自然災害やサイバー攻撃、地政学リスク、労働力不足など、企業を取り巻く経営環境はかつてないほど複雑化している。こうした時代に求められるのは、リスクを適切に管理しながら、変化を前提に成長を続けるためのレジリエンスだ。日本での事業開始から80周年の節目にあるAIGは、グローバルな知見と日本企業への理解、そして全国の代理店ネットワークを生かし、保険の提供にとどまらないリスクマネジメントの支援を行っている。経営陣はいかにリスクと向き合い、持続的な成長を目指すべきか。日本での事業を率いる2人のリーダーに聞いた。
複雑化する経営リスク
変化への適応力が鍵
ナッシュ近年の経営リスクの特徴は、数と種類が多いだけでなく、変化のスピードが加速し、相互に影響し合うようになっていることです。
地政学リスクは、生産や物流、市場アクセス、事業継続などに影響します。気候変動の影響や自然災害による被害も、特定の地域にとどまるものではありません。調達や物流の停滞などを招き、広範な事業活動に影響する可能性があります。
データセンターも、リスクの複雑化を象徴する典型例です。世界的に需要が拡大する一方、リスクは許認可や資金調達から建設、操業に至るまで、事業の全期間に及びます。財物や建設、輸送、サイバー、賠償責任といった多様なリスクが、複数の拠点やプロジェクトにわたって結び付いているのです。個々のリスクを個別に管理するだけではなく、相互に関連しながら複雑化するリスク全体を俯瞰する視点が求められます。AIGが持つ幅広い専門性と、地域を越えて蓄積してきたグローバルな知見が生きるのは、こうした局面です。この広い視野こそが、成長を追求している企業のより良い意思決定につながると考えています。
リスクマネジメントは、もはや単なる防御策や保険上の手続きではありません。企業の成長を支える戦略的な機能です。リスクを把握し、変化を先読みして経営判断に反映できる企業ほど、不確実性に強くなります。
リスクを完全になくすことはできません。重要なのは、変化する環境を前提としながら、そのなかでも前進し続けるためのレジリエンスを備えることです。
AIGジャパン・ホールディングス
AIG損害保険 代表取締役社長 兼 CEO
ジェームス・ナッシュ氏
英国ラドリーカレッジ卒業。PKF社を経て、1985年、ガイ・カーペンター(現・Marsh Re)に入社し、日本法人社長やアジア太平洋CEOを歴任。2021年1月より、AIGジャパン・ホールディングス 代表取締役社長 兼 CEO。同年12月より、AIG損害保険 代表取締役社長 兼 CEOを兼務。
辻村そうしたリスクマネジメントを支えるAIG損保の強みは、グローバルなネットワーク、多分野における専門性、そして確かな実行力です。
私たちはグローバルなリスクトレンドと企業の対応事例を把握し、お客さまのリスクマネジメント支援に生かしています。また、グローバル保険プログラムやリスクエンジニアリングなどの専門的なソリューションを通じて、お客さまのレジリエンス向上をサポートしています。
ナッシュ特に重要なのが、保険金を迅速かつ適切にお支払いすることです。保険の価値は、お客さまが損害を被り、最も支援を必要とする時にこそ問われるからです。
AIGはグローバルなリスクの専門家集団として、世界各地でお客さまの支援に努めています。
グローバルな知見を
日本企業へ届ける
ナッシュAIGは日本市場で約80年にわたり事業を展開してきました。
グローバルな保険インフラと日本市場への深い理解を背景に、機動力の高いサービスを提供しています。
辻村先ほども触れたように、今日の日本企業は、自然災害やサイバー攻撃、サプライチェーンの混乱、人材不足など、多様なリスクに直面しています。
日本では企業の99%以上を中小企業が占めています。多くの経営者は日々の事業運営に追われ、自社が抱えるリスクを客観的に判断し、将来に向けた備えを検討する機会が十分に確保できていないのが実情です。
そこで重要な役割を果たしているのが、全国に広がるAIGのプロフェッショナル代理店のネットワークです。
