商品をAIが選び購入するエージェンティック・コマースでは、購買行動が大きく変わる。その勝ち筋はどこにあるのか。コマース戦略ではトップライン拡張、ボトムライン強靭化が求められる。取引数拡大と不正対策厳格化の両立も必要だ。世界中で統合決済プラットフォームを提供するAdyen(アディエン)とアクセンチュアが共創。「3本柱」で国内企業を成長軌道に乗せる。

―エージェンティック・コマースでビジネスはどのように変わりますか。

アクセンチュア
Song, Delivery Lead, Japan マネジング・ディレクター
中尾 達也氏2015年にタンバリンを創業。21年のアクセンチュア参画後は、企業のデジタルコマース変革をリード。決済・顧客体験・AIを融合し、エージェンティック・コマースをはじめとする次世代の顧客接点づくりと事業成長を支援している。26年6月より現職。

中尾 アクセンチュアでコマース戦略から開発、運用までフル機能を持つ専門チームのリーダーをしています。国内企業のお客様に接する中で、エージェンティック・コマースに関するご相談が急増しています。AIと対話し商品を探すだけでなく購入まで行う流れは、すでに海外で進んでいます。BtoB領域では、AIエージェントが受発注から決済まで代行する業務プロセス変革も始まりました。

アクセンチュア
Song, Delivery Lead, Japan マネジング・ディレクター
中尾 達也氏2015年にタンバリンを創業。21年のアクセンチュア参画後は、企業のデジタルコマース変革をリード。決済・顧客体験・AIを融合し、エージェンティック・コマースをはじめとする次世代の顧客接点づくりと事業成長を支援している。26年6月より現職。

アダム AIエージェントが購買を代行する時代も、すぐそこまで来ています。AIテクノロジーがどんなに進歩しても、商業活動のベースは信頼性の高い決済インフラ上で支払いが行えることにあります。世界中で決済の単一プラットフォームを提供するAdyenは、世界各国の監督官庁との関係を構築しています。また当社はグローバル決済企業としてUCP※1、ACP※2などエージェンティック・コマースの標準化に向けた取り組みに参画しています。

中尾 国内企業とUCP、ACPに関する議論も進めています。AIが商品を購入する時代、消費者感覚として「信頼できるか」は重要なポイント。私たちがEコマースでお客様の事業成長を支援するにあたり、根幹と考えるのが決済の信頼性です。エージェンティック・コマースではその重要性がさらに高くなると思います。

※1 UCP=Universal Commerce Protocol。プラットフォーム、エージェント、企業が業界全体でエージェンティック・コマースを実現するための共通言語
※2 ACP=Agentic Commerce Protocol。AIエージェントを通じて商品の発見から購入までシームレスに行うための仕組みの一つ

「勝ち組」にある共通要素
2つの成長戦略を実行せよ

―コマース大変革期を勝ち抜くために何が必要でしょうか。

中尾 国内企業のEコマースにおける「勝ち組」には、共通要素があります。それはオンライン(EC)とオフライン(実店舗)を融合するOMOと、グローバル展開という2つの成長戦略の実行です。

OMOではECと実店舗の両方で業務が確実に回ること、消費者の購買行動を把握できることが重要です。グローバル展開のポイントは、国ごとに決済方法も異なる中で、いかに購入しやすい環境を構築できるか。この2つの成長戦略を推進する上で、データ活用が重要になります。

Adyen Japan
カントリーマネージャー 兼 代表取締役
アダム・ブラウンステイン氏ソニーやマイクロソフト等で15年以上にわたり市場進出戦略を担当。IT企業創業やブッキングドットコムの地域ディレクター等を経て24年Adyenに入社。日本市場における地位向上や決済革新を推進する。ペンシルベニア大卒、ノースウェスタン大MBA。

アダム 一般的に決済会社はECと実店舗に分かれています。Adyenはグローバルで、両方を1つのシステムで処理。ECと実店舗のデータを一元化します。さらに顧客IDとひも付けることで、購買行動をチャネルの垣根を超えて把握できます。これを活用してパーソナル化、顧客満足度向上が図れます。

Adyen Japan
カントリーマネージャー 兼 代表取締役
アダム・ブラウンステイン氏ソニーやマイクロソフト等で15年以上にわたり市場進出戦略を担当。IT企業創業やブッキングドットコムの地域ディレクター等を経て24年Adyenに入社。日本市場における地位向上や決済革新を推進する。ペンシルベニア大卒、ノースウェスタン大MBA。

Adyenは、決済代行とアクワイアラー※3の2つの機能が融合した存在です。グローバル展開において決済に関するTCO※4を削減し、オペレーション分断で決済に要していた時間を短縮できます。通常国や地域ごとで分かれがちな決済システムをグローバルで統一し、日本企業の海外進出を支援します。

中尾 Eコマースでは、決済処理エラーで機会損失が生まれています。AI経由で自動購入する時代では、不正対策と利便性の両立は重要な課題です。

アダム 一般的にECサイトでは、10~20%が決済承認を失敗しているというデータがあります。その要因は、不正利用と誤認されるケースや、カード情報の有効期限切れなど様々。Adyenでは、グローバルで年間約257兆円の決済を処理しています。この膨大な決済データとAIを駆使し、技術的エラーのカバーとともに、正当な取引か不正な取引かを見極める精度を高めることで、Adyen Uplift※5利用企業の一部では最大6%の決済コンバージョン率向上を実現しています。エージェンティック・コマースでは、こうした機能の高度化がより求められると思います。

※3 加盟店契約会社。クレジットカード等のキャッシュレス決済網において、加盟店契約の締結および加盟店管理を行う事業者
※4 TCO=Total Cost of Ownership。総保有コスト
※5 コンバージョン率、リスク、コストの最適なバランスを実現し、収益の最大化を支援するAI搭載の決済スイート(パッケージ)

グローバルで共創が進行中
日本発ゲームチェンジャーに期待

―両社の共創で国内企業をいかに支援していきますか。

アダム Adyenとアクセンチュアの共創では、「3本柱」(図参照)で小売・デジタルコンテンツ・エンターテイメントなど国内企業を支援していきます。

Adyenとアクセンチュアは共創3本柱で、コマース大変革期をチャンスに変え、国内企業の成長をアシストする

中尾 グローバルではすでに共創が進んでいます。EコマースやOMO、グローバル展開のプロジェクトで、課題解決やトップラインを高めるためにアクセンチュアが戦略を立て、それを実現するシステムの導入・運用を支援する中で、Adyenの決済プラットフォームを組み合わせています。国内企業でも同様の支援を行っていきます。

大事なのは、エージェンティック・コマースの取り組みを、まずは小さく始めてみることです。数年かけてシステムを構築していては、競争で後れを取ります。エージェンティック・コマースに決まったメソドロジーはありません。Adyenとの共創によりお客様と一緒にチャレンジしていきたいと思います。

アダム Eコマース、OMO、エージェンティック・コマースなど、Adyenとアクセンチュアは共通領域でそれぞれ専門性の高い知見と技術を有し、それらを組み合わせることで具体性と確実性をもって国内企業のコマース事業拡大をアシストします。エージェンティック・コマースは企業と消費者の新しい関係を構築するため、すべての国内企業がゲームチェンジャーとなりえます。Adyenとアクセンチュアは、チャンスを価値に変えるために力を尽くしていきます。

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