株式会社YEデジタル
代表取締役社長
玉井 裕治
株式会社YEデジタル 代表取締役社長 玉井 裕治氏

データとAI活用のノウハウを武器にサービス品質と提供価値を高める

「『つくらない開発』を推進するとともにストック型ビジネスの比率を40%に引き上げたい」
「ビジネスソリューション」「IoTソリューション」「サービスビジネス」を事業の柱に据えるYEデジタル。顧客の課題や市場ニーズが変化する中、IoTとサービスの事業におけるソリューション強化に注力している。その駆動力になっているのがデータとAIの活用、そして「つくらない開発」という事業戦略である。顧客視点で開発したサービスを軸に、顧客との長期的な関係を構築する。その取り組みは着実に成果を上げている。
「『つくらない開発』を推進するとともにストック型ビジネスの比率を40%に引き上げたい」

データとAI活用のノウハウを武器にサービス品質と提供価値を高める

株式会社YEデジタル 代表取締役社長 玉井 裕治氏
株式会社YEデジタル
代表取締役社長
玉井 裕治
「ビジネスソリューション」「IoTソリューション」「サービスビジネス」を事業の柱に据えるYEデジタル。顧客の課題や市場ニーズが変化する中、IoTとサービスの事業におけるソリューション強化に注力している。その駆動力になっているのがデータとAIの活用、そして「つくらない開発」という事業戦略である。顧客視点で開発したサービスを軸に、顧客との長期的な関係を構築する。その取り組みは着実に成果を上げている。

DX成功には業務プロセス変革が不可欠
外部企業の力を借りて推進するのも1つ

株式会社YEデジタル 代表取締役社長 玉井 裕治氏
桔梗原
 多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していますが、成果が上がらず苦労しているケースも多いようです。

玉井
 ツールの導入にとどまり、既存業務プロセスの変革にまで踏み込んでいないケースが散見されます。また、データ活用が不十分な企業も多い。これでは効果は限定的です。原因として、デジタル人材の不足に加え、部門間連携の問題があります。DX推進チームだけで頑張るのではなく、組織横断的な協力体制や雰囲気づくり、企業文化をも視野に入れた施策が求められます。

日経BP 総合研究所 フェロー 桔梗原 富夫
聞き手
日経BP 総合研究所
フェロー
桔梗原 富夫
桔梗原
 データを収集・分析し、業務変革できる人材を確保するのは容易ではありません。

玉井
 1つの解決策は我々のような外部の専門会社の力を借りることです。当社では2018年に「Smart Service AQUA」(以下、AQUA)というサービス拠点を立ち上げました。ここではIT技術者がお客様のITの「導入→定着化→運用→改善」というサイクルをワンストップで継続的に支援しています。2022年にはスペースを2.3倍に拡大するとともに技術者を増員し、サービス強化も行っています。AQUAのようなサービスを活用することで、企業はデータ活用を推進しつつ、貴重な人材をより高付加価値な分野にシフトすることができます。

自動化・効率化が進む倉庫現場を
生成AIを活用して強力に支援

桔梗原
 AQUAではどのような点が強化されたのですか。

株式会社YEデジタル 代表取締役社長 玉井 裕治氏
玉井
 お客様のシステム運用支援に関する様々なデータをプラットフォームに蓄積し、生成AIやRAG(検索拡張生成)といったAIを活用して分析することでサポート品質を高めています。ある小売業のお客様の店舗向けシステムでは、データを蓄積しながらの立ち上げだったこともあり9カ月かかっても十分なサービス品質に到達できていなかったところ、AI導入から3カ月で一気に改善することができました。このような経験を生かし、2025年6月から運用保守データ活用サービス「AQUA DataFusion」を開始する予定です。

