ビジネスの出会いが地域も業種も超える時代。プラットフォームやECを通じ、新たな取引先との接点が日常になりつつある。だが、その恩恵を享受できていない経営者も多いのではないか。初見の相手との取引には、与信審査の関門がある。未回収リスクの不安がある。回収業務は負担がかかる。すなわち、チャンスが増えるほど、経営リソースが圧迫される現状がある。新しい時代の速度に、取引の安全弁がついていけていない。この構造的な壁に、金融の大手と決済のスペシャリストが正面から挑んでいる。三井住友カードとネットプロテクションズだ。

2020年に始まった景気拡大期間は、戦後最長の74カ月となる見通しだ。しかし実感を伴う景気回復に至るまでには、物価高、人手不足、価格転嫁の遅れなど、ボトルネックとなる要素も多い。特に中堅・中小企業にとって正念場となる。現状維持では前に進めない。

「デジタル社会が進む中、多くの国内企業では新規取引拡大の機会を十分に活かしきれていないケースがあります」と、三井住友カード専務執行役員の永山勇一郎氏は指摘する。

三井住友カード
専務執行役員
永山 勇一郎氏

DXの進展、ECによる受注の多様化などに伴い、様々なプラットフォームを通じて、これまで知り合うことのなかった企業同士のつながりが生まれる環境が整ってきた。サプライヤー(売り手)には既存の枠を超えた、販路拡大のチャンスが広がっている。

三井住友カード
専務執行役員
永山 勇一郎氏

「しかし経営者からは、チャンスだけでなく与信や代金回収においても、リスクがあるとの声を頂いています。既存の取引先は長年のお付き合いの中で信頼関係を構築し、相手の顏が見えている状態でビジネスを行っています。一方で販路拡大や新しい地域に進出する場合、顏が見えないお客様との取引となるため、支払い能力の審査や代金未回収のリスクが“壁”となり、新規取引拡大の機会を逃してしまうことがあります」(永山氏)

リスクをとらなければチャンスは手に入らない。しかしリスクは最小化したい。それを実現するための与信管理や督促業務に十分な人員を充てられていないことが、多くの国内企業の現状といえるだろう。複数の既存取引先を抱える営業担当者が、与信管理や督促業務まで兼務しているケースも少なくなく、本来注力すべき顧客対応や新規開拓に十分な時間を割けない状況も生じている。この壁をなくし、チャンスを生かすためには、従来型発想からの転換が求められる。

「自社の競争力や強みに直結しない決済業務は外部サービスを活用し、営業部門を含む限られたリソースを本業に集中することで、国内企業は更なる事業成長を実現できると思います」(永山氏)

幅広い企業の業務効率化・未回収リスク
保証ニーズに
応えるサービス

「SMBCグループのお客様の中には、事業拡大に向けて決済業務に課題を抱える企業もいらっしゃいます。当社はこれまで、B to B取引におけるお客様の課題に応じて、回収・決済手段の多様化や未回収リスクの保証など、幅広くサービスを提供してきました」(永山氏)

近年は人手不足や貸倒リスクへの対応を背景に、与信管理から請求・督促、未回収リスク保証までを一気通貫で任せたいというニーズが高まっていると永山氏は続ける。「当社においても、主に中堅・大企業向けに与信から未回収リスクの保証に至るまでのニーズに応える買取型請求代行サービス(掛け払いサービス)を提供し、年間数百万通規模の請求業務を支援してきました」

一方で、より幅広い顧客層に対してこうしたニーズに応えていくためには、さらなる与信ノウハウや運営基盤が重要となる。「B to B決済分野を牽引するネットプロテクションズとの協業を通じて、これまで以上に多様なお客様の事業成長を支援していきたいと考えています」(永山氏)

2026年5月、両社協業による取り組みの一環として三井住友カードは、ネットプロテクションズが提供する企業間取引(B to B)後払い決済サービス「NP掛け払い」の媒介を開始。三井住友カードの営業担当が自社の商品やサービスと共に「NP掛け払い」を販売・提案し、すでに具体的商談・成約が進んでいる。

