――CBCでは現在、約40年間使用してきた基幹システムを刷新するプロジェクトを進めています。その背景を教えてください。
CBC・中尾知司氏(以下、中尾):当社は化学/医薬品専門商社として長い歴史を持ちます。世界約30拠点のネットワークで、化学品の貿易だけでなく、自社で製品を製造するマニュファクチャリング機能を併せ持つことも特徴です。1925年に創業し、2025年に100周年という大きな節目を迎えました。次の100年に向けて、持続的な成長と変革を見据え、事業の基盤である基幹システムの刷新を決断しました。
CBC・舘久稜氏(以下、舘久):従来の基幹システムは、約40年前に導入した完全スクラッチ(独自開発)型のシステムで、長年にわたり当社の業務に合わせて改修を重ねてきました。しかし、法令対応などの新たな要件に応じた改修には、毎回大規模な開発が必要となり、時間的・経済的なコストが大きくかかっていたのが実情です。また、開発を1社のベンダーに長く依存していたこともあり、社内でその仕組みを十分に把握できる人材が少なくなっていた点も、見直しを考えるきっかけの一つとなりました。
CBC・相澤弘明氏(以下、相澤):旧システムは「入り口と出口」が存在しないことも課題としてありました。具体的には、外部のクラウドサービスと柔軟にデータをやり取りすることができず、出力についても定型の書式に限られていたため、データの活用に制約がありました。分析のたびに担当者に依頼しなければならず、結果として、社内にデータドリブンな意思決定の文化を根付かせるには、ハードルが高い状況だったと感じています。
――基幹システムの刷新プロジェクトにZEINが参画したのは、どのような経緯があったのでしょうか。
舘久:社内で構想は進めていたのですが、当初から社内リソースが圧倒的に不足していることは明らかでした。そのため、開発を含め、その後の運用まで長期的に支援してもらえる外部パートナーを探していました。そこで、社内のファイルシステムの刷新(後述)を担っていたZEINの名前が挙がったのです。
相澤:長年独自開発のシステムを使ってきた当社にとって、新しい基幹システム(ERP)の選定は初めての取り組みであり、判断軸も持ち合わせていない状態でした。パートナー選定の際、多くのベンダーが「最終的な選定は御社でご判断ください」というスタンスにとどまる中で、ZEINだけは一歩踏み込んだ提案をしてくれました。「最終的に決めるのは御社ですが、私たちはこう考えます」と、自社の見解を明確に示しながら伴走してくれる。その姿勢に、ビジネスパートナーとしての信頼を感じました。
ZEIN・根岸剛之介氏(以下、根岸):一般的なシステム会社は情報提供がメインであり、それを基にして顧客に判断を委ねるスタンスがほとんどだと思います。当社は、集められた情報を基にどのように考えて判断・決定をすれば良いか、という部分にも支援をさせていただいています。これまでの検討内容を伺うと、同じシステムを長年使ってきたことでシステム刷新の目的に対して評価基準が一貫していないことが分かりました。そのため、どのような評価基準で評価して最終的な判断をすれば良いか、という部分から一緒に参加して支援させていただくことが最善だと判断しました。
中尾:当初は漠然と国産のERPが良いのではないかと考えていました。しかし、ZEINと何度も議論を重ねる中で、偏見を排してフラットに評価することができ、最終的に海外ベンダーのクラウド製品(SAP)を導入する決断をしました。
――実際にプロジェクトはどのように進められたのでしょうか。
根岸:新システムの構成は、中心となるERPの周辺に6つの他システム・ツールを接続する形となりました。マルチベンダーの開発を管理するプロジェクトとなり、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)を司令塔にして3年かけて段階的にシステムの移行を進める計画を立てました。また、データドリブンな業務が行えるように、新システムではERPによるマスターデータの統合管理機能(MDM)の開発も同時に行っています。
舘久:システム構築では、全体の土台となる会計などの非競争領域はシステムを刷新して標準化しますが、現場の事業部が担う競争領域のシステムは当社の強みの源泉でもあり、むしろそのまま生かして接続する形を採るべきだと考えました。導入の順序についても、既存システムのサーバー保守期限を基に段階的に決定しています。
根岸:システム導入が決まった事業部に対しては、従来のように要件を聞き取って一から開発する形ではなく、ERPパッケージの持つ標準機能をベースに業務プロセスを合わせていく「Fit to Standard」の導入アプローチを採用しています。ERPパッケージの機能説明を受ける前に、当社のコンサルタントがCBCのシステム部門や現場の方々にお話を聞き、業務を整理してからワークショップを進めました。
――CBCのIT部門とZEINが、一体となって推進されたわけですね。プロジェクトを進める中で苦労された点などはありましたか。
根岸:やはりFit to Standardということで、システム機能に合わせて現在の業務プロセスを調整していく部分や、業務効率を落とさないようにシステム機能をどう組み合わせていくかは検討に時間を使いました。また、周辺システムとのデータ連携の仕様確認に時間がかかってしまうこともありましたが、概ね順調に進めることができました。長年使ってきたシステムではなく、非競争領域のシステムを標準化することについて納得していただけたのは、IT部門の方々が現場の声を丁寧に拾いながら進められたからこそだと思います。
