経営戦略の実現へ、人材戦略を推進 タレントマネジメントシステムで戦略ごとの人材配分を最適化人的資本経営で成長を追求するTISI

2026年7月にTISとインテックの統合により誕生した、大手システムインテグレーター(SIer)のTISI。「人材戦略なくして経営は成り立たない」という前提の下、人材価値を最大限に生かす組織づくりに取り組んでいる。同社の経営戦略に沿った人材配置に欠かせないのが、「人材ポートフォリオの可視化」だ。人的資本経営とその要となるタレントマネジメントシステムの重要性について、TISI 常務執行役員 企画本部長 兼 人事本部長の河村正和氏と、「社内版ビズリーチ」を提供するビズリーチ 執行役員 HRMOS事業部 事業部長の小出 毅氏に聞いた。

「戦略ドメイン」の拡大に寄与する先鋭人材を育て上げる

4500社以上の企業に「成長戦略を支えるためのIT」を提供しているTISI。同社は金融、製造、流通、サービス、公共、通信など、あらゆる産業のITを支えてきた実績を持つ。

2026年7月1日には、TISとインテックが統合し、TISIとして新たなスタートを切った。

TISI 常務執行役員 企画本部長 兼 人事本部長 河村 正和 氏

TISI 常務執行役員
企画本部長 兼 人事本部長

河村 正和

「当グループは社会課題解決に向けて、革新的な技術の積極採用や異業種の能力・知見を取り込みながら事業の多彩化とグローバル化を進め、ビジネスの革新と市場創造の実現を目指すという長期経営方針『グループビジョン2032』を掲げています。これを早期かつ確実に実現するには、中核会社を統合し、より強固な経営・事業基盤を構築することが不可欠だと判断したのです」

このように語るのは、TISIで経営戦略および人材戦略を統括する、常務執行役員 企画本部長 兼 人事本部長の河村正和氏である。

ビジョンの実現に向けた最初のステップとして、TISIは現在、中期経営計画「Frontiers 2026」(2024~2026年度)を推進している。同社が「戦略ドメイン」と位置付ける社会課題解決やパートナーとの共創による新たな市場の開拓、既存の強みを生かす重点領域の事業構成比を最終年度に52%まで高め、売上高6200億円(2023年度比22%増)、1人当たり営業利益370万円という目標の達成を目指している。

TISIの人材戦略の構成

TISIの人材戦略の構成

TISIの人材戦略は、目指す人材ポートフォリオの実現に向けて、「人材獲得」「人材開発」「人材配置」を中核に据え、多様な人材活躍を支える「持続可能なエンゲージメント」を基盤としている。また、各施策の実行状況を可視化・分析し、戦略の着実な実行につなげるHRDX基盤の整備も併せて推進している

これらの目標達成に向けて同社が取り組んでいるのが、経営戦略に基づく人材の確保・育成と、最適な人材配置の実現である。

「3年間で100億円以上の人的資本投資を行う計画です。安心して挑戦でき、働きがいを持って仕事に取り組める環境や、働きながら新しい知識やスキルを同時に学び続けられる制度を整えることで多様な人材を確保し、その中から、『戦略ドメイン』の拡大に寄与する先鋭人材を育て上げるという人的資本シナリオを描いています」(河村氏)

同社が先鋭人材として定義するのは、上流工程から顧客との価値創出を担う「コンサルタント」、プロジェクトやサービスを技術的側面から支える「ITアーキテクト」、顧客の真の課題を捉え、高付加価値な提案につなげる「高度営業人材」だ。これらのエキスパートを輩出し、活躍を促すことで中期経営計画の目標を達成し、同社の使命である「社会課題の解決」に貢献することを目指している。

TISインテックグループの
人的資本シナリオ

TISインテックグループの人的資本シナリオ

TISIは中期経営計画(2024~2026年度)において、3年間で100億円超の人的資本投資を進めている。人材投資がもたらす効果として、先鋭人材の拡充・活躍と付加価値の向上を図り、2027年3月期には、戦略ドメイン比率52%、売上高6200億円、1人当たり営業利益は370万円を見込んでいる

人材を“見える化”するデータ基盤を整備

人材の確保・育成と並んで、経営戦略を実現するために不可欠なのが人材の最適配置だ。

「経営戦略を計画通りに遂行できるかどうかは、詰まるところ、重点戦略を担うポジションに最適な人材を配分できるかどうかにかかっています。そのためには、社内のどこに、どんな経験や能力、キャリア志向を持った人材が埋もれているのかを俯瞰し、解像度を高くして評価できる仕組みが欠かせません」

