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日本のマーケティングの未来、その先へ ──1億IDで変わる、デジタルマーケティングの新しい形──
Vol.2

最前線の経験を生かしマーケティング構造改革へ挑む

「Single ID Marketing」を戦略の柱とし、新時代のマーケティング構造改革を目指すCARTA HOLDINGS。同社代表取締役副社長の髙橋学氏に、マーケティングの最前線で培ってきたこれまでの経験や、改革のビジョンについて話を聞いた。

1億超のIDが
マーケティングの解像度を上げる

髙橋氏
CARTA HOLDINGS
代表取締役副社長
執行役員
髙橋 学

「日本のマーケティングの進化をリードする」という使命を掲げるCARTA HOLDINGS(以下、CARTA)は、2026年1月に新体制を発足させた。代表取締役副社長に就任したのは、電通グループ出身の髙橋 学氏である。髙橋氏は、これまでマーケティングの最前線において、常に新たなマーケティング手法に取り組んできた。CARTAに参画した今、CARTA×NTTドコモ×電通グループという3社のパートナーシップの下で、マーケティングの構造改革に挑んでいる。髙橋氏の目に、現在の日本のマーケティング市場はどのように映っているのか。

「米国に比べると、文化的にも制度的にも、個人情報の活用は難しい状況にありますが、接点がデジタルへ移行しているのに伴い、企業は様々なデータを蓄積してきています。しかし、多くの企業はそれらをつなぎ合わせることに苦慮しており、データの分断が生じています」(髙橋氏)

日本のマーケティング特有の課題とも言える「データの分断」。マーケティング構造の改革を目指すCARTAが戦略の柱として掲げる「Single ID Marketing」は、市場調査から効果検証まで、バリューチェーン全体を「ひとつのID」でつなぐ次世代のマーケティングモデルだ。「データの分断」という課題の解決に対しては、どのように貢献していくのだろうか。

「『Single ID Marketing 』は、顧客の行動データをNTTドコモの会員IDで統合管理します。現在、会員IDは1.1億に達し、位置情報、決済情報、アプリの起動ログなどの高精度なデータを基にしたマーケティングを実現することで、従来のマーケティングの解像度を大幅に引き上げることが可能です。また、その中で、電通グループの持つ多様なクライアント基盤と課題発見力が力を発揮するとともに、見えてきた課題に対しては、CARTAの強みである開発力を生かしたプロダクトや仕組み作りによってサポートすることもできます」(髙橋氏)

AIの登場と普及によりビジネスの効率化が進む今の時代。常にリアルタイムで更新され続けるというNTTドコモのデータの特徴もまた強みの一つであると髙橋氏は語る。「リアルタイムで更新されるデータを分析し、プロダクトや仕組み作りに即座に生かす。そのような時代のスピード感に合わせたサイクルをいかに組み立てられるかが、近い将来の一つのポイントになってくると思います」。

その一方、生活者視点で考えた場合には、生活が豊かになると生活者が実感できることもポイントだと髙橋氏は言う。

「データの活用において最も重要なのが信頼性です。プライバシー保護をはじめとした徹底的なセキュリティの担保と、透明性の確保を両立させ、安全にサービスを展開することを前提とした上で*、データを使用することがいかに生活者にとってプラスになり、メリットを享受できるのか、広く理解を得ていくことも重要だと考えています」(髙橋氏)

*NTTドコモでは厳格なプライバシー保護と同意管理を徹底し、会員の皆様は「パーソナルデータダッシュボード」でご自身のデータの活用状況をいつでも確認・オプトアウトできます。セキュリティと透明性を両立させながら、安全なサービスを提供しています。

マーケティングの最前線で得た
生活者視点とデータ分析の重要性

次世代マーケティングモデルとしてCARTAが掲げる「Single ID Marketing」は、市場調査、戦略立案から、施策実行、効果検証までを一気通貫で支援するソリューションを展開する。その普及を推進するにあたり、髙橋氏は自身がこれまでマーケティングの最前線で培ってきた経験を生かすことができると考えている。