桔梗原
 どのようなサービス内容なのでしょうか。

玉井
 AQUA DataFusionは主に物流倉庫や製造業界を対象にしています(図)。特に物流現場では、近年の人手不足もあって様々な設備・機器の導入が進んでいます。過去のお問い合わせ対応の情報に加え、これらの稼働状況やフィールド対応情報など、プラットフォームに蓄積されたデータをAIが分析することで、トラブルシューティング時間の大幅短縮を図るとともに属人化を排除し、誰でも質の高い均一化されたオペレーションが可能になります。また、お問い合わせ内容からニーズを分析することで、新規ビジネスの創出につなげることもできます。これからさらに人材が不足していく中で、システムや運用はより複雑化しています。AQUA DataFusionを通じて、お客様の業務運用に関わるDXを強力に推進していきたいと考えています。
図 AQUA DataFusionの概要
図 AQUA DataFusionの概要
これまで個別に管理していたコールセンターへの問い合わせ情報、現場で解決した作業報告など、運用保守に関係する情報をデータプラットフォームに統合。AIで分析することで業務の効率化や顧客満足度の向上を図る

困難なプロジェクトを乗り越えて
「つくらない開発」の重要性を再認識

玉井
 当社は2021年からWES(Warehouse Execution System:倉庫実行システム)という新たな領域で、「MMLogiStation」という製品を提供しています。物流業務の中核となるWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)と、倉庫内の自動化設備をリアルタイム制御するWCS(Warehouse Control System:倉庫制御システム)の間で、自動化設備連携や倉庫業務の作業管理を行うのがWESの役割です。当社のWESの最大の特長は、主要な自動化設備をプラグインで、シームレスに接続できることにあります。既に6種類のプラグインがそろっており、2025年7月には12種類、2027年までに30種類に増やす予定です。

桔梗原
 物流現場の自動化・省力化は切実な課題です。プラグインはプロジェクトの短期化だけでなく、システム全体の品質向上にもつながります。

玉井
 お客様のニーズに応じて、パッケージに大幅なカスタマイズを施すというやり方に、私たちはこれまで慣れていました。しかし、その非効率性や不安定性は明らかです。当社は今、「つくらない開発」を推進しています。プラグインはその代表例です。

 実は、2024年に大きな出来事がありました。「つくらない開発」を掲げる前にお客様から受託したシステム開発において、パッケージの周辺部分に大幅なカスタマイズを行った結果、トラブルが生じ、その対処でプロジェクトは大幅に遅れ、お客様にご迷惑をかけてしまいました。私の会社人生の中で、最も苦しいプロジェクトでした。この経験も踏まえて、「つくらない開発」の重要性を再確認しました。今後は「つくらない開発」でも多様な顧客要望に応えられるよう、パッケージの柔軟性と適応力を高めていきます。

桔梗原
 最後に、今後の展望について、先ごろ発表した中期経営計画を踏まえて教えてください。

玉井
 2025-27年度中期経営計画では「最高のエクスペリエンスを支援するデジタル・サービス企業」をスローガンに、顧客や社会のDX推進とCX(顧客体験)の追求に注力していきます。当社の事業には大きく3つの柱があります。①ERPシステムなどの開発・運用からお客様向けのデータドリブン経営を支援するビジネスソリューション、②物流や畜産、文教、スマートシティといった分野でのIoTソリューション、③AQUAを中心とするサービスビジネス、です。ビジネスソリューションについては安定成長を図りつつ、IoTとサービスの事業を一層伸ばしていく方針です。AQUAやMMLogiStationなどのストック型ビジネスを拡大し、その比率を2027年には40%に引き上げたいと考えています。今回はAQUAと物流のIoTを中心に述べましたが、ほかにも市場ニーズが旺盛な領域はたくさんあります。これからもDXの伴走者として、データ資産を分析・活用することで変革を支援し「お客様とともに勝ち続けるパートナー」でありたいと考えています。
株式会社YEデジタル 代表取締役社長 玉井 裕治氏 日経BP 総合研究所 フェロー 桔梗原 富夫
お問い合わせ
株式会社YEデジタル 〒802-0003 福岡県北九州市小倉北区米町2-1-21
TEL:093-522-1010(代表)
URL:https://www.ye-digital.com/