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グロービス
越田 愛佳 氏

グロービス
GLOBIS学び放題 編集長 兼
学習サービス事業 統括ディレクター
越田 愛佳

越田 愛佳 氏

人事に求められる変革を率いるリーダーの育成

AIの登場は、産業やビジネスの基盤そのものを揺るがす変革を引き起こすかもしれない。その変化の中で私たちの仕事や人材育成はどのように変わるのだろうか。「このAI時代に、私たちは何を学び、鍛え、価値を出すべきでしょうか?と、日々、私自身も悩んでいます」と率直に語るのは、グロービスで「GLOBIS 学び放題」編集長兼学習サービス事業統括ディレクターを務める越田愛佳氏だ。

グロービスは10年ほど前に「グロービス・デジタル・プラットフォーム」というデジタル部門を立ち上げた。越田氏はその立ち上げに加わり、今ではデジタルを通じて人が学ぶ事業の統括ディレクターとして約300人の組織を率いている。AIに関連した新規学習サービスの開発などを指揮しながら、「悩み苦しみながら、今の時代の組織の在り方や、AIと一緒に働くとはどのようなことなのかの最前線を走っています」という立場だ。

事業の競争資源として、これまではヒト、モノ、カネの3 つが挙げられる。産業構造の変化により、越田氏は、競争資源を『データ、キカイ、ヒト』という枠組みで捉え直す必要があると指摘する。データは、これまでのヒト、モノ、カネがITやAIで取り扱われるようになること、キカイは、会社の文脈や独自性などがアルゴリズムとして取り込まれること、ヒトは目標の設定や価値判断の役割を担うこと。変化の前後を比べると、「同じヒトがいるのですが、質的な変化がかなり進むでしょう」と、ヒトの重要性を指摘するのが越田氏の見方だ。

「変革 with AI」は経営層、リーダーの責務

「変革 with AI」は経営層、リーダーの責務

企業でAI活用がどのように進んでいるのだろうか。「いろいろな企業の方とお話ししていると、活用が進んでいる会社とそうでない会社とで結構差が大きい」というのが現状のようだ。越田氏によれば、『改善 with AI』と『変革 with AI』に分けて考えることができるという。

『改善 with AI』は、今ある業務をそのままAIに渡したというパターン。『顧客向け』と『社内向け』を軸にして『顧客インターフェイスの効率化』『日常業務へのAI導入』と分けることもできる。『顧客インターフェイスの効率化』は、例えばお客さま向けのメールをAIに書かせて、自分がチェックして送る、問い合わせのボットを作るなどの業務改善だ。『日常業務へのAI導入』は、資料作成、文書作成、コーディングなどで、「AIにある程度たたき台を作ってもらうことは、皆さんもやっているでしょう」。

越田氏はもう一方の『変革 with AI』の重要性を指摘する。「今やっていることをそのままAIにすることは、割と簡単にできると思います。今までやってきたことを変えようとするのは、AI活用に関係なく、大変なことです。このような変革を率いる能力は今後の人事や人材育成、リーダー育成に非常に求められています」。

「特に『ビジネスモデルの変革』は、事業的な意思決定なので、ここは経営層にしっかり求めたいと思います。現場のリーダーであれば、『ワークフローの変革』として、今までやっていたオペレーションを見直してみる、AIを組み込んでみることを期待したいところです」。

「推進スキル」と「活用スキル」に分けて人材育成

「AI時代、人事に必要な力は何か」との問いに越田氏が用意している回答は、「管理部門に収まらない活躍をしてもらいたいと思います。私たちもそれをサポートしたいと強く思っています。『人事部門は管理部門から、経営戦略を実現するための戦略的パートナーへ』になっていっていただきたい」というものだ。

メンバーとリーダーを分けて生成AI活用のスキルを育成

メンバーとリーダーを分けて生成AI活用のスキルを育成

では、経営として企業の競争優位を生み出していくには、人事部門はどのような育成に取り組めばいいのだろうか。越田氏によれば、「生成AIだけに限って説明すると、全員に同じ育成をやるよりは、メンバーとリーダーは分けて考えるというのが、グロービスからの提案です」という。AI 活用を推進していくリーダーと、現場で活用していくメンバー、どちらに対してAI 人材育成施策が必要だが、それぞれ必要なスキルが異なるとの考え方だ。