「1997年に電通グループに入社しましたが、2000年代初頭、クライアントのスポーツチーム協賛を活用したセールスプロモーション支援に携わりました。当時は盛り上がりが試合の前後しか発生せず、一過的なブームで終わってしまって販促効果も限定的という課題がありました。そこで継続的な盛り上がりの醸成につながる生活スタイルをつくり上げていくことを提案しました。最初は、手探りの試行錯誤の連続でしたが、ファンとの交流会や海外遠征への同行、応援メッセージの贈呈式などを企画し、生活者とクライアントをつなぐ取り組みを積み重ねていくことで徐々に浸透し、試合があってもなくてもチームを応援し続けてくれているメーカーの商品を愛用するという、今では当たり前になった生活スタイルをつくり上げることができました」(髙橋氏)

SNSがまだない時代に、ファンとの接点を増やし、距離を縮める取り組みを積み重ね、今でいうファンダム文化の礎をつくることに成功した髙橋氏はその後、通信販売などのダイレクトマーケティングの領域で、顧客獲得ビジネスも経験する。

「広告の費用対効果や顧客の購買行動のより仔細な把握と分析を通して、LTV(ライフタイムバリュー)の概念を体得しました。アナログではありましたが、広告掲載媒体によって注文用の電話番号を使い分けるといった工夫は、まさに購買過程の可視化です。それまで口を出しづらかったクリエイティブの重要性にも気付かされました。ちょうど、購買過程の可視化を旗印にデジタル専業の広告会社が台頭してきた時代でもあり、こうした取り組みは通信販売分野だけでなく、より多くの企業にも求められるようになっていくと考えられたことも転機だったと思います」(髙橋氏)

マーケティングの新時代の到来を予期する一方で、髙橋氏はどのマーケティング領域においても2つのことを重視してきた。1つは、生活者視点で価値を捉えること、もう1つはデータ分析の重要性である。

「品質に自信のあるクライアントほど、『いいものだから売れる』というプロダクトアウト的な発想になりがちです。しかし実際には、生活者はいいものであれば買うわけではありません。それが健康食品であれば、健康に良いかはもちろん重要ではありますが、『味はどうか』『価格は妥当か』といった価値も重視します。商品に解決すべき課題があれば、根拠となるデータと仮説を持って提案していくことが重要なポイントだと考えてきました」(髙橋氏)

その後、髙橋氏は電通グループ内でいち早く「フルファネル」という言葉を冠した「フルファネル・コンサルティング部」を設立し、オンオフ統合マーケティングの指揮も担った。

「ID単位のデータをただ保有するだけでなく、データを根拠として、顧客の課題やビジネスとしてのボトルネックがどこにあるのか、仮説を提案してテストするという改善のサイクルをしっかり回していくことが、『Single ID Marketing』による一気通貫支援の普及・拡大に重要だと考えています」(髙橋氏)

髙橋氏

顧客と伴走し
日本のマーケティングを新たな局面へ

代表取締役副社長に就任し、髙橋氏がCARTAに参画してから半年以上が経過するが、「『とにかくやってみよう』という雰囲気に満ちた、生き生きした会社」という第一印象は、今も変わっていないという。

「NTTドコモのデータを『どう開発に生かしていくか』『いかにCARTAの武器にしていくか』と、すぐに自分のこととして考えていく姿勢には頼もしさを感じます。現場からの声に対して、新しいアプローチで応えられるように、私自身も日々のアップデートを心がけています」(髙橋氏)

何事にも挑戦するという企業風土を土台に、マーケティング構造改革の実現へ向けて、顧客と伴走するCARTA。「Single ID Marketing」が本格的な実装段階を迎える中、髙橋氏に今の意気込みを聞いた。

「CARTAは、NTTドコモの1億超の会員IDデータに加え、電通グループの総合的なマーケティング力、それからAIの実装力という非常に稀有なアセットを有しています。それらを用いて、マーケティングの概念そのものの変革に挑戦することが楽しみでなりません。全社が一丸となって、この挑戦を楽しんでいきたいと思います」(髙橋氏)

髙橋氏