中尾:ここについては、当社の社長から今回のプロジェクトの意義と、やり抜くという意思表示をしたことが大きかったと思います。社長の言葉を借りれば「既製品に体を合わせるためにダイエットする」ということですが、歳月を経て属人化してきた業務フローと老朽化したシステムを変えていくという覚悟と、そのために、IT部門が現場に寄り添ってやり遂げるということをはっきり示したことが、重要な転換点だったと思います。
――CBCから見て、今回のプロジェクトでのZEINのサポートはどのように映りましたか。
相澤:Fit to Standardのアプローチでは、標準システムによって現場のニーズに対し、ある意味「制限」がかかります。ZEINには、どうしてもできないことであれば、代替の提案を頂くことも含めて、現場の課題に入り込んで何ができるのかを徹底的に調べていただきました。とても手間がかかったと思いますが、現場の納得を確認しながら進めていけたため、大きな安心感があります。
根岸:技術的な部分について全方向からご支援できることも、当社の強みだと自負しています。今回採用したクラウドERPは年に2回アップデートが実施されるため、当社としても最新情報をベンダー様や社内の技術者とも共有をし、常にベストなソリューションを提供したいと考えています。
――CBCでは基幹システム刷新に先立ち、文書管理基盤の一元化にも取り組まれました。ZEINとのパートナーシップはここが原点だったそうですね。
舘久:はい。当社では長年、各部署がそれぞれ独自の共有サーバーを持ち、ファイルを管理していました。その結果、文書ごとのセキュリティポリシーが統一されず、横断的な情報検索ができない状態でした。
加えて、事業継続計画(BCP)対策もできず、IT部門にとってもサーバー保守・更新が大きな負担でした。これらの課題を解決するため、クラウドストレージ(Box)への統合を決意し、技術のあるパートナーとしてZEINの紹介を受けたことがきっかけです。
ZEIN・桐谷平康氏(以下、桐谷):私はZEIN側でBox導入をリードしましたが、導入プロセスを重視しました。ツールの導入というとシンプルに思えるかもしれませんが、同じツールの導入であっても、共通の型に当てはめて進めるのではなく、お客様の環境や課題感に合わせた柔軟なアプローチが重要だと考えています。今回は、社外との情報共有におけるセキュリティ強化が最優先課題であったことや、Box導入と並行して社内の文書管理規定の見直しを行ったことを踏まえて、導入プロセスを重視した提案を行い、プロジェクトを推進していきました。
通常は社内に向けた情報共有ルールや環境整備から進め、社外向けの共有へと範囲を広げていきますが、今回は先に社外向けの共有ができる環境を整備し、Boxの基本的な使い方を習得していただきながら、社内向けには文書管理規定の見直しの状況を踏まえてBox内での細かな共有ルールや環境整備を進めていきました。
相澤:文書管理のルール策定から、段階的な導入のアプローチ、勉強会の実施など、きめ細かなサポートを頂きました。ユーザーにとってやさしく、使い続けられるためにはどうすればいいかを第一に考えた提案を頂けたことが、印象に残っています。最終的に当初の目的だったBCP対策やセキュリティ要件もクリアすることができました。
――今回の基幹システム刷新プロジェクト、文書管理基盤プロジェクトを通じて、CBCとZEINのパートナーシップは今後どう発展していくのでしょうか。
中尾:当社は創業100年の節目に策定した次期中期経営計画で「Brave the Future」をスローガンに掲げ、未来に向けて果敢に挑戦を続けていく宣言をしています。海外を含め、ビジネスを拡大していくためには、リスク管理や堅牢な事業基盤の整備が不可欠です。その観点では今回の事業基盤の刷新は大きな意味を持ちます。これからも、経営とテクノロジーの両面からの伴走支援に期待をしています。
相澤:IT部門は、営業現場を支える基盤であると同時に、新たなテーマに挑戦する先駆者でもあります。単なる技術導入や既存業務の改善支援だけではなく、未来を見据えた新たな取り組みに挑んでいくことが、私たちの使命だと考えています。その挑戦において、当社の特性や現場の空気感を的確に捉えてくれて、現場の信頼も厚いZEINには、引き続き多角的な視点での支援を期待しています。そして、最終的には私たち自身の力でプロジェクトを推進していけるような体制を築いていくことが必要だと考えています。
中尾:従来の基幹システムのように、カスタマイズ品を長年使用続けていた時代は、ある意味自走ができていました。しかし、現在の新しい基幹システムでは、全社横断で業務プロセスをつなげていく必要があります。加えて、会社の成長や事業基盤の強化に向けては、新たな領域にも一歩踏み出すことが求められています。こうした複雑な環境下で我々自身が自走できるようになることが、最終的なゴールになると考えています。
桐谷:当社には様々な業務や技術の専門家がおり、各チームが連携しながら、お客様ごとに異なる背景や目的を丁寧に汲み取り、現場と一体となって成果にこだわる支援を行っております。将来的な自走を見据えた支援にも力を入れておりますので、ぜひご相談いただければと思います。
根岸:当社の強みは、今回のプロジェクトでもご評価いただいたように、「お客様に寄り添った提案とサービス提供」、「やり切る実行力と高品質へのこだわり」、そして特定のツールやサービスによらない「幅広いソリューションと技術力」をワンストップで提供できる点にあります。伴走型の支援を通じて、お客様自身が変革を推進できるよう今後も信頼されるパートナーであり続けたいと考えています。