このように語るのは、ビズリーチ 執行役員 HRMOS事業部 事業部長の小出 毅氏である。

ビズリーチ 執行役員 HRMOS事業部 事業部長 小出 毅 氏

ビズリーチ 執行役員
HRMOS事業部 事業部長

小出 毅

ビズリーチは、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」でおなじみだが、そのデータとノウハウを生かして、企業内における社員情報とポジション情報の「見える化」や最適なマッチングを支援するタレントマネジメントシステム「社内版ビズリーチ by HRMOS」も提供している。小出氏はそのサービスを開発・提供する部門のトップとして、顧客企業が抱える「社員のキャリア形成支援」や「最適配置」といった課題と長く向き合ってきた。

その小出氏から見て、TISIの人事戦略は極めて理にかなった、実効性の高い戦略に映るという。

「まず、人的資本は経営を支える重要な基盤であると捉え、経営戦略と一体化した人事戦略を推進しておられる点が素晴らしいと思います。それに加え、人事戦略によってもたらされる経営面の成果を『1人当たり営業利益』などの具体的なKPIに落とし込んで管理を行っておられる点が、実効性の高さに結びついています」(小出氏)

さらに小出氏は、TISIが人材戦略の成果を測定し、人材の価値を見える化するため、「HRDX基盤」と呼ばれる社内データ基盤を整備していることに着目する。

「まだ整備途上で、試行錯誤を重ねている段階」だと河村氏は話すが、同社が構築を進めている「HRDX基盤」には、TISI社員を中心に、社内経歴や経験、能力・スキル、希望するキャリアなどの詳細な情報の登録を進めており、これを個別のキャリア形成支援や人材登用などの参考に用いているそうだ。

「社員本人のキャリアに対する意思と会社の期待を擦り合わせ、その“価値交換”を通じて、共に成長していくことを目指しています」(河村氏)

HRDX基盤のコンセプト

HRDX基盤のコンセプト

TISIは、人材戦略の成果を測り、人材の価値を見える化する「HRDX基盤」を整備している。成果指標のモニタリング、データドリブンな意思決定を支援するHRレポートの提供、人材ポートフォリオと社員のキャリアプランを融合し、社員の自律的なキャリア形成をサポートするタレントマネジメントシステムといった仕組みを通して、事業戦略の遂行を支援している

人材戦略なくして、経営は成り立たない

TISIはこの「HRDX基盤」を、経営戦略に沿った活躍が期待できる人材の発掘にも活用していく構えである。先ほど河村氏が挙げた「コンサルタント」「ITアーキテクト」「高度営業人材」などの先鋭人材をはじめ、同社が「新たなフロンティア」として今後開拓していく新規事業の担い手たちを、将来的にはグループ全体の中から掘り起こし、適材適所でアサインしていきたいと考えているのだ。

「将来的には、HRDX基盤を、社員一人ひとりが自律的に自身のキャリアを考え、社内にある多様な役割や成長機会へとつながる基盤へと成長させていきたいと考えています。社員の経験や強み、志向をより多面的に可視化し、事業戦略に基づく人材配置や育成に生かすことで、社員と会社との価値交換性を高めていきます」と河村氏は話す。

社員とポジション、それぞれの情報を充実させることは、マッチング精度を高めるだけでなく、貴重な社内人材の流出を食い止めるためにも重要である。

小出氏は、「“大転職時代”と言われる今日、外部労働市場には求人や求職に関する詳細かつ膨大な情報が溢れ返っています。翻って、一般的な社内の人事情報には、ポジションに関する情報が充実していないケースが多く見られます。その結果、将来をイメージしやすい外部の企業へと転職しやすい傾向もうかがえます」とポジション情報の重要性を説く。

その点、ビズリーチの提供する「社内版ビズリーチ」は、詳細な社員情報やポジション情報をAIが自動作成し、更新も行ってくれるので、社内人材の最適配置をリアルタイムで実現するとともに、社員にとっても社内のキャリアの選択肢と可能性が広がることで、人材流出を食い止める効果が期待できるという。

「人材戦略なくして経営は成り立ちません。これからも人材ポートフォリオを解像度高く可視化し、会社と社員がともに成長できる人材戦略を実践しながら、事業を通した社会課題解決力を高めていきます」(河村氏)

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株式会社ビズリーチ

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社内版ビズリーチ by HRMOS

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