CYBER INITIATIVE TOKYO 2025 CYBER INITIATIVE TOKYO 2025
CYBER INITIATIVE TOKYO 2025 CYBER INITIATIVE TOKYO 2025
国家サイバー統括室(NCO)セッション「官民ハイレベルダイアログ」 国家サイバー統括室(NCO)セッション「官民ハイレベルダイアログ」

インド太平洋のサイバーレジリエンス強化に
社会・地域全体の連携が不可欠

「サイバーセキュリティはコストではなく、未来の成長のための重要な投資という認識を社会全体で共有すべき」。冒頭のあいさつに立った松本 尚デジタル相はこう訴える。日本のサイバーセキュリティ政策が新たなステージに入りつつある中で、官民が自らの役割と責任を認識し、同じ方向を見据えてサイバー脅威に立ち向かう必要があるとした。

また、「サイバー空間は多くの国や主体が享受する国際公共財」とも語る。「自由、公正かつ安全なサイバー空間を実現するために、国境を越えてインド太平洋全体で経験や知見を持ち寄り有意義な協力につなげることが必要」とした。

2025年7月新設の内閣サイバー官に就任した飯田陽一氏は、日本を含むインド太平洋地域がデジタル経済の成長センターとなる一方、悪意あるサイバー活動の標的にもなっていると指摘。地域のサイバーレジリエンスがグローバルな安定と繁栄の礎にもなるとした。

信頼醸成に基づく協力と情報の共有が急務

続く前半のパネルディスカッションでは、サイバーレジリエンスをインド太平洋地域全体で高めるためのアプローチを各国の政府高官が議論した。飯田氏は、政策などの環境が各国で異なることや過去の経験を踏まえ、多様性を尊重しながら二国間や多国間における協力の枠組みを柔軟に組み合わせる重要性を説いた。

カナダ政府でサイバーセキュリティ担当シニアオフィシャルを務めるサミ・コーリー氏は、政府が情報共有と長期的な官民パートナーシップを構築することの重要性を訴える。特にインシデントを公にしたくない企業の本音を踏まえて「情報共有と機密保持を両輪とした“顔の見える関係作り”で、時間をかけ信頼を築く必要がある」と説明した。

シンガポール政府サイバーセキュリティ庁(CSA)のデイビッド・コー長官は、政府自らが「縦割り」を崩すことから始め、特にリソースに乏しい中小企業への認知向上と最低限のサイバー衛生普及を支援する必要性を訴えた。

ビッグテックとの協力が焦点となった質疑応答で、コー氏はシンガポール政府とGoogleがAndroidのサイドローディング問題で協力した事例を紹介。この取り組みがタイやインドにも広がったと語った。飯田氏はサイバー脅威へ対抗するために、政府の持つ情報と民間の情報を掛け合わせる必要があると指摘した。

モデレーターである笹川平和財団の髙見澤 將林氏は、相互に信頼関係を構築済みの日本・カナダ・シンガポール3カ国の取り組みを評価。今後も国同士の対話による信頼醸成が鍵になると総括した。

全員が「防御の前線」を担う 中小支援とソリューションが課題

後半のパネルディスカッションでは、サイバーセキュリティにおける官民連携(PPP)の必要性と、その具体的な役割分担について議論した。

タイ政府で国家サイバーセキュリティ庁(NCSA)副長官を務めるティーラウット・ウィッタヤコーン氏は、サイバーセキュリティには社会全体でのアプローチが不可欠と提言。政府は国家基準の策定と情報共有プラットフォームの整備、民間はインシデント対応の高度化とサプライチェーン強化、学術界は研究・独立評価・人材育成、一般市民はサイバー衛生の実践、と全員が「防御の前線」の役割を担う必要があるとの認識を示した。

中小企業の支援も焦点となった。アジア・オセアニアコンピュータ産業機構(ASOCIO)のスタン・シン・ジット氏は、中小企業が「認識・知識・リソース」が不足する三重苦を抱えていると指摘。ウィッタヤコーン氏は、中小企業が多いタイでの、政府による財政支援や相談窓口の設置などの具体策を紹介した。

NTTのチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストである松原 実穂子氏は、大企業偏重の報道により、中小企業が「自分たちは狙われない」と誤認していると指摘する。専門家不在でも使えるソリューションの重要性を訴えた。

サイバーイニシアチブ東京2025レビュー 総合トップ