買取型 請求代行サービス(掛け払いサービス)の特徴は大きく分けてこの2つ。
決済業務の負荷と未回収リスク、その両方を引き受ける

「NP掛け払い」は、決済業務を一部のみ代行するのではない。買い手企業への与信から請求書発行、代金回収まで、決済業務のすべてを一貫して代行。業務を残すことなく、真の効率化を図れる。「2011年にサービス開始した『NP掛け払い』では、一般的に金融機関に蓄積されてこなかった企業の小口かつ大量の取引データを使って、与信モデルに磨きをかけてきました」とネットプロテクションズ取締役EVP of Strategic Planningの小川尚大氏は言う。

与信管理の高度化が中堅・中小企業のビジネスチャンスを広げると小川氏。その理由について説明する。「与信審査では厳格さだけではなく、未回収リスクが高くない買い手をふるい落とさないことが、販路拡大・売上向上の観点で重要なポイントとなります。『NP掛け払い』では、従来の信用機関に依存しない独自審査により与信通過率は実績ベースで99%です」

ネットプロテクションズ
取締役 EVP of Strategic Planning
小川 尚大氏

売り手の販路を広げる、与信通過率99%。しかしリスクを最小化できるのか。「NP掛け払い」は、これまでの各企業の評点を算出する企業信用調査会社の概念と一線を画す。一般的な信用機関では、買い手の評価を出しても、未回収リスクの不安から売り手を解放することはない。

※2026年3月31日時点

そこに「NP掛け払い」は、未入金を100%保証する。「販路拡大の一方で、代金回収の予測が立てられるかどうかは成長戦略の実現を左右します。『NP掛け払い』は未回収リスク保証型のため、将来のキャッシュインが鮮明になります。リスクコストを予算化する必要もなく売上拡大、販路拡大に専念できます」(小川氏)

これを実現するのが、与信審査精度の高さに基づくビジネスモデルにある。「売り手企業は、代金未回収を心配する必要がなくなり、安心して取引が行えるとともに経営基盤の安定化が図れます」(小川氏)

ネットプロテクションズ
取締役 EVP of Strategic Planning
小川 尚大氏

「NP掛け払い」の多様な導入効果。業務負荷の軽減と未回収リスクの最小化で、
事業成長を妨げる決済の“壁”をなくすことができる

与信審査は数秒で完了。
企業の成長スピードを加速

「NP掛け払い」は、ベンチャーやスタートアップが高い成長率の実現に向けたタイミングで導入するケースも多い。「スタートアップが自ら与信審査を行う場合、数日かかります。『NP掛け払い』なら、数秒です。人手をかけず、安心してすぐに商談に入れます。『NP掛け払い』は、成長を加速する役割を果たすと思います」(小川氏)

永山氏は、「NP掛け払い」の革新性をどう見ているか。「従来は新規取引において、企業は実際にやってみて経験を重ねることで、ビジネスの信用に関するノウハウを蓄積してきました。『NP掛け払い』には、企業規模・業種を問わず幅広い導入実績がありますが、起業して間もない企業や、中堅・中小企業でも『NP掛け払い』をうまく活用することで、リスクを回避しながら事業を拡大できることに革新性があると思います」

「『NP掛け払い』の運営ポリシーは、当社がリスクテイクすることで商取引の機会を広げていくことです」と小川氏は強調。さらに「与信管理や代金回収といった個別観点ではなく、買い手と売り手の橋渡しをする役割を担っていると自負しています」と付け加える。これを受けて永山氏は「売り手の観点では、真の効率化を実現するために多くの買い手の決済業務を一手に引き受けてくれることが重要です」と続ける。

「NP掛け払い」は売り手に向けて、販路拡大とリスクからの解放という価値を届ける。のみならず、買い手にも後払いによる資金繰りの柔軟性向上という価値を届ける。買い手と売り手双方に必要な価値を一気通貫で提供することで、これまで成立しなかった取引を生み出していくのだ。