代理店は地域のお客さまに寄り添い、業種や事業特性、経営者の考え方まで深く理解しています。保険の提案にとどまらず、事業上の課題や潜在的なリスクについて助言するなど、多面的な支援をしています。
私たちの強みは、AIGがグローバルに培ってきた知見や専門性と、地域のお客さまを深く理解する代理店の力を掛け合わせ、それぞれの企業の実情に即した形で届けられることです。サイバーリスクや自然災害、人的資本経営など、企業を取り巻く様々な課題について知見を提供し、より多くの企業のリスクマネジメントに貢献していきます。私たちはリスクの可視化や予防、事業継続力の強化を通じて、日本企業の持続的な成長を支えます。
AIG損害保険
取締役執行役員 兼 CDO(チーフ・ディストリビューション・オフィサー)
辻村 健氏
1996年、AIG損保の前身、AIU保険に入社し、営業部支店に配属。営業戦略部門、マーケティング部門の責任者を歴任し、AIGジャパン・ホールディングスに出向。Deputy CDOを務めた後、現任。
将来のリスクに備える
先進的な商品とサービス
ナッシュ私たちの役割は、足元のリスクに対応するだけでなく、お客さまが将来のリスクに備えられるように支援することです。
その考えを、様々な商品にも反映しています。役員の賠償責任に備える「会社役員賠償責任保険(D&O保険)」、サイバーリスクに備える「CyberEdge」、環境汚染に起因する賠償リスクに対応する「環境汚染賠償責任保険」などです。
辻村日本企業特有の課題に対応する商品やサービスの提供にも力を入れています。
例えば、労働人口の高齢化が進むなか、年齢を問わず、従業員が病気を抱えながらでも働き続けられる環境をどう整えるかは、人材の確保と定着に直結する経営課題になっています。当社の保険には、健康状態の告知や個別の加入手続きなしで従業員を包括的に補償できる商品があり、治療と仕事の両立を支援するプログラムも用意しています。
企業はこうした仕組みを利用し、人材活用に伴う不安を軽減できます。実際、このプログラムを生かして新たな人材確保や事業拡大を具体的に進めているお客さまもいらっしゃいます。
中小企業の経営者は、自社の状況は把握していても、同業他社の動向や業界全体のリスクまで見通す余裕はなかなかありません。多様な企業や事例に接している代理店は、そこで得た知見を生かし、お客さまが直面し得るリスクを捉え、対応策やソリューションを提案することができます。こうした点も、AIGの代理店ネットワークの大きな強みです。私たちは保険の提案に先立ち、お客さまの事業や経営課題を理解し、必要な備えを一緒に考えることを大切にしています。
適切な備えによって、企業は新たな投資や新規事業、海外展開などに安心して取り組めます。全国の代理店と共にお客さまの挑戦を支えることこそが、私たちの使命です。
最新リスクトレンドの共有と
実践的な議論の機会を提供
ナッシュ保険はリスクマネジメントに不可欠ですが、それだけで企業のレジリエンスが高まるわけではありません。
AIGは、企業のリスクマネジメント担当者向け教育プログラム「AIGリスクマネジメントアカデミー(ARMA)」や、クライアント・サミット(経営者向けの危機管理フォーラム)などを運営し、リスクマネジメントに関する最新トレンドの共有と実践的な議論の機会を提供しています。
私たちはグローバルな知見を共有しながら、日本企業をしっかりと支えるリスクマネジメント・パートナーであり続けます。
辻村企業が成長を目指す以上、不確実性を避けることはできません。重要なのは、リスクを恐れて立ち止まるのではなく、正しく理解し、適切にマネジメントしながら前へ進むことです。
私たちは、事故や損害が発生した後だけでなく、その前段階からお客さまの意思決定を支えます。
企業が自信を持って挑戦を続けられること。それがレジリエンスの向上と日本経済の持続的な成長につながると信じています。
AIGはこれからも、ますます複雑化する市場環境のなかで、お客さまが不確実性を乗り越える自信をお届けしていきます。
