⽇経SDGs/ESG会議
サステナビリティ・トランジション
~世界経済激変で変わる経営戦略、資源循環、サステナビリティ対応~
AI時代における企業経営の大変革
組織は? 取締役や社員の役割は?
B&DX
代表取締役社長
安部 慶喜 氏
私たちは持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
B&DX
代表取締役社長
安部 慶喜 氏
人工知能(AI)の進展により、企業経営には今後、大きな変化がもたらされる。これまで人員規模に依存していた企業活動がコモディティー化し、競争ルールや事業・組織構造は根底から変革を余儀なくされる。AI時代に会社組織はどう変わり、取締役はどんな役割を果たすべきか。
米国では「AIリストラ」が加速している。管理職やミドルマネジメント層が大幅に削減され、AIを使えないエンジニアも不要とされ始めている。先日、中国の2つの大学で意見交換をしてきたが、中国でもAIリストラが進んでいる。
では、日本はどうか。間違いなくAIリストラは日本企業でも起こると予想されるため、社員だけでなく、管理職や取締役も、今後どうあるべきかを真剣に考えるべき時期に来ている。
これまでの組織は、ピラミッド型の階層で人を管理してきた。その考え方は今後変わり、AI時代には組織はフラットになる。テーマに応じて人がアサインされ、プロジェクト型組織が運用される。各領域に少数のコア専門家が在籍し、AIで判断できないことを人間が補うようになり、そのための高度な人材だけが残る。「高度」とは「will」、つまり意志を伴う判断ができるということだ。
今までの人材育成は、同じ意識や目的を持ち、その企業で必要なことを研修で習得し、標準化された知識とスキルを身に付けることが中心だった。しかし、これからは異質な経験や視点を持つ人材が重要になる。異なる会社や環境で多様な経験を積み、自ら学び続けて知識やスキルをアップデートしていく。そういう人材同士が、AIを使って、意見をぶつけ合い、新しい価値を見いだしていく。それこそが企業としてやる意味のあることだ。AI時代の社員は、異なる経験や意見を掛け合わせ、未来の仕事を創るようになる。
AI時代の営業、経理、そして執行役・取締役の役割について具体的に考えてみたい。
まず営業の役割。これまでの営業は、顧客ニーズを探し、資料作成・提案を行い、案件を管理して継続的にフォローしていくのが典型的な仕事だった。しかし、これからはAIがその仕事を代替・高度化していくため、人間はビジネスプロデューサー、もしくは、マーケットデベロッパーなどの役割を担うようになる。営業担当には、まだないビジネスやマーケットを創り出すことが求められるようになる。
次に経理の役割だが、これまでは会計処理を正しく行い、レポートを効率よく作成し、結果を早く報告することが求められた。AI時代には、ファイナンシャルアドバイザーとして、会計・財務の観点から情報を活用した分析とプランニングで経営判断を支え、企業価値を高める意思決定のエンジンになるだろう。
そして執行役と取締役。執行役は事業プロデューサー、つまり「今を稼ぐ人」になる。取締役は企業価値をデザインする人、つまり「未来を稼ぐ人」になる。そして重要なのは、それぞれの時間軸がまったく変わることだ。執行役は3カ月から1年先のことを、取締役は3年から5年先のことを考えるようになる。
AIの活用により、企業が生み出す価値は飛躍的に向上し、自社ならではのコアバリューの追求こそが競争力の源泉となる。従って、コアバリューの磨き込みがビジネスの要諦になる。
今後の「あるべき取締役会」を実現するためのテーマは次の3つだ。現役取締役へのAI知見の徹底的なたたき込み、異なる経営経験を持つ社外取締役の確保、次世代の取締役人材の早期育成である。これらを実現するため、企業・業界の垣根を越えて対応することが求められる。当社でもその対応策を考えているところだ。