中堅・中小企業のビジネスを支える
決済プラットフォームの誕生に向けて

今回の協業は、「NP掛け払い」の媒介にとどまらない。両社の顧客基盤やソリューションを掛け合わせたシナジー創出に向け、取り組みを推進していく。

「『NP掛け払い』の利用企業における買い手の多くは中小企業です。買い手企業の中には、決済だけでなく資金管理や経理業務の効率化といった課題を抱える企業も少なくありません。こうした企業に対し、SMBCグループの法人向けデジタル総合金融サービス『Trunk(トランク)』を始めとする各種金融サービスも、ネットプロテクションズと連携しながら提案していきたいと考えています。『NP掛け払い』と『Trunk』など両社のサービスを組み合わせて提供することで、お客様の事業成長をより幅広く支援してまいります」(永山氏)

「NP掛け払い」のビジネスモデルは、売り手と買い手で成り立っている。「今後、『NP掛け払い』の普及・拡大では、売り手はもとより買い手の満足度向上が重要です。買い手にはお支払いファイナンスサービスなどの提供も検討中です。経理効率化ツールなど三井住友カードの金融サービスを当社のお客様に提供することで、課題解決の幅を広げていきたいと思います」(小川氏)

両社協業で目指すのは、単なる商品やサービスの販売拡大ではない。中堅・中小企業のビジネスを支える、決済プラットフォームの確立だ。

「両社協業で提供する決済サービスは、企業のビジネスに関わるため持続性の実現が必要です。『NP掛け払い』や『Trunk』などを利用する循環サイクルを生み出すことで、売り手が買い手を広げ、買い手が新たな売り手につながり、真のプラットフォームに進化していくと考えています」(小川氏)

永山氏は応えて言う。「小川さんがおっしゃるように、日本の中堅・中小企業の活力を生み出すために、両社で連携し決済業務のプラットフォームをつくるという設計で取り組んでいます」

経営者が決済や与信管理といったバックオフィス業務に過度な負担をかけることなく、成長に注力できる環境整備に両社で取り組んでいく。

中堅・中小企業の成長は、国内産業の活性化につながる。ネットプロテクションズと三井住友カードの協業が生み出す、新たな価値に寄せられる期待は大きい。

三井住友カード株式会社

本社

東京都江東区豊洲二丁目2番31号 SMBC豊洲ビル

創業

1967年12月

概要

SMBCグループのペイメント事業の中核として、クレジットカード事業・信販事業・トランザクション事業の3つのビジネスで、幅広いソリューションを展開。決済のパイオニアとして業界を牽引し、「Visa」という仕組みだけでなく、「Olive」や「ナンバーレスカード」など、様々な決済シーンの創出に挑戦。50年以上にわたり人々のライフスタイルの変革・安心で便利な暮らしを実現してきた。次世代決済プラットフォーム「stera」や、キャッシュレスデータ利活用など、日本の健全なキャッシュレス環境を実現する新たな仕組みの提供も進めている。2025年5月、法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk」提供開始。

取材に関するお問い合わせ(広報部):public_relations@smbc-card.com

サービスに関するお問い合わせ(BMファイナンス部):smcc-bmf-3g@smbc-card.com

株式会社ネットプロテクションズ

本社

東京都千代田区麹町4丁目2-6 住友不動産麹町ファーストビル5階

創業

2000年1月

概要

後払い(BNPL)決済サービスのリーディングカンパニー。個人・法人向けにサービス展開し、購入者/購入企業・販売元企業の双方に価値提供している。20年以上にわたって決済事業に取り組み、累計取扱件数は6.5億件を突破している。その過程で、信用リスクを見極めて吸収する力、月間で何百万件にも登る請求業務を高効率で行う力を磨き上げてきた。サービスの提供を通して商取引における資金回収のリスクや手間を大きく削減し、誰もが安心かつスムーズに商取引できる社会の実現を目指している。
※ 全サービスの提供開始から2026年3月31日までにおける取引件数