「一般社員に当たるメンバーは、『活用スキル』を学んでほしい。AI のリテラシー、リスクを冒さないためのセキュリティーを学んで、その上で、自分の業務を改善していく必要があります。これに対してリーダー、マネージャー以上は、AI を使うと、何が事業のプラスになるのか、何が経営にとっていいのかを考える育成が大切。まずは「推進スキル」をリーダー、マネージャーには学んでほしいです」。

AI時代に必要な育成体系とは

AI時代に必要な育成体系とは

そのためにグロービス学び放題は体系立てたコースを用意して、ビジネススキルに加えて、組織変革を促したり、新たな組織を作り上げるのに必要な能力である『設計力』『マーケティング』『リーダーシップ』の育成、さらに各界の有識者にインタビューをし、AI とこの先の未来がどのように向かっていくのかというシリーズも用意してある。

リーダーに必要なAI 推進スキルを考えた場合、越田氏は「最初、このようなDXやAI推進をする方に必要なことはテックの知識だと思っていました」と話す。ところがグロービスがアンケート調査などで調べると、DX 推進者ほど論理思考力や企画力、コミュニケーション力が課題として上位に挙がってくることが分かったという。「その結果から、思考力・判断力やデータリテラシー・分析力のような土台の能力、人、組織を動かすための能力、つまりコミュニケーション・リーダーシップ・組織開発とビジネス・経営戦略を満遍なく学んでもらうことが非常に重要だと思っています」と語る。体系的な学習設計はこれまでのMBA 教育、社会人教育を通してグロービスが得意なところであり、ビジネスとAIを掛け合わせたコースを用意しているという。

AI時代の変革では管理職の役割が重要

AI時代の変革では管理職の役割が重要

これまでの管理職の役割は、管理、監督、人を評価して、人をうまく配置することだった。越田氏は、AI時代の変革に対応するためには管理職の役割が重要であること強調しており、これからの管理職の役割は『3つの顔』を持っている必要があると考えている。

1つ目は、「事業開発プロデューサー」としてこれまで以上にビジョナリーな問いを打ち出せるか。2つ目は、人を育てていく「パフォーマンス・コーチ」としての役割。経営レイヤーよりも若手の方がAIネイティブなので、若手を育て、現場で生まれた種や知見を会社の戦略とつなぐ役割も重要と越田氏は語る。3つ目が、「AIガバナンスリード」としてAIを使う際のリスクに対してどのように判断するのか。きちんとコントロールする役割だという。つまり人事には、管理職を単なる管理者ではなく、変革推進者として育てる設計が求められる。

越田 愛佳 氏

組織変革を推進する人材育成2社の取り組みから学ぶ

AI時代の変革に対応する人材育成の考え方を説明した後、越田氏は2つの事例を挙げた。
1つ目は八千代エンジニヤリング株式会社。組織全体のDXを加速するために、全社員に導入した事例だという。グロービスのDXアセスメントを全社員が受験してリテラシーを測定、既存事業の変革や新規事業の創出に向けて社員のマインドセットを変えようとした試みだ。
2つ目は大阪ガス。少数精鋭のDX人材育成と、全従業員のリテラシー向上の2つに育成施策を分けたパターン。「変わり続けられる企業グループ」ということで、中核スタッフを育成することと、社員のリテラシーを上げることが目的で、「動画を見て終わりではなく、OJT、ワークショップ、育成面談といろいろな角度からプログラムを実施したというものだ。2社に共通するのは、動画視聴だけで終えず、アセスメント、OJT、ワークショップ、育成面談と接続している点である。


このセッションで取り上げた「グロービス学び放題」の導入事例


DX アセスメントを活用し、全社リスキリングを推進。

八千代エンジニヤリングのDX 人財育成

大阪ガスに学ぶ“全員DX” 時代の育成戦略。

プログラム受講者の約7 割が意識改革!

越田 愛佳 氏