり見せていくことは大切ですが、あまり形式に囚われすぎる必要もないと思っています。マクニカでは11年にわたって自組織のマネジメント課題を特定する組織診断「強い会社づくりアンケート」を行っていて、動機づけや勤務意欲など、今のエンゲージメントサーベイにあたるような質問も含めてきました。当社の強みである「人」を大事にするという中で、経営陣は診断結果から常に課題と打ち手を考え、従業員とのエンゲージを深めてきました。その意味で、人的資本の向上の基礎となるデータは蓄積されてきています。

古市 昨今、外部からプロのCIOやCDOを採用する日本企業が増えているように、経営に対する人事責任者(CHRO/CPO)のポジションや考え方が変わってきています。今後、人事のトップとしてどう経営と関わっていくのでしょうか。

菅原 1年以上前から新体制に移行し、グローバルCEO(最高経営責任者)の下に4人の地域事業会社の社長を置き、CFO、CTO、CMO(最高マーケティング責任者)、CHROなど各CXOが横並びで全世界の業務を統括するようにしています。CEOとは日常的に会話をし、2週間に一度はCXO全員が参加する経営会議が開かれ、四半期に一度は中長期の議論をする場を設けています。CHROとして経営に参画しているという意識は高いですね。

堀田 毎週行われている経営会議には私も議論に参加し、加えて人事部門長として社長との定例会や、社長と人事管理職との定期ミーティングも実施しています。また、年3回経営陣が集まる経営合宿会議にて、合計5日間にわたり議論をしますが、人事はその重要テーマの1つになっています。

堀田 一郎 氏

人事は
重要な経営テーマです

グローバル経営で
人事をどう統合するか

古市 経営戦略に沿ってプロセスや仕組み、制度を変えていくことになりますが、グローバルで人事をどう統合していくのでしょうか。

菅原 それがまさに課題です。例えば、上司の勤務先国と採用するポジションの勤務先国が必ずしも一致するとは限りません。採用進捗状況や給与条件の市場妥当性などをグローバルで把握できるようにすることで優秀な人を効果的に採用するためのプロセスは確立したいですね。そのためには各国横断的なマネジメント体制の確立が必要です。

堀田 当社はこれまで世界各地のオーナー企業を買収してきて、それぞれの自律性を尊重してきましたが、投資家はグローバルな目線で見てきます。今はそれぞれの組織との関係づくりをしながら、次にどこを目指すのかを経営メンバーと議論しているところです。

 また事業構造の変化というのも大きな要素です。当社は半導体、サイバーセキュリティーがメイン領域ですが、新しくCPSソリューション事業を強化しています。そこでは別のスキルが必要で、スキルをベースとした組織作りに対して人事の果たす役割も重要になってくると考えています。

経営環境が変化する中で
求められる人事トップの役割

古市 経営環境が変化し、それに伴い企業が変質していく中で、人事はどう対応していくのか手腕が問われているとも言えますね。

菅原 最近評価制度の刷新を行いました。その際、業務評価(Result)の在り方だけでなく企業ビジョン、ミッションのブラッシュアップを経て、そこから導き出された全従業員に求められる行動態度(How)の評価も再定義しました。原点に立ち戻った感がありますが、改めて、客観的な結果と発揮された態度の双方が評価されることの重要性を会社幹部間で再認識しました。人は評価されることで成長します。だからこそどう評価するのかが大きな課題になってきますが、行動態度などややもすると上司の主観に寄りすぎる部分をどう判断するかという問題もあります。

菅原 龍哉 氏

経営に参画している
意識は高いです

古市 そこではデジタルとアナログのバランスが大事になりますね。野球の世界でもすべてデータドリブンになっていますが、感性こそが本質だという意見もあります。

堀田 生成AIでメールを分析するなど、感性までデータ化できる時代でもあります。こうした今の流れを利用しない手はないようにも思えます。

菅原 面白いテーマですね。我々は感覚的に働く仲間の活気のあるなし、エンゲージメントの高低を判断します。もちろんこれは否定できません。そういったヒトの感性をAIデータで補完することが出来ると面白そうです。

古市 いつも感心するのですがマクニカさんのオフィスにお邪魔すると全員がお客様に対して「いらっしゃいませ」という挨拶を徹底されていますよね。

堀田 挨拶のようなヒューマンタッチは大事です。人が惹きつけられるような楽しいと思える働く環境を作るのも私たちの役割です。そしてそれは日本だけでなく世界各地の拠点においても同様です。各国の文化も十分踏まえながら、どのようにそれを実践できるのか、最適解を模索している最中です。

古市 今後も人事の皆さんの悩みや課題を共有する場を提供したいと考えています。人事のプレゼンスも変わってきました。当社からは、どう対応するのかというHOWを提供していきます。本日はありがとうございました。

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