「レジリエンス」強化に向けたアプローチのあり方
岡本 画期的なアーキテクチャである「Cisco Data Fabric」を軸に、Splunkが提供する機能性と価値について、特徴的なポイントを改めて教えてください。
Brickman 「Cisco Data Fabric」は、大量のデータを実用的なインテリジェンスに変換し、顧客の意思決定の加速、運用リスクの軽減、イノベーションの促進を支援します。
例えば、新たなフェデレーション(認証連携)機能により、サイロ化を解消し、効果的なAI活用に不可欠なデータソースを接続し、有効なインサイト創出に欠かせない「360度ビュー」を提供します。さらにSplunkは膨大なマシンデータを学習基盤としているため、モデル内に適切なパラメーターを構築することで、AIのハルシネーションを防ぎ、見るべき正しいインサイトの構築・提供が可能となります。
また、Splunkプラットフォームにはオンボーディングやデータ管理からエージェンティック検索、ユーザーエクスペリエンスに至るまで、データライフサイクルのあらゆる段階で役立つAI機能が組み込まれています。
これにより、CIOは、マシンデータとテクノロジーの分野で何が起こっているかだけではなく、フェデレーション機能により、マシンデータ、ビジネスデータ、ナレッジデータに接続することで、ビジネスデータの財務的影響や従業員に対する知識データの影響も理解し、データに基づいた意思決定を行うことができます。
一方、データ管理およびコストの問題に対処するため、Splunkは、「Splunk Machine Data Lake」を開発しました。監査に必要なコンプライアンスデータなど、データの階層化により、リアルタイムインシデント対応データから長期にまたがるデータまで、それらすべてを、低コストなストレージに安全かつ安価に保存できます。
岡本 今後、急拡大が予想されるエージェンティックAI時代において、経営層が最も重視すべきは「スピード」と同時に「信頼性(セキュリティとレジリエンス)」です。生成AIやエージェンティックAIの活用が進むほど、セキュリティは“守り”ではなく、事業継続と意思決定を支えるレジリエンスの基盤となります。
アクセンチュアは、AIが判断する領域と人間が最終責任を持つ領域を明確に分離し、セキュリティやレジリエンスを前提としたAI活用モデルの確立を支援しています。これにより、企業はリスクを抑えながら、AIの価値を最大化することが可能になると考えています。

アクセンチュア株式会社
テクノロジー コンサルティング本部
クラウド、データ&AI インテグレイティッド コンサルティング グループ
マネジング・ディレクター
岡本 武士氏
一方で、この急拡大する需要に追いつかない状態も想定されるIT人材不足を受けたAI利用の民主化に向けては、どのようなサポートの提供を想定されているのでしょうか。また、それに関連し、エージェンティックAIや生成AIに関するシステムの「レジリエンス」強化に向けてのアプローチについても教えてください。
Brickman 私たちはAIを「80億人の世界を800億人の世界に変える力」だと捉えています。
AIが24時間365日、絶えず監視やデータ処理といった「ヘビーリフティング(重労働)」を代行することで、企業は追加の人員を大量採用することなく、高度人材がより重要な分析業務や意思決定に集中できるようになります。
また、「Cisco AI Canvas」は何らかのアラートが発生した際に、AIがトラブルシューティングを行い、分析や解決方法を提案する役割も担っています。
エージェント型ワークフローの導入により、「検知と対応」を専門とする企業から、「予測と防止」を専門とする企業へと進化することを目指しています。これにより、アナリストは今まで数日かかっていた作業を数分から数時間で実行できるようになります。
アクセンチュア×Splunkの共創価値「Human-in-the-Loop」とは
岡本 当社でも、クライアント企業のAI導入を見据え、データ基盤やビジネスプロセス、ガバナンス強化のサポートを実践していると、先ほどもお伝えしました。ここまでの議論を踏まえると、重要なのは、「AIは万能ではない」という視点だと考えています。Splunkでは、AI活用において、「Human-in-the-Loop(人間が中心にいる状態)」を徹底していると伺っていますが、改めてBrickmanさんの考えをお聞かせください。
Brickman 「Cisco AI Canvas」によるインシデント対応については、「Human-in-the-Loop」の方法で動作します。つまり、AIが行うすべての処理は、人間による承認が必要になります。AIは監視、検知、そして推奨を行いますが、最終的なアクションを承認するのは人間であり、AIはあくまで人間の能力を拡張する存在であるべきと考えています。私たちのAIは、あなたの最高のチームメイトです。
岡本 「Human-in-the-Loop」、つまり「人間を強くするAI」は、我々アクセンチュアでも重要なポイントに据えています。AIを導入すれば自動的に課題が解決するわけでも、業績が向上するわけでもありません。
その観点から、業務プロセスの再設計、ガバナンスの構築、そして何より、AIからの提案を判断できる「人材の育成」や「組織文化の変革」がセットでなければ、目指す成果は得られないと考えており、クライアント企業にも折に触れて伝えながら、サポートを実践しています。
Brickman だからこそ、Splunkは単なるツールベンダーではなく、Cisco社と一体となった「One Cisco / One Splunk」という理念を全社で共有しています。結局のところ、すべての企業はネットワークとデータ分析機能を必要としています。今後も、ハードウェアからソフトウェア、セキュリティからオブザーバビリティまでを含めた包括的なプラットフォームの提供に注力してまいります。
岡本 当社においても、経営層の意識変革から組織のマインドセットを図り、現場のプロセス設計から実践、フィードバックまで一気通貫で支援する姿勢を大事にしています。これからのAI活用において問われるのは、冒頭で話に出ましたが、「どのAIを使うか」ではなく、「AIを前提に、企業の意思決定や業務のあり方をどう再設計するか」です。
Splunkの強力なデータ/AIプラットフォームと、アクセンチュアの変革実行力(経営・業務・組織を実際に機能する形に落とし込み、実装する)を掛け合わせることで、クライアント企業が“検知して対応する組織”から、“予測し、先手を打てる組織”へ進化する――その実現を、私たちは経営層と共に伴走していきたいと思います。今後は、戦略的パートナーシップのさらなる強化を図り、日本企業のデジタル変革を一緒に後押しできたらと考えています。
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